進化するローカルモーターズの巨大3Dプリンター、10倍高速化と巨大化を実現

ローカルモーターズの巨大3Dプリンター

ローカルモーターズの3Dプリント電気自動車Stratiや、シェルビーコブラのリメイクを作り上げることで、一躍有名になったBAAM 3Dプリンター。国際製造技術展においてStratiのボディフレームをなんと44時間で3Dプリントし、その造形範囲は6×12×3フィートという巨大なものだ。

この巨大3DプリンターBAAMはローカルモーターズとの専属契約で開発されたもので、彼らが進める自動車のローカルファクトリーの核となるものだ。BAAM 3Dプリンターが従来のレベルをはるかに超えるパワーアップを果たしている。

ローカルモーターズの計画では、マイクロファクトリーを全世界で100箇所に儲け、世界中でオンラインコミュニティの自動車販売を行うことが目標だが、そのためにはBAAM 3Dプリンター自体の進化が必要だ。昨年の国際製造技術展で44時間かかっていたものを将来的には1000倍の高速化を果たすという。

そんな開発計画があるBAAM3Dプリンターだが、開発を進めるシンシナティ株式会社オークリッジ国立研究所の発表によると、新たに造形サイズの巨大化と、高速化を果たしているという。1000倍までの高速化には至っていないが、44時間をはるかに短縮する性能までこぎつけているようだ。

10倍のスピードと巨大化を実現

今回シンシナティ株式会社とオークリッジ国立研究所が発表したBAAM機の改良では、3Dプリンターの名称もBAAMからBerthaに変更された。気になるその高速化だが、なんとBAAMのときの10倍のスピードでプリントすることが可能だという。

従来のBAAMでは1時間あたりの樹脂のプリントボリュームが10ポンド(約4.5kg)だったのが、今回のBerthaでは、100ポンド(45.3kg)までつくることが可能。さらに驚くべきことに、従来のBAAMをはるかに超える大きさまで巨大化に成功している。

BAAMの造形範囲は幅6×長さ12×高さ3フィートであったが、Berthaは、幅8フィート×長さ20フィート×高さ6フィートまで大幅に拡大した。ちなみにこのBerthaを使えば、国際製造技術展で44時間で3Dプリントされた電気自動車Stratiのボディフレームは、わずか5時間以内に製造できるようになる。

現在ローカルモーターズはマイクロファクトリの店舗拡大を計画しているが、手始めにノックスビルでのマイクロファクトリで使用を開始するとのこと。正式なこのBerthaによる自動車製造は来年を予定しているという。

10倍の高速化に進化したBertha

まとめ 船舶や巨大工業用パーツも視野に、気になるのは安全性

このBAAM改めBertha 3Dプリンターはローカルモーターズとの10年契約に基づいて開発されているものだが、シンシナティ株式会社とオークリッジ国立研究所はこの巨大高速3Dプリンターの研究開発をほかの工業製品にも転化したい計画を持っているという。

例えばカヤックやカヌーなどの船舶やさらには、風力タービンブレードのような巨大な金属パーツも視野に入れているとのこと。しかし、Bertha3DプリンターはいわばFDM(熱溶解積層法)によるプラスチック素材の3Dプリンターなため、金属素材での3Dプリントは全く異なる製法がなされなければならない。

また、今回のStratiのボディフレームでもそうだが、安全性がどの程度のものなのかが疑問に残るところだ。今の時代、自動車製造の分野では安全性が最も重要な位置を占めている。事故の場合における衝撃性や対応など、実際に実用化を行うためには、単純に作れるというだけでは難しいかもしれない。特に乗り物は人命に関わる部分であることから、その部分が担保される十分な証明が必要だ。

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