[Form3プリントレビュー]Tough 1500でバッグホルダーを3Dプリントするとどうなるのか?

[Form3プリントレビュー]Tough 1500でバッグホルダーを3Dプリントするとどうなるのか?

バッグホルダーをTough1500で3Dプリントする理由

光造形3DプリンターであるForm3を使用して身近にあるものを3Dプリントしていきながら、Form3の最適なプリント方法や新たな発見が見つかるプリントレビューです。

Form3は、用途によって様々な材料で3Dプリントすることができます。
プリント方法も色々選ぶことができます。
プリントしたいものによって、どの材料を選んだら良いのかが分からない場合や、形状や機能により仕上がり具合が想像できない場合のプリント方法のヒントとして参考にしていただけます。

今回のプリントレビューはForm3の材料の中からTough 1500 Resinを使用してプリントします。
バッグホルダーとは、荷物の入っている重い袋や箱等を運ぶ時に、紐やバンドをフック部分にかけて持ち運びやすくするための道具です。

なぜTough 1500(タフ1500)レジンで3Dプリントするのかというと、バッグホルダーには重い荷物を持ち運ぶための重さに耐えられる強度が必要になります。
Tough 1500はレジンの中でも弾力性や剛性があり丈夫な材料です。
この特長を3Dプリントで表現するためにTough 1500レジンを使用します。
Tough 1500レジンについて、詳しく説明していきます。

Tough 1500 Resinとは? 

Tough 1500レジンの特長

・柔軟性と剛性を併せ持つ高強度レジンで汎用性がある
・繰り返しのたわみや折り曲げでも元に戻り、衝撃強度が高い
・熱可塑性樹脂のポリプロピレンの強度と硬さを再現したレジン
・しなやかで滑らかな質感

向いているプリントと不向きなプリント

[向いているプリント]

・バネ
・治工具
・ヒンジ
・スナップフィット
・コネクタ など

[不向きなプリント]

・繊細な特長を持つ造形

◆ Form3のTough Resinの種類 ◆

Form3のTough Resinには、3種類あります。
ABSの持つ強度と柔軟性をバランスよく備え、高い強度を持つTough 2000
歪みに対する耐衝撃性が高く、剛性と可撓性を両方兼ね備えたDurable Resin
その中間で弾力性があり丈夫で、汎用性があるTough 1500 Resinがあります。
今回はその中からTough 1500を使用してプリントします。

3Dプリントするもの

バッグホルダーのサイズと3Dデータ

今回3Dプリントするバッグホルダーの形状とサイズです。

[サイズ]84.5mm(縦)×120mm(横)×15mm(高さ)

3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。 

使用する3Dプリンター

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。

Blenderで作製した3Dデータを、Form3の専用ソフトウェア PreFormリント設定をしてプリントします。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。

3Dプリント結果

一部今回のプリントではない物も含まれています

Form3で3Dプリントが終了したところです。この後洗浄をして、乾燥後に二次硬化をしていきます。

バッグホルダー全体の仕上がり

・全体的に滑らかにプリントできています
・曲線やカーブもきれいにプリントできています
・造形に重みがありずっしりとしています
・造形自体は硬いが、弾力性も感じられます

寸法精度

[プリントサイズ]84.5mm(縦)×120mm(横)×15mm(高さ)

・縦 +0.3mm
・横 −4.7mm
・高さ +0.6mm

全体的に少し歪みました

注目の特長とポイント

◾️表面の仕上がり

・全体的に滑らかな仕上がり、さらっとした表面
・側面表面とフック部分に積層跡が見られる
・持ち手の内側部分のカーブがきれいに出ている

◾️直付面の仕上がり

・プリントの影響で、直付表面が全体的に広がりました
・フック部分の造形が広がり、レジンが溜まり溝が埋まってしまいました

◾️パーツごとの仕上がり

・文字のプリントの仕上がりは、全体的に少し広がってプリントされています
・aやeの空洞部分が少し埋まっています
・持ち手部分は、手のあたりが滑らかで高精細にプリントできています
・溝の内側表面がとても滑らかな仕上がりです

※注意点として、溝部分に溜まっていたレジンの洗浄が足りていなかった為、そのまま残ってしまいました。きちんと洗浄できていないと、写真の様にそのまま硬く固まってしまいます。( 溝の光沢部分)
二時硬化前に、しっかり洗浄をして拭き取り、乾燥させることをおすすめします。

プリント方法について

Preformでのプリント設定

◾️サポート設定 直付プリント(サポート材なし)
◾️積層ピッチ 50ミクロン
◾️二次硬化の設定  70℃  60分 ※Tough 1500は二次硬化をすることでより強度が出ます
◾️プリント設定画面

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
6h12m 300層 58.44ml 1個=1,274円 1個=1,274円

プリント適性で、カップが検出されました。造形の中に凹みのある箇所があります。
今回は修正せずにそのまま直付プリントにしています。

機能面のプリント結果

機能性の再現度は?

Tough 1500の特長である弾力性と強度が、バッグホルダーの機能をどこまで表現できているのかを検証していきます。バッグホルダーを実際に握ってみました。

持った印象は、ずっしりした重さのある造形に仕上がっています。
握った感じは、硬さもありますが弾力性も感じられます。

次に、強度面での検証をしてみました。
バックホルダーの機能であるフック部分に荷物を掛けてみました。

重たい荷物でも問題なく持ち上げることができました。強度面でも問題なさそうです。

まとめ

3Dプリントの仕上がり

⚫︎全体的に滑らかな表面に仕上がります
⚫︎直付でもプリントはできるが、表面に広がりが出てしまう恐れがあります
⚫︎細かい凹凸や溝の多い造形の場合には、プリント時の影響によりレジンが溜まってしまう場合があります

機能面について

⚫︎ポリプロピレンの強度と硬さが3Dプリントで表現できています
⚫︎柔軟性と剛性により、硬いだけではなく弾力性も感じられます
⚫︎造形自体も厚みがあり、可撓性が高いので簡単に折れません

今回のプリントで気付いたことは、Tough 1500 Resinは、表面の仕上がりがただ硬いだけでは無く、しなやかな柔軟性も表現できる材料であることです。この質感を表現できるのもTough 1500 Resinの強みです。
弾力性があり強度もある材料なので、バネや治工具に向いています。機能性のあるプロトタイプの作製にも向いている材料になります。

以前同じ造形で3Dプリント検証をした、スタンダードレジンのグレイレジンと比較すると、造形の繊細な表現や仕上がりはグレイレジンの方が高精細に3Dプリントができていました。機能面や造形の質感の表現は、Tough 1500 Resinの方が良く3Dプリントができています。材料による特長が良く見える結果でした。

材料による仕上がりの比較として、光造形3DプリンターForm3レビュー【機能編 バッグホルダー : グレイレジンもぜひ参考にしてみて下さい。

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