航空機用パーツの3Dプリントで2億円のコスト削減を目指すBAEシステムズ

航空機産業に広がる3Dプリンターの使用

航空機産業での3Dプリンターの使用が拡大している。GEやシーメンスなどがジェットエンジンのパーツ製造を3Dプリント製造に切り替える中、戦闘機のパーツが3D製造された。

行ったのはBAEシステムズ社でイギリスの国防・情報セキュリティ・航空宇宙関連企業だ。BAEシステムズは実は防衛産業の中で世界トップクラスとも言われる企業で、ボーイングやロッキード・マーティンと同規模の売上高を誇っている。

もともとBAEシステムズはイギリスの国営企業であったが、1999年に国営企業の民営化政策の一環として民営化された企業だ。

主な防衛事業における主力製品は戦闘機や潜水艦、戦車と言ったもので、今回3Dプリント技術が使用されたのは同社が製造するトルネード戦闘機のパーツ類。

主に3Dプリント技術によって製造されたパーツ類は、コックピット無線機の保護カバーや、着陸装置の保護カバー、エアインテークドアと言われるエンジンに空気を取り入れるパーツの支柱などだ。

飛行機の着陸装置

4年間で2億円のコスト削減効果

今回3Dプリントされたパーツ類はカバーや支柱といった戦闘機を構成する主要パーツではない。

しかしその経済効果は巨大なもので、既にいくつかのパーツ類製造コストが100ポンド(約17,000円)以下に抑えられることが可能になり、結果として年間約30万ポンド(約5,100万円)のコスト削減をもたらしている。

また2017年までの4年間で120万ポンド(約2億円)のコスト削減効果を見越している。こうしたパーツ製造における3Dプリント技術の導入は戦闘機だけではなく、船舶や航空母艦といったほかの機械の製造にも利用することが可能であり、コスト削減効果は計り知れないものがある。

トルネード戦闘機

まとめ

3Dプリンターのクオリティが向上することで導入されている分野が広がりを見せている。

伝統的に航空機産業や自動車産業では添加剤製造と言われる3Dプリント製造が古くから研究されてきているが、パーツの造形精度の向上は様々な分野での利用を見せている。

今回BAEシステムズが使用している部分は保護カバーや支柱というパーツ類だが、こうした製造を3Dプリント製造に切り替えるだけで大幅なコスト削減が可能になっている。

航空機産業ではGEやシーメンスが既に燃料ノズルの製造に充てるという計画が発表されているが、プラスチックや金属類で製造される細かいカバー類や支柱類での利用もどんどん広がるだろう。

こうした背景には3Dプリント技術の向上もさることながら原料となる樹脂や金属粉末の価格の低下も更なる拡大を促進させるかもしれない。

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