オートデスクは写真から高精細3Dデータを作るMEMENTOを発表

3Dデータ化を簡素にする動き

3Dプリンターが普及するためには3Dデータがより多くの人にとって馴染みやすいものでなければならない。しかしその一方で、3Dデータは誰もが簡単に扱えるものではない。専用の3Dデザインソフトが必要でそれを使いこなすためには一定のスキルが必要になる。だが、こうしたスキルはソフトウェア上のスキルであって、プロダクト開発の場では必ずしも重要とは言えない。

ある意味データ化するという行為はデザインではなく単純な作業と行ってもいいだろう。グラフィックの世界において、イラストレーターを使って作業し、印刷用のアウトライン化する作業とある意味同じとも言える。こうした作業は、むしろソフトウェアの進歩などによってどんどん簡略化されるべきだし、誰でも簡単に扱えてカタチにすることができるソフトにしなければならない。

そうしたことがより多くのアイデアを製品開発に落とし込む鍵にもなるだろうし、より本質的な「ことづくり」といったデザインの役割が重要になると言える。こうした「3Dデータ化」を簡単にする流れは、多くのソフトウェア企業が取り組んでいるところだが、その最先端を突っ走るのがオートデスクだといえよう。

ある意味3Dデザインソフト、CADソフトの中心的存在であるこの企業が、率先して「3Dデータ」の大衆化に取り組むのは非常に意義深いことであるし、時代の先を作る取り組みかと言える。本日はオートデスクが発表した写真から高精細な3Dデータを作り出すソフトウェアMEMENTOをご紹介。

写真から高精細メッシュ3Dモデルを生成

このオートデスクが現在ベータ版でリリースしているMEMENTOだが、その機能は驚くべきものだといえよう。ユーザーが撮影した写真データやスキャンデータから高精細なメッシュによる3Dデータを作れるというものだ。オートデスクは既に写真からキャプチャーして3Dデータを作ることができるアプリ123DCatchをリリースしているが、このMEMENTOはその123DCatchとは比較にならないほどはるかに高いレベルの解像度のモデルを作り出すことができる。

下記はMEMENTOの概要を示す動画だが、撮影された多くの写真データを選択し、3Dモデルができるまでが映し出されているが、その写真の多さが特長的だろう。上記の123DCatchアプリと決定的に異なる点は、この写真の数とサイズの違いで、3D化するためにアップロードすることができるサイズと数がはるかに多い。これにより、多くの写真を高解像度で撮影すれば、それがそのまま3Dデータに反映されるという仕組みになる。

MEMENTO動画

写真を全て選択
3D化
背景も含めて3D化される
編集機能で必要な箇所のみにする

MEMENTOの機能は、またそれだけではない。写真から高解像3Dメッシュモデルを作り出すだけではなく、ほかのツールで作成されたメッシュを読み込み反映させることもできる。もちろん、3Dモデル化したあとは、メッシュ解析を行い、問題のある箇所を修正し、滑らかな編集も行う機能が付属している。さらには最終データを3DプリンターでプリントするためのSTLファイルにエクスポートすることももちろん可能。

MEMENTO動画2

3Dプリントにも最適化される

複雑で退屈な3Dデータの作業は時代遅れ

面白いのがオートデスクはこのMEMENTOのホームページ上で、これまでの値段が高く、複雑な3Dソフトウェアを時代遅れと言っている点だ。また、3Dデータを作る作業のことを退屈なフローとも言っている。今では3Dスキャナーやカメラはまったく我々の身の回りにありふれたものになりつつあり、こうしたデジタル技術の普及と相まって、3Dプリンターの普及と有効利用のため、このMEMENTOは開発されているとも言える。まさにこれからの時代に適合する新たな3Dデータソフトとも言えるだろう。

ちなみに、オートデスクはこのソフトの使用範囲は非常に多くの分野で使えると発表しており、メディア・エンターテイメント分野に始まり、個人向けのパーソナライズされた医療用具を作る医療産業、プロトタイプが必要でさまざまなパーツ製造が必要な機械産業、エンドユーザーの3Dプリントなど、幅広い分野での使用が期待される。

使う立場の人もそれに合わせて多岐に渡り、アーティストやゲーム開発者、エンジニア、医療関係者、博物館、映画製作者、教育者、一般家庭など多くの人々が手軽に使用できることを目指している。これによって、多くの人々のアイデアやデザインを鼓舞することにつながるだろう。

さまざまな用途で使用可能

まとめ 3Dデータ化の簡素化は製品開発のスピードを向上

オートデスクに限らず3Dデータ化を簡単にするソフトウェアを開発はますます進んでいくだろう。たとえばIntelは3Dカメラを全てのタブレットやスマートフォン、ノートパソコンに搭載する事を実行に移しているし、3Dsystemsは多くの人々が3Dデータを簡単に作ることができる3Dデザインソフトの開発に乗り出している。

こうした動きは、現実に存在するさまざまなモノをシームレスにデータ化することにつながり、そのレベルや精度もどんどん向上していくに違いない。このオートデスクのMEMENTOもまさにその一つを占める一大ソフトウェアと言えるだろう。自らが開発してきた高価で複雑なCADソフトを否定し、3Dデータ化する作業を退屈なものと断じるその精神は素晴らしい。冒頭でも述べたが、あくまでも3Dデータ化はデザインにおける作業の分野であり、本来のデザインとしての役割がおろそかになっていては、いい製品を生み出すことはできない。

そうした視点からすると製品開発のスピードを速め、余計な作業を高速化してくれるオートデスクのこの新たなソフトは本当の意味でのデザイナーにとって大きなメリットをもたらすだろう。もちろん、それ以外のモノをカタチにする人にとっても同様だ。

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