消費者向け3Dプリンター市場は競争が激化
今年は消費者用の3Dプリンターが続々と登場してきている年だ。
ストラタシス(Makerbot)や3Dsystemsといった3Dプリンターの大手メーカーから、キックスターターなどのクラウドファンディングで資金調達を図る小規模企業に至るまで、あらゆる企業がこの市場に登場してきている。
また、ヒューレット・パッカードやエプソンといった二次元プリンターの巨大企業たちの参入も取りざたされる中、市場の競争はどんどん激化していくことが予測される。
そのため購入を検討している人たちも、購入するタイミングを計るのが難しいと思われる。 今最新モデルを購入したとしても、数か月後には、もっと高性能で低価格なものが登場しているかもしれないからだ。
また、こうした市場の激化は、私たち消費者にとっては多くのメリットをもたらすだろう。価格競争の激化と製品開発競争の激化が進めば、低価格化がすすみ、性能がいいものが手に入りやすくなる。
こうした3Dプリンター自体の競争が進む中、独自の方法で主導的な地位を獲得しようとする企業が存在する。それは3DCADソフトのオートデスクだ。
汎用OS開発という他社とは異なるアプローチ
オートデスクは言うまでもなく3Dプリンター用のデータを作るソフトウェアのメーカーだが、同時に3Dプリンターの開発も開始している。
オートデスクが他社の全ての企業と異なる点は、3Dプリンター用のOS開発を開始している点だ。
以前に3Dプリンター業界におけるGoogleの地位を狙うAutodesk、専用OS「スパーク」を発表という記事でご紹介したが、オートデスクはグーグルやマイクロソフトと同様の戦略で、一気に市場獲得を目指す計画だ。
オートデスクが開発する「スパーク」はグーグルのアンドロイドやマイクロソフトのウィンドウズに該当するもの。
専用OSとオープンソースの3Dプリンターを普及させることで一から独自に技術開発を行なうよりもはるかに早いスピードで3Dプリンター開発をおこなうことができる。
スマートフォンでサムスンがアンドロイドを搭載し一気に普及したように、どこかのエレクトロニクス企業がオートデスクの「スパーク」を利用し開発量産する可能性も高い。
専用OS スパークを搭載したオープンソースの3Dプリンター

3Dプリントと3Dモデリングの一般消費者の理解
このように消費者向けの3Dプリンター開発と普及を推し進める一方で、肝心の一般消費者の理解がどこまで追いついているかは疑問だ。
3Dソフトや3Dプリンターに対する理解や、自分たちになじみやすいと感じている一般消費者はほとんどいないのではないだろうか。
製品開発が進んだとしても、肝心の購買想定層である一般消費者の理解度が低ければ、普及するのはまだまだ先になるだろう。
オートデスクはこうした課題を解決するために、新たに3Dプリントクラスの募集を開始している。
これは3Dプリントのトータルサービスを行なうHoneyPoint3Dと提携して行われるもので、3Dプリントや3Dモデリングがどれほど簡単で有用性があるかを一般消費者を対象に普及を目指すというもの。 開催予定は7月18日から28日の期間で、オートデスク本社で開催される。ちなみに募集はグル―ポンで行われている。
オートデスク本社で開催



内容は全部で3時間にもおよぶ充実した内容で二部構成になっているようだ。
ちなみに価格はグル―ポン上で39ドル。第一部はオートデスク本社のギャラリーツアーでは20以上もの展示物を閲覧できる。 そこではソニーピクチャーズや、ナイキ、レゴ、ベンツといった有名企業の作品が展示されており、3Dモデリングの役割や可能性についての説明が行われる。
第二部では、3Dモデリングと3Dプリントを実際に体験できるコースで、スマートフォンから3Dモデルを作成するアプリや、同社のソフトFusion 360ソフトウェアで操作したり、3Dプリンターで実際にモノを作るという内容だ。オートデスクはこのイベントで合計112名の参加者を募る予定。本格的な啓蒙、普及活動につなげたい考えだ。
まとめ
消費者向け3Dプリンターの開発は今後数年間は激化が予測される。次から次に新機能を搭載した機種が登場するだろう。
そのような状況の中に合って、専用OSの利用を促し、誰でも開発可能なオープンソースの開発キットを提供するというオートデスクの方法はソフトウェア企業ならではの発想だ。
安価にハードが試作開発し、それを起動する専用OSが与えられることで誰でも開発に参加することができるし、技術開発のスピードも一気に向上するに違いない。 何よりも、既存の設備や資源を持つエレクトロニクス企業にとっては手が出しやすく、大手メーカーの進出で一気に3Dプリンター開発が進むかもしれない。
しかしこうしたメーカー主導で行われる製品開発には、肝心の消費者の理解、認知、ニーズが追い付いている必要がある。
今回のオートデスクの消費者向けのイベントはこうした消費者ニーズを知るのに重要な意味を持ってくる。 こうしたデバイス本体の開発とエンドユーザーでの認知が深まることで、更なる普及が進み、多くの人が安価で利用できるようになるのだろう。
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