3Dプリンター販売で50%の成長!買収でサービス拡大する3Dシステムズ社

売上高50%、純利益で30%の増加

3Dシステムズ社はストラタシス社と並ぶ2大3Dプリンターメーカーだ。アメリカに本拠地をおいていて、世界で初めて光造形による3Dプリンターを製品化したパイオニアメーカーとして知られている。ちなみに光造形とはエポキシ樹脂アクリル樹脂いう熱硬化性樹脂を使った造形方法で、液体の紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し、造形するという製法だ。

デスクトップタイプではFormlabs社のForm2がSLAタイプの光造形3Dプリンターとして人気を集めている。最近では熱硬化性樹脂であるポリウレタンを使ったゴムライクな材料も登場している。これは加熱すると硬化し冷却しても元に戻らないという熱硬化性樹脂の特性を利用したものだ。

また、3Dプリンターに出力するためのCADファイルなどのSTLというファイル形式を考案したのも3Dシステムズ社だ。

2013年度はまさに3Dプリンターの年といっても過言ではないほど世界中が注目し、続々と新サービスが開始したり、あらゆる業界で導入が進んでいる。

3Dシステムズ社の製品も光造形や粉末造形の製品を展開しており、自動車業界や航空宇宙産業、医療分野、電子機器など幅広い分野で製品が使用されている。

このほど3Dシステムズ社は2013年度の第3四半期の売上高を発表した。第3四半期の売上高は1,357億ドルで2012年度の四半期に比べ50%も売上が向上している。

その内訳をみてみると、

  • 3Dプリンター関連:        5980万ドル 76%増
  • 印刷材料:                      3320万ドル 30%増
  • サービス関連:               4270万ドル 38%増
  • ヘルスケア関連:           1690万ドル 19%増
  • 消費者関連:                  1350万ドル 

売上比率

売上高で見てもものすごい増加率で、売上総利益でも46%の増加、純利益でも1770万ドルで、前年同期の1350万ドルから約30%の増加である。株価も1株あたり16セントから17セントに上昇している。

更なる事業拡大を図る3Dシステムズ社 金属3Dプリンターメーカーを買収

3Dシステムズ社は2013年度の増収増益を受けてさらに事業を拡大していく方向性だ。この50%近くにのぼる成長率を加速させるために新製品の導入や小売チャネルへの販路拡大などを行うようだ。

さらにR&D、マーケティング部門、小売り担当などの部門へさらに人員を投下し一気に拡大を図っている。あらたに145人の新規雇用を行い、1000万ドルを投資すると発表している。

また3Dシステムズ社は更なる事業拡大のために買収を重ねている。3Dシステムズ社の買収で最も注目を集めているのがフェニックスシステムズ社の買収だ。

フェニックスシステムズ社はフランスのリオンに本拠地を置くダイレクト金属3Dプリンターのリーディングカンパニーで、同社の製品は6〜9ミクロンの粒度で非常に微細な粉末から化学的に混じりけのない完全な緻密金属とセラミック部品を印刷することができる。

その材料はステンレス鋼、工具鋼、超合金、非鉄合金、貴金属及びアルミナなど多岐にわたっており、航空宇宙産業や自動車など幅広い分野での導入拡大が期待されている。3Dシステムズ社は今年7月にフェニックスシステムズ社の株式資本の81%1510万ドルを買い取り完全な傘下に収めている。

サービスの多角化で事業拡大を図る 砂糖の3Dプリントに挑戦

3Dシステムズ社はさらにサービスを多角化しちょっと変わった取り組みにも挑戦をしている。それは砂糖の3Dプリントへの取組だ。3Dシステムズ社はお菓子を印刷使用と取り組んでいるシュガーラボという会社も買収している。

もともとシュガーラボはロサンゼルスに本拠を置くカイルとリズという夫婦が取り組んでいる会社で、バースデーケーキを作るのにオーブンが無かったために3Dプリントで作れないかという取組から始まったという。

シュガーラボで使用している3Dプリント技術プラットフォームは、すべての食品の安全性の要件を満たすもので、この買収により3Dシステムズ社は消費者の一般家庭市場への浸透も目指しているようだ。

出典;シュガーラボ

まとめ

3Dシステムズ社は3Dプリンターに関して製品を提供するだけではなくかなり事業を多角化して幅広い層を取り込もうとしていると考えられる。

フランスのフェニックスシステム社を買収したり、研究開発を行うことで、航空宇宙産業や自動車業、医療業界などに必要とされる精度の高いハイエンドモデルの充実に努めるとともに、家庭用での使用を想定したパーソナルモデルcubeシリーズを展開するなどコンシュマー向けの市場にも目を向けている。

また砂糖による3Dプリントの企業を買収するなど新たな試みにも取り組んでいる。こうした広範な領域での事業拡大は3Dプリンターに関する総体的な認知を底上げする意味があり、全ての分野において相乗効果が期待できるのだろう。

2013年度の第3四半期で50%近くの増収を果たしつつさらに今後は幅広い分野での3Dプリンターの利用が拡大していくのだろう。

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