カスタマイズ性と量産性を兼ね備えたマシーン
かねてから注目を集めている3DsystemsとGoogleの高速量産3Dプリンターだが、とうとうその詳細が公開された。
つい先日、2015年に量産化する旨を発表したばかりだが、今回はその稼働動画をリリースしている。
これは3DsystemsとGoogleが手掛けるスマートフォンのカスタマイズ生産のために開発された3Dプリンターだ。 しかし、その構造やシステムからもはや3Dプリンターという呼びかたは適切ではないかもしれない。
「オンデマンドのカスタマイズに対応する量産設備」と呼んだ方がいいだろう。
かねてから発表されていた概要では、ベルトコンベア方式によるもので、複数の押出しノズルがついており、物体は流れ作業で生産されていくという仕組みであったが、公開された動画はまさにそれを体現したものだ。
実機は今年11月に開催予定の世界最大の3Dプリント技術の展示会ユーロモールド2014で公開されるという。
本日はそのカスタマイズ量産を可能にする驚異の仕組みをご紹介。
ベルトコンベアーと複数ノズルのレース式生産
3Dsystemsのかねてから発表されている「レーストラックアーキテクチャー」を体現するものだ。
下記の動画を見ていただければわかると思うが、ベルトコンベア上を流れながら、各ノズルがそれぞれ異なるカラーや異なる素材を少しずつ物体に注入していくようなものだ。
さまざまなノズルがまるで車懸りのように次々と入れ替えながら様々な物体がプリントされていく方式になっていることがわかる。
カスタマイズ量産を可能にする「レーストラックアーキテクチャー」
無数のノズルが入れ替わり立ち代わりプリント

ベルトコンベアに乗せて移動

50倍のスピードとミクロンレベルの解像度を実現
ちなみに、この「レーストラックアーキテクチャー」は驚異的なスピードと精度を誇っており、通常の3Dプリンターの50倍のスピードで生成可能で、同時にミクロンレベルの精度を保っている。
それぞれ取り付けられているノズルは特殊な噴射技術によって1噴射に40億もの滴を発射することが可能で、3分で2リットル分のプラスチック樹脂を噴射することができる。
ミクロンレベルの解像度で1噴射40億滴

まとめ さまざまな加工機と組み合わせできる可能性
この方法はGoogleが提供するスマートフォンのカスタマイズサービスProject Araのために作られたシステムだが、本当にすごいのは、様々な量産設備に転用が可能な点だろう。
既に3DsystemsのCEOは、この技術を様々な量産設備に転用する考えを明らかにしている。
基本的にベルトコンベアと押出しノズルによって構成されているが、これに様々な加工機を加えることも計画しているという。
特長的なのはそれぞれのノズルのスピードや出し方をコンピューターによって制御管理していることから、あらゆるCNC工作機械での利用可能性を秘めている。
加工業ではマシニングやNC旋盤など、金属や樹脂など様々な加工機器が存在するが、もしかしたらそうした3Dプリンター以外の加工機と組み合わせた、完全なカスタマイズ量産マシーンが登場するかもしれない。
これは現時点では何の根拠もない空想に過ぎないが、データから直接成形する機械は何も3Dプリンターに限ってのことではないためだ。
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