3DsystemsとGoogleの量産用高速フルカラー3Dプリンターは2015年に生産開始

3Dプリンターの高速化で一歩先を行く3Dsystems

現在、世界各国の研究機関や、3Dプリンターメーカーが3Dプリンターの高速化に取り組んでいる状況だ。

我が国日本でも経済産業省と大手企業が中心となり、現在の10倍のスピードを持つ金属用3Dプリンターの開発に取り掛かり始めている。

そんな中気になるのが各国の取組状況だ。以前も世界各国の3Dプリンター開発状況を、「日本で産学官の3Dプリンター開発が始動、各国比較に見る戦略性不在」という記事でご紹介したが、世界各国は日本の一歩先を行く感じだ。

また、国が主導となって3Dプリンターの開発を行うだけではなく、企業のみでその開発を行うケースも多い。

特に3Dプリンターの高速化で世界をリードするのは、この業界のトップ3Dsystemsだ。3Dsystemsは今年の初頭にフルカラー3Dプリンターとマルチ素材対応の3Dプリンターを発表したが、合わせて高速化に取り組んでいる。

現在3Dsystemsが発表しているだけでも2種類の高速3Dプリンターが見て取れる。

第一は、1台の3Dプリンターで大量のパーツを高速生産しようという開発だ。こちらの3Dプリンターは光造形の3Dプリンターをベースにしている。

そして第二の開発は、Googleと共同で手掛ける新たなタイプの高速カスタマイズ単品生産ができるタイプだ。

この新たなかたちの3Dプリンターは以前も「3DsystemsとGoogleが3Dプリンターによる本格的な高速大量生産を計画」でご紹介したが、正式に2015年の第一四半期に生産が開始されることが発表された。

現在、この計画Project Araは正式に中止が決定しています。

既存の50倍のスピードで、フルカラー、高品質を実現させる

以前の3Dsystemsの発表では、Googleが手掛けるスマートフォンのカスタマイズ生産、Project Araに対応させるためのもので、Googleと一緒に開発計画を発表した。

その全貌は全く明かされていないが、どうやら来年の第一四半期に正式に生産を開始すると発表された。

この3Dプリンターは、既存の3Dプリンターというよりもベルトコンベアのような量産設備というイメージが適切だ。

今回新たに発表された点では、既存の3Dプリンターの50倍を超えるスピードで、フルカラーで、高品質な成型を完全自動で可能にするという。

このプリントシステムは複数のFDMノズルで流れ作業のようなかたちになるので、鍵となるのは、FDM用のノズルの精度と、大規模なプリント用の床だ。

高速化を実現するためには、1本1本のFDMノズルのプリント速度を大幅に高め、また同時に高品質を維持し続けなければならない。

また、同時に対象物をベルトコンベア方式で移動させるため、大規模なプリント床を開発しなければならないとのこと。

3Dsystemsはこの新たなシステムを「製品レベルのスピードとボリュームに対応するための、継続的高速3Dプリント生産プラットフォーム、フルフィルメントシステム=レーストラック·アーキテクチャ」と名付けている。

まとめ -スマートフォン以外の製造業にも利用する計画-

この新たな3Dプリント量産システムは、スマートフォンのカスタマイズ生産以外にも使用されることは明白だ。3Dsystemsの最高経営責任者Avi Reichental氏はこのProject Ara用の3Dプリンター開発に関して以下のように言及している。

我々は、他の多くの産業用および消費財アプリケーションに高速量産3Dプリンターの開発の利点を適用できることを期待しています。

この発言からも、Project Araでの開発はきっかけにすぎず、あらゆる大量生産を行う製造業で導入が可能になるかもしれない。

特に一般消費者が手に取る量産商品での導入がされた場合、一人ひとりの要望に応える商品の生産を可能にする。

既存のシステムとは全く異なる概念だが、この開発が成功した暁には、顧客のさまざまなニーズに対応し市場を勝ち取るために、多くの製造業での利用が期待されるだろう。まだその開発の途についたばかりだが、今後の発表に注目が集まりそうだ。

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