3Dsystemsと世界最大のコンサル企業デロイトが3Dプリントディスカバリーセンターを開設

100年の歴史をもつ世界最大のコンサルティング企業

デロイトは100年以上の歴史を持つ世界最大のコンサルティング企業だ。

全従業員18万人、世界150カ国でコンサルティング事業を展開し、手掛ける業種も航空宇宙産業から小売り業、保険、投資、不動産とあらゆる業界のコンサルティングを行っている。正式名称はデロイト・トウシュ・トーマツといい、それぞれの会計士の名前をとっているのが社名の由来だ。

ちなみにデロイト・トウシュ・トーマツのトーマツは日本の有限責任監査邦人トーマツの創業者等松農夫蔵の名前から取られている。

今回3Dsystemsと共同で開設された3Dプリンターのディスカバリーセンターはデロイトの子会社であるデロイト・コンサルティング・LLPだ。

3Dsystemsは言うまでもなく、3Dプリンターや3Dスキャナーのリーディングカンパニーだ。このディスカバリーセンターはワシントンDCに近いデロイトのバージニア州事務所に設立され、製造業に対する支援が行われるという。

利益がでる新製品開発と事業展開を模擬体験

それではデロイトと3Dsystemsが立ち上げたディスカバリーセンターとはどのような役割を担っているのであろうか。

目的は、製造業の企業が市場に製品やサービスを提供する際、新しいデザインや3Dプリント技術を利用する前に、3Dプリント技術の実地教育やコストを削減し生産性を高める教育を行うことだ。

ディスカバリーセンターでは消費者向けのデスクトップタイプの3Dプリンターや産業用のハイエンドな3Dプリンターが配備され、企業が試作品を生成するのに利用することができる。

また、単純に3Dプリントが利用できるだけでは単なる出力サービスになってしまうので、デロイトと3Dsysstemsは3Dプリントに最適な高度な設計と20以上の分野にわたる総括的な製造の学習モジュールを開発している。

この学習モジュールは企業の特長や独自性に応じて個々にカスタマイズすることも可能で、3Dプリンターを使いながら、実地に効率的な製造プロセスを学習することが可能となる。

ディスカバリーセンター

具体的には製造業が製品を開発し製造する際には、利益の観点から製造計画を見直すことも行う。

下記の図はデロイトが提供している製造業における損益分岐を表現した図で縦軸がユニットあたりのコスト、横軸が生産数を表している。

損益分岐点

生産数が少なければ少ないほど当然ユニット当たりのコストは高くなり、生産数が多ければ多いほどユニット当たりのコストは小さくなる。

ちょうど緑色の部分Breakeven pointが損益分岐点になることをしめしている。

このディスカバリーセンターでは、単純な3Dプリンターの使用方法ではなく、どのように製造体制に3Dプリンターを組み込んで使えば、事業として最も効率的に利用でき、収益が出る体制にすることができるかどうかをその企業の業態に合わせて習得することが可能になるのだ。

また、このディスカバリーセンターの実地教育プログラムに参加することで、実際に新製品を開発し生産する前に、製造プロセスを端から端まで模擬体験することができる。

まとめ

デロイトと3Dsystemsが開設するディスカバリーセンターは大企業の幹部向けに提供されるサービスという。

確かに、従来通りのある程度の在庫を抱える大量生産体制による製造業はこれからの時代対応することが難しくなる時代になるだろう。

また3Dプリント技術に関しても、従来のラビットプロトタイピングの範疇を超える、最終品に製造する使用方法も登場し始めている。

そうすると、単純に3Dプリンターを配備して3DCADオペレーターを導入するだけでは本当の力を発揮することは難しく、もっと包括的な原料調達、物流、製造、販売、マーケティングに至るまで一貫した製造計画が必要になる。

3Dプリント技術はマッキンゼーもレポートで発表しているように、市場に今までには無かった新たな企業が急速に参入する可能性が多い。

マッキンゼーはこれを破壊的な競争者とレポートで呼んでいるが、こうした新規参入者たちはインターネットと3Dプリント技術という二つのデジタル技術を駆使し、エンドユーザーとダイレクトに結びつくことで顧客を獲得していくと予測している。

また同時に従来大量生産時代の企業に当てはまる原材料仕入れから販売までの一連のバリューチェーンを根本から変える可能性あると指摘している。

こうした3Dプリント技術の今後の影響を考えると、中小企業以上に、大規模な企業に対する影響の方が計り知れないものがあるのではないだろうか。

そうするとデロイトと3Dsystemsのディスカバリーセンターは大企業むけに最適なトータルサポートなのかもしれない。

マッキンゼーの3Dプリント技術の影響に関する記事はこちら

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