Zbrushで「服とボタン型装飾品8点」を分割加工する

身体の中でも、単純な部分の分割方法:「胸と服」編

 こんにちは!Z造形師です。

それでは3DプリンターのForm3でフィギュアを造形するために、さらにモデルを修正していきましょう!

ボタン型装飾品8点」を検証する

 今度はZbrushで服に装着されている8点のボタン型装飾品を、Form3での3Dプリントや着色を考慮しながら、分割接合加工していきましょう。

※服は以前作成したスカート一体型データに差し替えています

 そこでまずこのボタン型装飾品を検証します。
同じデザインなのですが、実は裏側の服との接合部分がすべて服の形状に合わせて変形していて、1点だけでの使いまわしができない結果となっています。
さらにどういうことか、それぞれの装飾品が微妙に変形していて「だ円気味」になっていたりしています。
理想としては「同じデザイン同じ形状」のものが8点配置されているほうが、作業しやすくてありがたいのですが・・。

といいつつも手間を惜しまず、ここではいったんBlenderに戻ってこのボタン型装飾品のマスターモデルを1点作成して、それからZbrushで個別の形状を作成したほうが作業が速そうです。
もちろんZbrushでも装飾品は作成できますが、汎用性の高いBlenderでいきましょう。

Blenderでボタン型装飾品を作成する

では、Blenderを立ち上げてください。
そして今回のハッカドール2号の3Dデータをベースにして、新規にきれいなボタン型装飾品のひな型を1点作成しましょう。
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※すみません!ここでBlenderでの作成コンテンツをはさむと長くなりますので、後日別途で記事を作成しますのでご了承くださいませ。

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ボタン型装飾品をZbrush内で配置する

それでは、Blenderからエクスポートしたボタン型装飾品の「FBX」をZbrushにインポートしましょう。

 穴が開いていたようなので、穴埋め(穴閉じ)しましょう。
穴が開いているレイヤーを選択し、右側パネル「ジオメトリ/トポロジー編集/穴閉じ」を押して、穴を閉じましょう。

 2サブツールに分かれたこの装飾品のサブツールを、いったん統合して1サブツールにしましょう。
そして「サブツール/コピー」して、本体データに「サブツール/ペースト」して取り込んでしまいましょう。

そして、まずどれか既存のボタン型装飾品のひとつ付近に移動させます。
移動は上部パネルから「移動」ボタンを押してマニュピレーターを表示させてください。
マニュピレーターとボタン型装飾品がずれている場合は、マニュピレーター上部のアイコン「左より3個目」を押すと合致します。
ほぼ同じ位置に移動させて、大きさも合わせたら、既存のボタン型装飾品を削除してしまいましょう。
それから新しいボタン装飾品を、服の面に合わせて角度調整してください。

 角度調整しても服が波打っていて、どうもうまく収まらないと思います。

 こんな場合は無理して角度で合わせるより、ボタン型装飾品を移動させて服にめり込ませたほうが楽で速いですね。
ですがめりこませるとボタン自体が埋まってしまい、ボタン型装飾品が見えなくなってしまいます。
では装飾品全体に長体をかけたり拡大すると良いかと言いますと、それではなかなか服の厚みを貫通するぐらいの位置に底面を移動しつつ表面の装飾品形状を変えないのが難しそうです。
ではどうするかと言いますと、まずボタン型装飾品の裏面だけを選択して表示させましょう。
ボタン型装飾品だけを表示してから、裏面を「Ctrl+Shift」を押したまま選択してください。

 これは、ポリグループ分けされた面を表示非表示させる機能ですが、もしうまくいかない場合はポリグループ分けされていないので、まず先にポリグループ分けしましょう。
右側パネル「ポリグループ/法線グループ分け」を押してください。
今回のような形状ではこれで自動的にポリグループ分けできます。

 このボタン型装飾品のレイヤーが選択されている状態で、レイヤーの目玉マークをクリックして背景に「服」を表示して下さい。
そして、上部の「移動」ボタンを有効にしてマニュピレーターを表示させて下図のように服の内側までボタン型装飾品の底面を「移動」させてください。
 また底を「移動」させただけではボタン型装飾品の形状が多少変わってしまうので、底を「拡大」させて外側に見えているボタン型装飾品の形状を元々の形に合うように調整してください。

このような状態になれば、良いと思います。

Zbrushで「ボタン装飾品と服」をブーリアンする

 それでは8個のボタン型装飾品を個別にひとつずつ、服とブーリアンしていきましょう。
ブーリアンにはだいぶ慣れてきましたでしょうか。
下図を参照して8個の装飾品にブーリアンを設定し実行してください。

「LiveBoolean」を有効にしていれば、下図のようにブーリアンで削除される部分が「斜線」で表示されているので、これを目安に位置調整をおこなって頂けますと楽で速く作業がはかどると思われます。

 装飾品がブーリアンできましたら、装飾品が新たに別ツールとして自動生成されているか確認しておいてください。
新規にできた別ツール(スカートでブーリアンした箇所)は、下図のようにスカートで分断された裏面にゴミが残っていますので、削除しておきましょう。

削除方法は、まず左上の「ブラシ/SelectLasso」を選択して有効化しておいてください。

 個別に選択しやすい角度に装飾品を回転しておいて、「Ctrl+Shift」を押しながらボタン装飾品側の必要な部分をフリーハンドで選択してください。
緑の選択範囲がガイドとして、現れます。

右側パネル「ジオメトリ/トポロジー編集/非表示削除」ボタンを押してください。
これでゴミは削除されます。

注意点としては、ボタン型装飾品の前面部分を服にめり込ませすぎると、下図のように前面の応答部分がスカートにめり込んでしまい、そこでブーリアンすると元々の形状が破綻してしまいます。
こうなると3Dプリンター出力する段階でやり直しが発生しますので、ぜひ注意しておいてください。

この章のまとめ

ボタン型装飾品8点をBlenderで作成してから、Zbrush側で配置してスカートでブーリアンするところまでを実行しました。
本当はBlenderでひな型を作る予定ではなかったのですが、どうも作り進んでいるうちに装飾品が形状的に立体化しにくい上に8点かつそれぞれの向きがバラバラという非常に作業困難な点に気付き、急ぎひな型方式に修正しました。
突き進むべき時もありますが、回り道するべき時もあるということでご理解をどうぞよろしくお願い致します。