Form3専用スライスソフトでフィギュアの髪にサポート材をつける

頭の出力設定

 こんにちは!Z造形師です。

今回は「頭(顔)」からです。
ここはもちろん顔面が最重要な箇所なので、サポート材は後頭部へ付けます。
首のあたりもサポート材が付かないように、若干回転調整しましょう。

ですが、ここで注意点があります。
これは光造形の積層型3Dプリンターの特性なのですが、「急な角度で積層」した場合にはその稜線(等高線)が肉眼で見える可能性が高くなります。
「急な角度で積層」とは、今回の場合で言いますと、上図の「顔」の顔面を上に向けた状態を指します。

ではどうすれば良いかと言いますと、顔面を急な角度でプリントしないようにする、つまり下図のような位置に顔面を配置すれば稜線(等高線)は出にくくなります。

稜線(等高線)が顔面から消えて、そのかわりに「急な角度で積層」した箇所が頭頂部分に移動します。
頭頂部は髪の毛で隠れて見えませんので、問題はありませんね。

H2 服8点装飾品の出力設定

こちらは「服の装飾品本体の8点」です。
服との接合面側にサポート材を付けますが、「自動生成選択」でサポート材を付けたところ下図のようにサポート材の先が表面に出てきていました。
見えない程度の大きさなのですが、きちんとした仕上げを目指して修正をしておきましょう。

「複数のサポートを編集する/編集」ボタンを押して、サポート編集モードに入りましょう。
そして「装飾品」の「接合面」外周ぎりぎりに配置してある「接合ポイント」の「白い点」の付近に、かつ内側をクリックして新たに「白い点」を追加してください。

そののち元々あった外周ぎりぎりの「白い点」をクリックして、消去してください。
その後に「適用」を押して、元のサポート材の付いた画面に戻ってください。

サポート材の先端が表面に出なくなりました。

ロングヘアーの出力設定

「ロングヘアー」は特に目立つ部分です。
できるだけ内部にサポート材は付けたいのですが、すべてを内側(髪の毛の中)に収めるのは無理のようなので、外側にサポート材が着くのは可能な限り少なくなるようにしましょう。

さて上図のように配置したのですが・・・実際にこれを3Dプリンターでプリントすると失敗します。
理由は、「最初から一気に広い面をプリント」することになるからです。
理想的なプリントの初期状態は「小さい面からじょじょに広い面をプリント」することです。
ではどのようにすればよいかと言うと下図のようにすれば理想的になります。

さすがに頭の前方にサポート材が着いてしまいますが、研磨で乗り越えましょう。

前髪の出力設定

「前髪」も多少回転させてサポート材が内側に付くようにしましょう。
ですが「プリント適正」が「エラー」になりました。
「内部サポート」を有効にしてもよいのですが、そうすると削除しにくい部分にサポート材が付いて困ったことになりそうです。
そのためここは「複数のサポートを編集する/編集」ボタンを押して、「サポートを編集する」モードで個別にサポート材をつける事にします。

「赤いエラー箇所」は1箇所だけなので、ここをクリックしてサポート材を付け「エラー」を消しましょう。

「プリント適正」が「合格」になりました。

前髪の1本毛の出力設定

今度は「前髪の1本毛」です。
こちらも回転を多少調整してサポート材をつけましょう。

ポニーテールの輪の出力設定

「ポニーテールの輪」です。
こちらは図のように縦型に回転して配置しましょう。
寝かせて配置すると表面に稜線(等高線)が目立つように付いてしまいます。

後ろ髪の出力設定

「後ろ髪」です。
これも縦型置きでサポート材を付けましょう。
「後ろ髪」は目立たない位置のモノなので、サポート材の位置はあまり気にしなくて良さそうです。

ポニーテールの出力設定

最後に「ポニーテール」です。
これは「ロングヘアー」に接合し「輪」もからんでいます。
そのため内側など見えない部分が多いパーツです。

「ポニーテール」の注意点は、細い毛先にできるだけサポート材を着けないように配置することです。
見本は下図のように、「ロングヘアー」と同様に「小さい面からじょじょに広い面をプリント」しながら、かつ「毛先が下向きにならない」ようにうまく回転調整することです。
毛先が下向きになりますとその毛先にサポート材が必要になり、毛先の鋭角な部分にサポート材がつけば研磨などの作業が増えてしまいます。

以上で3Dプリンターで印刷する、データの準備は整いました。

Form3での3Dプリント テスト出力

Form3での3Dプリント造形出力の詳細はこちらをご覧ください。

「Form3でプリントを開始する」

(※「2.6 データをForm3へアップロードする」から参照ください)

サポート材を設定したハッカドール2号の全パーツをPreFormソフト上で配置し、解説の通りにまずはテスト的に3Dプリントしてください。
まずは積層間隔を最大(160ミクロン)にして、テスト的なプリント出力をしてみましょう。
これで致命的な位置についたサポート材をチェックして、もう一度PreFormに戻って修正することで本番のデータをより完璧なものにできます。

※今後よりわかりやすい3Dプリント出力向けのコンテンツも作成しますので、チェックして頂けると嬉しいです。

3Dプリント出力品のチェック 

それでは、テストプリントした各パーツを確認していきましょう。

確認点としては、

①出力がきちんと出来ているか?形状の崩れはないか?

②サポート材はどうか?余計な部分に引っ付いていないか?

③サポート材を削除したあとの形状はどうか?凹凸やサポート材の残骸が残っていないか?

④各パーツを組み立てて「ダボ」のはいり具合はどうか?ちょうど良いか?ダボがはいらないか、ゆるゆるか?

を見ていきます。
研磨は少しでも少ない方がよいのです。
特に表面の目立つ箇所のものは、できるだけ避けたいので、1箇所でもよいので減らしましょう。

Form3での3Dプリント 本番出力

テストプリント出力した造形物を入念にチェックして、PreFormでのサポート材設定を手動で調整し終えたら、本番プリント出力です。
もしかしたらテストプリントを何回かしなければならないかも知れませんが、材料を無駄だと思わず多くの経験から学び独自のノウハウを蓄積してください。

納得いく状態までハッカドール2号のフィギュアを試行錯誤して造形すれば、今後研磨し塗装した時にその喜びは何倍にもなって帰ってきますよ!

この章のまとめ

Form3のスライサーソフトPreFormで、特にサポート材の設定方法を重点的に解説しました。
Form3は全自動型の3Dプリンターなのでプリント方法は詳細を解説しませんでしたが、今後フォロー記事を作成する予定です。
全自動でも完全全自動などこの世にはありえなくて、やはり人の手を経ることでコツやノウハウがあるものです。

現在、研磨および塗装のコンテンツ制作に向けて準備を整えています。
近日これらのコンテンツも無料で公開しますので、どうぞ楽しみにして頂けましたら幸いです。