設計・製造ソリューションでのストラタシスの3Dプリンター展示
毎年東京ビッグサイトで開催される設計&製造ソリューション展(通称DMS)。
今回は設計・製造ソリューション展の中でも注目の展示第3弾としてさまざまな領域に広がるストラタシスの展示をご紹介します。
ストラタシスの3DプリンターはFDM方式からPolyJet方式、光造形方式まで幅広い造形方式に拡大しており、ものづくりの試作から開発、量産の領域まで導入されています。
ものづくりの設計から生産まで広がる3Dプリンター
ストラタシスの3Dプリンターはものづくりの工程において、設計試作から生産の領域まで活用が広がっています。今回の設計・製造ソリューションにおいても、3Dプリンターのリーディングカンパニーを象徴するような展示がされました。今回は各造形方式と、どのような活用方法が展開されているかをご紹介します。
大型造形 FDM方式3DプリンターStratasys F770:1メートルのサイズで最終品レベル
ストラタシスの代表的な造形方式がFDM方式です。FDMという言葉自体が一般化していますが、現在もストラタシスの登録商標で、ストラタシスが開発した技術です。
フィラメント状の熱可塑性樹脂を使用して造形物がつくれます。現在は特許が失効したことで多数のFDM方式の3Dプリンターが登場していますが、ストラタシスのFDM方式は他のメーカーに比べて異なっているのが、最終品レベルが作れるという点です。
特に高強度で靭性があるABSを使って高い寸法精度と強度がある造形物を作ることが可能です。一般的にABSは熱収縮性が強く、一般的なFDM方式の3Dプリンターでは“反り”という現象は避けて通ることができません。
しかしストラタシスのFDM 3Dプリンターは庫内オーブンを搭載していることから、高い精度を誇ります。
今回展示されているF770も1メートルの造形サイズが3Dプリントできる大型3Dプリンターです。従来、ストラタシスの大型の3DプリンターはF900で導入コストも非常に高額でしたが、F770はABSとASAという2種類の材料に限定することで、コストも抑えた形で導入が可能。造形サイズも1,000×610×610㎜を実現しました。またサポート材も溶解性サポート材に対応しているため、中空などの複雑な構造物もプリントできます。
独自の庫内オーブン機能により、収縮性が高いABSやASAの大型のパーツも3Dプリントできます。
Stratasys J35 Pro。マルチマテリアル3Dプリンターのデスクトップ
ストラタシスは上記でご紹介したFDM方式に加えPolyJet方式の3Dプリンターも一大ラインナップの一つです。
Stratasys J35 Proはマルチマテリアルが表現できる3Dプリンターで、従来のJ55やJ850の低価格タイプです。回転式のターンテーブルを搭載し、ラバーライク材料からABSライク材料、透明材料や低コストで高速プリントできる材料などに対応しています。
Stratasys J850 Prime。最大50万色のフルカラー表現
上記のPolyJet方式では、最大50万色を超えるフルカラー3DプリントができるJ850で出力した多彩なサンプルも展示されました。
Stratasys J850 Primeではでは7つの素材を組み合わせることで、最終品さながらの造形が可能です。またPANTONE®カラーに対応しており、形状や質感、色など細部にわたってプロトタイプの検証ができます。このフルカラーの表現力は製品開発以外にも利用され、フィギュアキャラクターの造形にも最適です。
Stratasys J850 TechStyle。布や生地に直接3Dプリントできる
ストラタシスのPolyJet方式の3Dプリンターは、その多彩なカラー表現から製造業だけではなくファッションの業界でも利用が盛んです。
パリコレなどでのオートクチュールなどにも使用されていましたが、今回はファッションに特化した活用方法が展示されました。
Stratasys J850 TechStyleは布や生地に直接3Dプリントができる3Dプリンターです。J850のCMYKWを使ったフルカラー表現を綿、ポリエステル、麻、革といった服などに使用される素材に直接積層して造形が可能です。
ストラタシス初の光造形Stratasys Origin One。射出成型並みの精度と生産性
今回はストラタシスの中でも初となる光造形3DプリンターStratasys Origin Oneが展示されました。ストラタシスはこれまでFDMやPolyJet方式が中心でしたが、光造形でも新たな3Dプリンターを開発し、より生産レベルでの展開を強めています。
Stratasys Origin Oneの最大の特長が、最終品レベルの高い寸法精度と高速3Dプリントができる点です。非常に微細なレベルで造形が可能で、下記写真のように電子部品のパーツなども3Dプリントができます。
また、材料も高強度や高耐熱など10種類以上に対応しておりモノづくりの幅広い分野で利用が期待されます。
まとめ
ストラタシスの展示は、従来のFDM方式やPolyJet方式に加え新たに光造形方式などが登場するだけではなく、幅広い価格帯や特価した機種の登場により、従来よりもさらにモノづくりのさまざまな領域での活用が期待されます。とりわけ生産レベル、デジタルからの最終品製造の分野では他のメーカーよりも一歩も二歩も進んだ活用状況が注目です。