Form3で機能性のある造形を3Dプリントするとどのような仕上がりになるのか?
造形の機能性はどこまで表現されるのか?
表面の仕上がりのディティール以外にも材料の持つ特徴や機能性についても見ていきたいと思います。
今回の機能編は、「カラビナ」に注目します。
カラビナとは、楕円形で一部に開閉できる機能の付いた金属リングです。元々は登山道具やクライミング用として開発されましたが、現在はアクセサリー用としても様々な機能やサイズのカラビナがあります。
今回はこのカラビナを3Dプリンターで3Dプリントをしてきたいと思います。
3Dプリントする形状とサイズ
こちらが3Dプリントするカラビナの3Dデータです。
今回プリントするカラビナは、開閉部分に部品が無い一体型のデザインです。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。
サイズ : 64.7mm(縦)×34mm(横)×6mm(高さ)
使用する光造形3Dプリンターと材料
今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料は、Form3専用スタンダードレジンのグレイレジンを使用します。
3Dプリンター用 硬質スタンダードレジン
硬質スタンダードレジンは、光造形3Dプリンターにおいて最も一般的に使用されるレジンです。多様な用途に対応できる汎用性が高く、プロトタイピングから模型、フィギュアまで幅広い分野で活用されています。このタイプのレジンは、適度な強度と耐久性を持っており、扱いやすさとコスト面でも手頃な価格であるため、初心者から熟練者まで幅広く利用されています。
3Dプリントで検証したい内容
【検証】機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールの仕上がりと機能性は?
3Dデータで作成した造形を3Dプリントした後に、実際にどのくらいの機能を表現できているのかも見ていきましょう。
Preformでのプリント設定
サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、50ミクロン
でプリントしていきます。
こちらがPreFormでのプリント画面になります。
プリント時間 | レイヤー数 | ボリューム | Total材料コスト | 1個あたりのl材料コスト |
6h29m | 826層 | 27.53ml | 4個=518円 | 1個=129円 |
3Dプリント結果
[寸法結果]
3Dデータサイズ : 64.7mm(縦)×34mm(横)×6mm(高さ)
3Dプリント後のサイズ
縦 : +0.7mm
横 : +0.1mm
高さ : −0.2mm
縦と横に少し広がりましたが、ほとんど寸法通りにプリントできました。
機能性の結果
カラビナ3Dプリントまとめ
結果は、3Dデータ通りにとても高精細で滑らかな造形に仕上がりました。
表面だけでは無く、内側部分も同様にきれいで滑らかににプリントできていました。
プリント設定に関しても、高さの低い直付プリントだったので、特に影響も無く滑らかな造形に仕上がりました。機能性に関しては、柔軟性もあり、カラビナ開閉部分の動作も問題なくできました。
ただ、スタンダードレジンは、そこまで強度がある材料では無いので、曲げすぎると折れる可能性があります。見た目の確認やプロトタイプ用としての使用に向いている材料です。
3Dプリントの結果としては、今回使用したグレイレジンの特徴である、滑らかで美しい表面と、高精細なディティール表現が良く出ている検証結果になりました。
Formlabsのスタンダード樹脂以外にも、Form3の材料にはABSの強度を再現したTough 2000 Resinやポリプロピレンの靭性を再現したTough 1500、その中間で適度な曲げ強度があるデュラブルなど、曲がりにくく硬くて頑丈な部品の3Dプリントに最適な材料もあります。カラビナの機能性や強度の比較検証もしていけたらと思います。
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