光造形3DプリンターForm3レビュー【機能編 バッグホルダー : グレイレジン 】

光造形3DプリンターForm3レビューの機能編です。
Form3で機能性のある造形を3Dプリントするとどのような仕上がりになるのか?
造形の機能性はどこまで表現されるのか?
を検証していきます。
表面の仕上がりのディティール以外にも材料の持つ特徴や機能性についても見ていきたいと思います。

今回の機能編は、「バッグホルダー」に注目します。
荷物を持ちやすくするための持ち手として使用されるバッグホルダー。荷物の入っている重い袋や箱等を運ぶ時に紐やバンドををフック部分にかけて、手で提げられるようにするものです。手提げホルダーとも言われ、手を傷めずに荷物の持ち運びができます。ポリプロピレン製で作られている物が多いです。今回はこのバッグホルダーを3Dプリンターで3Dプリントをしてきたいと思います。

プリントするバックルの形状とサイズ

こちらが3Dプリントするバッグホルダーの3Dデータになります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。 
この形状のバッグホルダーを3Dプリントしていきます。

バックホルダーサイズ : 84.5mm(縦)×120mm(横)×15mm(高さ)

使用する光造形3Dプリンターと材料

今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
光造形3Dプリンター用の材料はForm3専用スタンダードレジンのグレイレジンを使用します。

3Dプリントで検証したい内容

【検証】機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールの仕上がりと機能性は?

こちらがPreFormでのプリント画面になります。
この内容で3Dプリントをしていきます。

検証したい内容は、機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールと機能性です。
3Dデータで作成した造形を3Dプリントした後に、実際にどのくらいの機能を表現できているのかも見ていきましょう。

Preformでのプリント設定

サポート設定と積層ピッチ

サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、50ミクロン
でプリントしていきます。

プリント時間 レイヤー数 ボリューム Total材料コスト 1個あたりのl材料コスト
4h37m 296層 58.21ml 1個=1,094円 1個=1,094円

プリント画面右側のプリント適性部分に、カップ症状が検出されています。
3Dデータの黄色で表示されている部分になります。両面に凹みのあるデザインになっているので、カップ現象によりうまく3Dプリントできない可能性があります。今回は、このまま直付のプリントで検証していきます。

3Dプリント結果

それでは、3Dプリントの結果を見ていきましょう。

3Dデータ通りの造形
側面表面がとても滑らか
凹み部分も綺麗で滑らかな仕上がり
フック部分の曲線もきれいに造形できている
 
角の精度も良く出ている
反対側 文字の部分
文字部分の細かい凹凸がきれいにプリントできている
全体的に高精細で滑らかな造形
側面表面の仕上がり 薄っすら積層跡が見える
フック部分の溝も滑らか
直付面の表面の仕上がりもきれい
持ち手部分の造形も滑らかに仕上がっている
持ち手の凹み部分
表面の凹み部分 カップ症状は問題無くプリントできた
表面の凹み部分 カーブも滑らかにプリントできている
側面の凹み部分 内側の角の精度も良い
フック部分の表面

[寸法結果
3Dデータサイズ : 84.5mm(縦)×120mm(横)×15mm(高さ)

3Dプリント後のサイズ
縦 : 寸法通り
横 : +0.5mm
高さ : +0.6mm

横と高さがほんの少し広がりましたが、ほとんど寸法通りにプリントできた。

機能性の結果

機能性の結果になります。
実際にプリントした持ち手を握ってみました。中が空洞のデータでは無いので、ずっしりした重さと硬さもあり、しっかりとした造形に仕上がっています。

バックホルダーの機能であるフック部分に荷物を引っ掛けてみました。
重さに耐えられる強度も問題無さそうです。

バッグホルダー3Dプリントまとめ

今回は、機能編ということでバッグホルダーをテーマに光造形3Dプリンターで3Dプリントしてみました。
結果は、3Dデータ通りにとても高精細で滑らかな造形に仕上がりました。表面の凹凸や溝の内側部分も滑らかできれいにプリントできていました。角の精度の仕上がりも良くできていました。
一部カップ症状が検出されていましたが、直付プリントのままプリントしました。高さが無かったので直付でも、造形に影響が無くプリントできました。
機能性に関しては、厚みがありしっかりとした造形の3Dデータだったので、強度もあり重い荷物でも問題無く提げることができました。
今回使用したグレイレジンの特徴である、滑らかで美しい表面と、高精細なディティール表現が良く出ている検証結果になりました。
Formlabsのスタンダード樹脂以外にも、Form3の材料にはABSの強度を再現したTough 2000 Resinやポリプロピレンの靭性を再現したTough 1500、その中間で適度な曲げ強度があるデュラブルなど、曲がりにくく硬くて頑丈な部品の3Dプリントに最適な材料もあります。別の材料でのパーツの耐久性や強度の比較検証もしていけたらと思います。