Form3で機能性のある造形を3Dプリントするとどのような仕上がりになるのか?
造形の機能性はどこまで表現されるのか?
表面の仕上がりのディティール以外にも材料の持つ特徴や機能性についても見ていきたいと思います。
今回3Dプリントするバックルの種類は、サイドリリースバックルです。
サイドリリースバックルの特徴は、ワンプッシュで簡単にリリースができる事です。両サイドのボタンを均等に押した時にリリースができる機能を持っています。バックルの端にはベルト等のテープの長さを調整して固定できる機能を持った穴も開いています。
プリントするバックルの形状とサイズ
こちらが3Dプリントするバックルの3Dデータになります。
3Dデータは、Blenderという3Dソフトを使用して作製しています。
バックルのパーツは2個に分かれています。
パーツ1 サイズ : 41mm(縦)×27mm(横)×8.7mm(高さ)
パーツ2 サイズ : 39mm(縦)×27mm(横)×8mm(高さ)
使用する光造形3Dプリンターと材料
今回使用する光造形3Dプリンターは、Form3です。
Form3は、高精細、滑らかな仕上がりが特徴の反転方式の光造形3Dプリンターです。
ソフトは、Form3の専用ソフトウェア PreFormを使用します。
PreFormでは、プリントするデータ、プリント方向、サポートの付け方を設定することができます。
材料は、Form3専用スタンダードレジンのグレイレジンを使用します。
3Dプリンター用 硬質スタンダードレジン
硬質スタンダードレジンは、光造形3Dプリンターにおいて最も一般的に使用されるレジンです。多様な用途に対応できる汎用性が高く、プロトタイピングから模型、フィギュアまで幅広い分野で活用されています。このタイプのレジンは、適度な強度と耐久性を持っており、扱いやすさとコスト面でも手頃な価格であるため、初心者から熟練者まで幅広く利用されています。
3Dプリントで検証したい内容
【検証】機能性のある造形を3Dプリントした場合の表面ディティールの仕上がりと機能性は?
3Dデータで作成した造形を3Dプリントした後に、実際にどのくらいの機能を表現できているのかも見ていきましょう。
Preformでのプリント設定
サポート設定は、直付プリント(サポート設定なし)
積層ピッチは、50ミクロン
でプリントしていきます。
こちらがPreFormでのプリント画面になります。
この内容で3Dプリントをしていきます。
プリント時間 | レイヤー数 | ボリューム | Total材料コスト | 1個あたりのl材料コスト |
8h15m | 826層 | 38.81ml | 5個=730円 | 1個=146円 |
3Dプリント結果
パーツ1のプリント結果
[パーツ1 の寸法結果]
3Dデータサイズ : 41mm(縦)×27mm(横)×8.7mm(高さ)
3Dプリント後のサイズ
縦 : 寸法通り
横 : +0.1mm
高さ : 寸法通り
横に少し広がりましたが、ほとんど寸法通りにプリントできました。
パーツ2のプリント結果
[パーツ2 の寸法結果]
パーツ2 サイズ : 39mm(縦)×27mm(横)×8mm(高さ)
3Dプリント後のサイズ
縦 : −1mm
横 : +0.1mm
高さ : −0.1mm
縦と高さが少し縮んで、横に少し広がった。
機能性の結果
出来上がったパーツを実際にはめてみました。
バックルがピッタリとはまりました。
今度は、両サイドのボタンを押して外してみました。
うまく外すことができました。グレイレジンは、強度性よりも高精細で滑らかなディティールの造形が特徴で、プロトタイプの作製に向いている材料です。何度も動作を繰り返すと割れや欠ける恐れが出てくる可能性があります。
バックル3Dプリントまとめ
結果は、3Dデータ通りにとても高精細で滑らかな造形に仕上がりました。細かい凹凸や空洞の内側部分もきれいにプリントできていました。サポートなしの直付プリントでもここまで滑らかな造形ができるという事がわかりました。機能性に関しては、バックルの特徴であるワンプッシュでのリリースも可能でした。
今回使用したグレイレジンの特徴である、滑らかで美しい表面と、高精細なディティール表現が良く出ている検証結果になりました。
Formlabsのスタンダード樹脂以外にも、Form3の材料にはABSの強度を再現したTough 2000 Resinやポリプロピレンの靭性を再現したTough 1500、その中間で適度な曲げ強度があるデュラブルなど、曲がりにくく硬くて頑丈な部品の3Dプリントに最適な材料もあります。パーツの耐久性や強度の比較検証もしていけたらと思います。バックル以外にも機能性のある造形を色々検証していきたいと思います。
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