3Dプリンター活用技術検定試験が開催

世界的に高まる3Dプリント技術の需要

世界の3Dプリント消費が続々と拡大傾向にある。IDC(インターナショナル・データ・コーポレーション)の調査によると、世界の3Dプリント消費額は、2022年には23億ドルに達すると見込んでいる。

3Dプリント関連市場では、ハードウェア、材料、ソフトウェアなど5年間の年間平均成長率は18.4%に上る。とりわけ、ハイエンドな生産レベルの3Dプリンターが顕著だ。

具体的な企業の事例でも、HPが新たな金属パーツの量産マシーンを発表、中国において生産設備を設立したり、GEやエアバス、ジョンソン&ジョンソン、レゴなど航空宇宙、自動車製造、医療、小売などあらゆる分野に浸透し始めている。

企業・学校での3Dプリント教育が高まる

そのような中、世界的に必要となるのが3Dプリント技術に精通した人材だ。従来のCADなどのソフトウェアのスキルに加え、材料の特質と、造形技術に精通した人材が求められるようになる。

既にアメリカやヨーロッパ、中国などでは、企業でもこのスキルを習得させる動きが出ており、さらには中学生レベルから3Dプリントに対する教育が実施されつつある。

これは一例だが、ドイツのBMWなどは、Additive Manufacturing(海外では、3Dプリントという呼びかた以外に、アディティブマニュファクチャリングという言い方が多い)が学べるキャンパスを1200万ドルの費用をかけて開設し(2019年オープン予定)エンジニアやデザイナーに対して、新たなレベルの3Dプリント技術のトレーニングを行う。

このように、各企業は、自社で3Dプリント技術の教育を施し、新たなデジタル製造を身につけ競争力を高める動きに出ている。

全米で5000校以上の学校に導入が行われたMakerBotイノベーションセンター

日本初の3Dプリント技術の資格。3Dプリンター活用技術検定

こうした3Dプリント技術を取り入れるうごきは日本でも徐々に登場している。一般社団法人コンピュータ教育振興協会が行う3Dプリンター活用技術検定もそのひとつだ。2016年に始まったこの資格試験は、3Dプリンターに関する基本的な知識と技術が習得できる資格だ。

3Dプリンターのさまざまな製法から材料の特性などを習得し、実際に3Dプリンターを使用する際のより実践的なスキルを身につけることができる。現在、3Dプリンターは、さまざまな製法、種類が登場し、価格帯もさまざまだが、基本的な知識を身につけることで、今後拡大するデジタル製造にいち早く対応することが可能だ。

習得できる内容とは?基礎からプロセス、用途まで

それでは、3Dプリンター活用技術検定で習得できるのはどのようなスキルなのだろうか。試験の科目は大きく分けて3つに分類される。

「3Dプリンターのメリット」が学べる

この第一の分野では、「3Dプリンターのメリット」がテーマだ。3Dプリンターの基礎、3Dプリンターのプロセス、3Dプリンターの用途という3つのカテゴリでそのメリットについて身につけることができる。ここでは、いわば3Dプリンター全体の概要を学ぶことが可能で、従来の量産加工方法との違いや基本的な仕組み、具体的な用途について習得できる。

「3Dプリンターの仕組みとプロセス」が学べる

第二の分野が「3Dプリンターの仕組みとプロセス」だ。現在3Dプリンターは、さまざまな製法があり、FDM(熱溶解積層法)から光造形法、レーザー燒結法、インクジェット法などあらゆる造形方法が存在する。また、特許の失効によって技術開発が進み、より高精彩でよりスピーディに、量産分野まで可能にする製法が登場している。

ここでは3Dプリンターの製法を7つの分野に分け、その特長や材料を知ることができる。また、この分野では、「3Dプリンターの造形材料」、「3Dプリンターの後工程」、「3Dプリンターの造形用データ」と、それの製法に対応した材料や後工程、データの設定なども知識として習得できる。

「3Dプリンターの活用」が学べる

そして第三の分野が「3Dプリンターの活用」が学ぶことが出来る。「3Dプリンターの仕組みとプロセス」の分野で7つの製法について学ぶことができるが、各製法ごとに使える用途が異なっており、それぞれのノウハウや実際の活用事例などがわかる。

例えば従来はプロトタイプの作製が中心であったが、最近では治具や工具の製造、文化財の保護、エンターテイメント、最終品の製造にまで使用が拡大している。

試験の流れ

3Dプリンター活用技術検定の流れは公式ホームページにアクセスし新規会員登録を行ったあと試験申し込みをオンライン上で行う流れだ。料金は8,000円(税抜き)で、クレジットカード決済、コンビニ決済、バウチャー(団体での一括決済を希望される場合)が利用可能。受験票PDFをプリントアウトし受験用写真を用意する。

3Dプリンター活用技術検定の概要

  • 主催:一般社団法人コンピュータ教育振興協会
  • 試験名:3Dプリンター活用技術検定試験
  • 資格名:3Dプリンター活用技術基礎
  • 受験資格:特に制限はなし
  • 受験区分:個人受験/団体受験
  • 受験料:8,000円+消費税
  • 試験時間:1時間

① 平成28年度後期試験(平成29年2月12日実施)
応募者:306名 受験者:284名 合格者:244名 合格率:85.9%

② 平成29年度前期試験(平成29年9月10日実施)
応募者:137名 受験者:120名 合格者:107名 合格率:89.2%

③ 平成29年度後期試験(平成30年2月18日実施)
応募者:142名 受験者:132名 合格者:124名 合格率:93.9%

④ 平成30年度前期試験(2018年9月9日実施)
応募者:140名 受験者:123名 合格者:105名 合格率:85.4%

くわしい情報は、3Dプリンター活用技術検定試験公式ホームページをご参照ください。

次回2019年2月17日開催予定

【試験概要】

  • 試験名称:3Dプリンター活用技術検定試験
  • 試験日時:2019年2月17日(日)10:30~11:30
  • 対象:3Dプリンターを導入または導入を予定している製造業の社員、関連ベンダーやサービス提供企業の社員や、これらの企業に就職、転職を希望している学生や社会人
  • 試験方法:マークシート形式による真偽方式および多岐選択方式(60問)
  • 受験料:8,000円(税別)
  • 試験科目:「3Dプリンターのメリット」「3Dプリンターの仕組みとプロセス」「3Dプリンターの活用」
  • 主催:一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)

【公式ガイドブック】

3Dプリンター活用技術検定公式ガイドブック 日経BP社発行/定価3,000円(税別)/2016年5月24日発行

ガイドブック紹介Webサイト:編集協力:日経ものづくりhttp://techon.jp/atcl/store/15/266719/051000006/

【試験Webサイト】

http://www.acsp.jp/3DP/index.php

まとめ

3Dプリント技術の開発と浸透はこれから本格的に拡大していくだろう。FDM、光造形法、レーザー焼結法など、中心的技術の特許が失効することで、技術の利用と開発が加速するためだ。

また、ここ数年間においても最終品を量産する取組も着々と進みつつある。今後数年でいわば3Dプリント技術は“モノ”に関わる分野では必須のスキルになるだろう。そうした点からもこの3Dプリンター活用技術検定試験は、3Dプリントスキルの入り口として、最適なものだ。

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