ウェアラブル衣類をオンデマンド製造。新たなテキスタイル3Dプリンター

ウェアラブル衣類の画期的な製造プロセスの開発

スマートフォンの普及によって、インターネットはもはや当たり前の手軽な存在になりつつある。どんな情報もどんな場所にいてもすぐさまインターネットにアクセスすれば調べることが可能だ。このインターネットの普及は単純にスマートフォンのみに留まるものではなく、ウェアラブルコンピューターすなわち身に付けるコンピューターとしてさらなる拡大を果たそうとしている。

あらゆるプロダクトがインターネットに接続されることで、さまざまな人間の行動パターンの情報がデータとして集積され、人間の行動様式に合わせたさらなるサービスの展開が可能になるとされている。

例えばその代表的な製品がフィットネスやスポーツといった用途で使用されるプロダクトが挙げられるだろう。身に付けることでその日の運動に応じたカロリー消費量や心拍数などが記録されより効果的なメニューが改善される。こうしたウェアラブルデバイスは現在ではリストバンド状のものや時計状のものがほとんどではあるが、このさらに進化した形態として、柔軟で柔らかい布状のモノへの利用が開始されている。

以前もご紹介したGoogleのプロジェクトジャカードなどはその際たる事例だといえよう。導電性の糸を使い、極小の電子部品や通信用センサーなどを布に埋め込むことで、アプリケーションコントロールを可能にするというものである。だが、このウェアラブル衣類の製造工程では、既存の完成した衣類の表面に導電性繊維と電子デバイスを統合するか、織物中の製造工程に入れ込むかといった製造プロセスしかないのが現状である。

このような状況の中、完全に衣類を織りながら電子デバイスを統合する画期的なテキスタイル3Dプリンターが登場している。本日はイギリスで開発されたウェアラブル衣類のデジタル製造を可能にするテキスタイル3DプリンターCosyflexをご紹介しよう。

3Dプリントテキスタイル 

テキスタイルの3Dプリンター

3Dプリントテキスタイルシステムとは

ウェアラブル衣類の3DプリンターCosyflexは2001年にイギリスのマンチェスターにある企業Tamicare社によって開発された。2005年にはこの3Dプリントテキスタイル技術の特許が取得され、現在独自の進化をたどっている。現在のデジタルテキスタイルプリンターは高品質な製品では直接布地にデザインをプリントするタイプのものではあるが、Tamicare社のCosyflexは布地へのプリントだけではなく、電子部品やセンサー、電子回路の配線といった部分を製造プロセスの一貫として組み込むことを可能にしている。

Cosyflexの材料は天然ゴムラテックスとビスコース繊維によるもので、布織物の構造均一性と同時にポリウレタンベースのスパンデックスのような伸縮性を兼ね備えている。基本的な製造技術はビスコース繊維を植毛し、同時に液体状のラテックスを噴霧することで固定、繊維の層を積層していくというやり方で、製造するプロダクトの形状やデザインなどに応じて、この積層を変え、オンデマンドで製造できるというわけだ。ちなみに、このCosyflexによる生産量は年間で300万ユニットを製造することが可能になる。

3Dプリントテキスタイル ウェアラブル衣類

2色の3Dプリントテキスタイル

3Dプリントテキスタイル ウェアラブルデバイス

100倍の倍率で拡大した繊維

Cosyflexシステムで作られた布地

グラフェンインクの導入で軽量・高強度のウェアラブル衣類を作る

ウェアラブル衣類への製造はこのビスコース繊維の植毛とラテックス噴霧に加え、導電性のグラフェンインクの追加により製造プロセスに電子デバイスの埋め込みを可能にするとのことだ。これにより、このCosyflexテキスタイルプリンターは単なるスマート衣類に留まらず、スポーツや防衛分野における高強度で軽いウェアラブル衣類の製造が可能になる。

このグラフェンインクを使用した新たなCosyflexのシステムでは、ウェアラブル機能搭載のスポーツシューズの製造工程が、従来の製造プロセスで行った場合の100から3つに削減することができるとしている。ちなみにグラフェンは、高い導電性を持つとともに、柔軟性と高強度のハイテク素材。今このグラフェンを使った3Dプリント技術や素材開発が盛んになりつつある。

例えば、グラフェンが実用化された場合には、柔軟性があり折り曲げたりすることができる電子デバイスを作ることが可能になる。このテキスタイルの3Dプリントとグラフェンの導電性が組み合わさることでさまざまな形態の柔くて高強度なウェアラブルデバイスが作ることができるというわけだ。

グラフェン

グラフェンのイメージ

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まとめ ウェアラブル衣類の可能性は無限大

今回はテキスタイル、織物の3Dプリントについてご紹介したが、3Dプリント技術の一つの方向性として、電子回路や電子部品を統合し、デジタルデータからダイレクトに動く機械を作ろうという動きが盛んになりつつある。これまで弊サイトでも度々ご紹介してきたが、デュアルFDMヘッドによって樹脂素材に電子回路を直接内蔵するVoxel8の開発などがその代表的な例だろう。

また同時に、ハードウェアの核とも言えるプリント基板そのものもデータからオンデマンドで作ろうという動きも登場してきている。昨年ジェームズダイソンアワードを受賞したプリント基板の3DプリンターVoltera V-ONEや、アメリカ市場に上場したイスラエルのNano Dimensionなどが代表的である。

もともとプロトタイプを作るためのマシーンであった3Dプリンターは、素材の進化によって最終品の製造を行うマシーンとしての利用が開始されているが、このダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング(DDM)の並みは単一素材に留まるものではなさそうだ。

今回ご紹介した、Tamicare社のCosyflexシステムは一見するとテキスタイル=織物というイメージから衣類のみを連想してしまうが、ウェアラブル化とオンデマンド製造によってもたらされる分野は無限大である。衣類、シューズ、サポーター、リストバンド、帽子、手袋など身につけられるもの全てが対象となるといっても過言ではない。デジタル製造の拡大は、意外な分野から拡大していくかもしれない。

2016.1.4 投稿者:i-maker

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