新たに3Dプリント技術に1500万ドル投資するシンガポール
シンガポールは欧米諸国に負けず劣らず3Dプリント技術の研究開発に力を入れている国だ。
先進国たちが自国の添加剤製造、すなわち3Dプリント技術の導入と研究開発に力を入れている中、シンガポールも相当な予算をつぎ込み自国の添加剤製造技術の研究開発にうちこんでいる。
まず3000万ドルちかい予算を投じてシンガポールの製造業の拠点といえる南洋工科大学内に3Dプリント技術の研究機関を設置した。この3Dプリント技術の研究機関は2014年5月にオープンする予定となっている。
一方これとは別に新たにシンガポール科学技術研究庁が1500万ドルの資金を投じる3Dプリント技術プログラムを立ち上げた。
このプログラムの主な目的は航空宇宙産業、自動車産業、石油·ガス開発、海洋および精密工学産業における3Dプリント技術のサポートを目的としている。上記の各製造業はシンガポールの製造業のうちの約20%ちかくの比率を占める主要産業である。
今回のプログラムはシンガポール製造技術研究所SimTech社が中心となって進め、南洋工科大学や材料研究工学研究所(IMRE)およびハイパフォーマンスコンピューティング研究所(IHPC)がパートナーとして協力を行う。主な主要分野としては以下の6つの製造プロセスの研究開発が行われることになる。
■研究対象となる3Dプリントの製法
- レーザーアディティブマニュファクチャリング(LAAM)
- 選択的レーザ溶融(SLM)
- 電子ビーム溶解(EBM)
- Polyjet
- 選択的レーザー焼結(SLS)
- 光造形(SLA)
研究開発された技術や製法はシンガポールの製造業にすぐに利用がなされるというもの。
まとめ
シンガポールは世界の物流拠点として知られているが、同時に一部、半導体分野など世界のエレクトロニクス産業の中心地としても知られている。
日本や中国、韓国など世界中から製造用の部品やパーツがシンガポールに集積し、シンガポールで組み立てられることによって最終製品が出荷されることになる。
従来通りであればシンガポールは世界の組み立て工場と世界のサプライチェーンの中心地としての地位を保ちつつあるあだろうが、3Dプリント技術の進展はサプライチェーンに大きな影響を与えることは間違いない。
既にアメリカやイギリスをはじめとする企業(航空宇宙産業や自動車業での使用が顕著だが)で3Dプリンターを使用してパーツ類の製造が始まっており、今後最終パーツの製造における3Dプリントの使用頻度が高まることは顕著だ。
このような場合、一度世界中のパーツ類が集積し組立が主要産業となっているシンガポールには大きな影響があると想定される。
こうした将来のサプライチェーンの変化を見据え、シンガポールは3Dプリント技術の研究開発に力を入れ、自国製造業に添加材製造を導入しようとしていると考えられる。
シンガポールは3Dプリント技術に対して投資を行うことにより、データからパーツがダイレクト製造できる時代にも対応した産業構造に変化させようとしていると考えられる。
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