デトロイドモーターショーで登場したコブラは巨大3Dプリンターで復活

自動車ボディの3Dプリント製造

ローカルモーターズが自動車のボディをわずか44時間で3Dプリントに成功し、3Dデータとローカル製造の波が自動車にまで押し寄せようとしている。そのローカルモーターズの取組を後押しするのが、アメリカの最先端技術を研究するオークリッジ国立研究所だ。極端な表現を使えば、ローカルモーターズは本来、インターネット上で自動車のデザインが集まるホームページに過ぎなかった。

ホームページ上では世界中から自動車のオリジナルデザインの投稿でにぎわっているが、そのヴァーチャル空間に、血と肉を与え、ヴァーチャルをリアルに変えるものが、オークリッジ国立研究所が開発する巨大な3Dプリンターだ。この巨大な3Dプリンターは、炭素繊維配合の樹脂を使った巨大なFDM、熱溶解積層法の3Dプリンターだ。

オークリッジ国立研究所とローカルモーターズはこの装置の精度とスピードをより向上させ、自動車のボディの本格的な生産に利用する計画を立てている。その一環ではないが、現在開催中のデトロイドモーターショーでこの巨大3Dプリンターを使ったシェルビーコブラのレプリカが公開された。

わずか6週間で有名スポーツカーの復刻を完全再現

シェルビーコブラは、今はなきアメリカのスポーツカーメーカー、シェルビー・アメリカンの代表的な自動車だ。当時フェラーリの最強のライバルとしても知られた車だが、今回オークリッジ国立研究所とシンシナティ社が開発した新しいBAAMシステム巨大高速3Dプリンターの力を借りて、完全にレプリカとして再現されることになった。

このシェルビー・コブラのレプリカのボディの製造期間は6人の技術者が参加しわずか6週間で作り上げることに成功している。本体のボディはローカルモーターズのStratiと同様炭素繊維複合材料であり、塗装と研磨によって光沢感がある仕上がりを達成している。この完全復刻されたシェルビー・コブラは、従来のシェルビー・コブラに比べ半分の重量でいながら、3倍強度があるとしている。

ちなみに今回作られたシェルビー・コブラはレプリカだが、オークリッジ国立研究所によると、「プラグアンドプレイ」などの電池と燃料電池技術、ハイブリッドシステムの設計、パワーエレクトロニクス、およびワイヤレス充電システムなどのコンポーネントをするように設計されている。

巨大高速3Dプリンターで再現されたシェルビー・コブラ

まとめ 高速化する自動車の3Dプリント製造

オークリッジ国立研究所とシンシナティ社は、冒頭で述べた通りローカルモーターズのパートナーだ。今回の巨大3Dプリンターのレプリカ製造によって、自動車のカスタマイズ製造が確実に行われることを示している。当初ローカルモーターズは44時間かかっているが、現在はこの巨大3DプリンターBAAMのスピードは1台あたりのプリントが24時間まで短縮されている。

ローカルモーターズとオークリッジ国立研究所の目的は44時間かかっていたスピードを1000倍近く速めて精度よくプリントできることだから、確実にプリント時間が向上していると言えるだろう。2015年にはローカルモーターズは本格的な自動車の3Dプリント製造販売を開始するとの発表も出ている。ショールームと開発・製造が一体となった無料で開発者が利用できるマイクロファクトリーも公開予定だ。2015年以降、ローカルモーターズとオークリッジ国立研究所、そしてその高速化を後押しするオートデスクの動きは目が離せなさそうだ。