靴の生産に3Dプリンターが本格導入、素材と製法を独自開発

広がるシューズの3Dプリント製造

インターネットの普及と3Dプリント技術の向上によって、多くの人が自分だけが求める製品が手に入る時代が近づいている。3Dデータと3Dプリンターを使えば、自由に製品をカスタマイズすることが可能だし、自分語のみのデザインにカスタムしたものを手に入れることができる。

とりわけエンドユーザー向けのプロダクトでは、スマートフォンやタブレットのアプリなどで簡単に自分の好きな製品に変更することができるようになるだろう。こうしたカスタマイズの動きが最も盛んな製品が人間が身に付けるタイプのプロダクトだ。たとえば代表的な製品でいうとシューズなどがその際たるものだろう。人の足のサイズや形状は千差万別で、同じ人でも左右によって大きさや形状が異なる。

しかし3Dプリンターであれば左右の足とも完全にジャストフィットするシューズを作ることだって不可能ではない。そんな期待から、既に3Dプリンターでシューズをカスタマイズ製造しようというメーカーが登場している。以前もご紹介したFeetzやユナイテッドヌード、ナイキやプーマなども3Dプリント製造を計画しているという。そんな3Dプリントの利用が進むシューズ業界だが、新たに3Dプリンターで完全製造するメーカーが登場している。

本日は新たな3DプリントシューズメーカーPeopleをご紹介。

シューズに最適な通気性とクッション性に優れる独自素材を開発

3Dプリンターでシューズをつくる場合、一点課題となるのが使用する素材だ。ユナイテッドヌードなどがイベントや展示会などで展示するシューズはナイロンパウダーなどを使用しているが、正直履き心地は不明だ。実際に人が履いて使用するとなると、カスタマイズできるできない以前の問題として、履き心地が重要になる。

例え自分好みのデザインにカスタマイズできたとしても履きにくく足が痛くなってしまえば本末店頭である。しかし、本日ご紹介するPeopleは、シューズとして使用するのに最適な新たな新素材を開発し3Dプリントに利用している。その素材は独自の発泡成形体で作られており、クッション性に優れ軽量な上、通気性に優れた仕上がりを可能にする。

まさに歩くのに最適なフィット感と機能性を与えてくれるわけだ。この素材と3Dプリントする方法は公開されていないが、彼ら独自の技術を使用することで、無縫製でシューズを作ることが可能になり、一般的な靴の製造に比べてはるかに廃棄物少なく効率的に作ることが可能とのこと。現在Peopleが提供するシューズの種類はフィリップス、スタンリー、フィリップスニット、スタンリーニットの4種類に、サンダルのセナ、レノン、レノンスライドの3種類。

メンズ、レディース、キッズそれぞれでラインナップを持ち、価格は60ドルから利用できる(ニットタイプは89ドル)。

靴に最適な素材を独自開発
縫製せずに製造できる

まとめ 人の心を打つためのオリジナルな素材と製法

今回ご紹介したPeopleの画期的な部分は、シューズに最適な素材すらも独自開発している点にある。確かに、既存の3Dプリンターに対応した樹脂素材ではシューズに求められるフィット感や柔軟性、通気性などを再現することは難しい。しかし、素材の課題がクリアになり、また製品としてのクオリティも担保することができればこれほど3Dプリンターが最適なプロダクトもないだろう。

そうした点から考えると、本当にエンドユーザーのニーズに対応したいと願うのであれば、素材や製法なども独自に研究開発し、他社が真似することができないオンリーワンの製品開発を行うことがこれからの時代必要になるだろう。インターネットの普及と3D技術の向上は、多くの人々をものづくりの分野に参入させることになるが、その分だけ他社と差別化し、人々のこころを打つ製品開発を行うことは難しくなるだろう。

なるべくであるならば、他のコピーのような安易なモノが蔓延するのではなく、クオリティの高い、人のこころを感動させる製品が生まれるために3Dプリント技術が多用されることが望まれる。

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