最終品のパーツ製造の使用が拡大
2013年度は3Dプリンターに注目があつまり、いろいろな分野での導入が加速された年だ。
やはり製造業や医療分野での導入が顕著で、最終製品のある特定の部品を製造するために3Dプリントを使用するケースが多かった。
このほど大手調査会社のウォーラースアソシエイツが発表したレポートによると、部品製造における3Dプリンター使用は、すべての3Dプリントされた製品やサービスのうちの約30%を占めるようになったという。
本調査レポートでは3Dプリント市場を過去10年間にさかのぼってみており、パーツ製造で使用された金額は10年前の2003年ははずか3.9%であった。
この比率は10年間毎年成長をし続け、2012年度には28.3%、22億ドルに達する見込みだ。この比率と金額は今後も年々増加する傾向にあり製造業や医療分野における3Dプリントのパーツ製造は拡大する方向だ。
過去には3Dプリンターは製造業の現場では試作品、プロトタイピングを製造する目的で使用されてきており、現在も試作品製造には欠かすことができない技術だが最終品で使用するには今一歩という状況が続いていた。
しかし、3Dプリンター自体の技術的向上すなわち精度の向上や素材の多角化によって最終製品の部品の生産に利用できることが可能になっている。本レポートによると製造現場における試作品の製造とパーツ製造の比率は1対1000以上の比率であり、パーツ製造にこそ3Dプリンターは力を発揮するようになっているとのことだ。
医療分野と製造業での使用が大半を占める
3Dプリンターによる最終部品の製造は様々な分野での使用を含んでいるという。
一般的に3Dプリント技術は素材を積層して製造することから添加剤製造と言われており、プラスチックや金属がパーツ製造に使用されている。
医療分野では歯科分野での使用が浸透しており、歯冠やブリッジの生成だ。ブリッジとは歯の欠けた部分を修復する固形物になる。また整形外科の分野での使用も普及しておりインプラントの製造でその力を発揮している。医療分野では個人個人によって歯の形や骨の形が異なるため、その人の身体にあった代替物を製造するには3Dプリンターは最適なデバイスだ。
製造業の現場での使用は航空宇宙産業や自動車でのパーツ製造に導入されている。
飛行機のボーイング社では、航空機に使われている環境制御システムの製造に3Dプリンターを使用している。また、GEアビエーションは、その次世代のジェットエンジンの燃料ノズルに3Dプリント技術を使用することを計画しており、年間で40,000以上の燃料ノズルを3Dプリンターで製造することを発表した。またイギリスのロールスロイス社も航空機エンジンを製造しているが、3Dプリンターで軽量部品を製造している。
今後の予測
ウォーラース·アソシエイツの予測では、3Dプリント市場は2015年には40億ドル、2017年には60億ドルに達し、2021年には108億ドルの規模まで成長を続けるとしている。
この成長率は二けたの成長率をほこっており、3Dプリンターが急速に浸透していくことを示している。こうした急速な3Dプリント市場の拡大の背景には3Dプリンターを導入することの3つのメリットがあると考えられる。
まとめ
3Dプリンターを製造プロセスに導入しパーツ製造することで具体的にどんなメリットがあるのであろうか。以下は従来からの企業の導入事例を見てみて得た私見である。
1.コスト削減
第一にコスト削減である。この場合のコストとは費用、時間、人員の3つを含むもので、従来品の製造に比べて上記3つのコストが3Dプリンターを使用することで圧縮することができる。
GEやロールスロイスなどの航空機部品の製造ラインに3Dプリンターを導入している目的もコスト圧縮が主要な目的である。例えばジェットエンジンのノズルの製造には従来は20種類の機械加工されたパーツを組み合わせて製造してたが、3Dプリンターで製造した場合、20種類の部品を製造するためのコストが一気に削減される。
コスト削減は新たな新製品開発や研究開発に資金や人員と時間を費やし更なる価値観の創出につなげることができる。
2.品質向上
第二のメリットは品質の向上である。3Dプリンターによるパーツ製造はコスト削減だけではなく品質向上をもたらす。従来品のように多数のパーツをアッセンブルする必要はないため、従来品よりも軽く耐久性に優れた製品を製造することが可能だ。
3.製品競争力の強化
第三のメリットは製造にかかるコスト低下はエンドユーザーに対して提供される価格も引き下げることが可能になる。エンドユーザーにとってみれば、より安い価格で従来品よりも性能が向上したものを利用できるのだから言うまでもない。価格低下は他社に対して価格競争力を持つことも可能だ。
参考記事:ウォーラースアソシエイツ
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