世界中で3Dプリンターの導入が拡大。材料市場が2025年には6億ドルの市場に成長

素材の多角化と3Dプリンターの普及が市場規模を拡大させる

3Dプリント技術はもともと20年前に試作品をつくるための手段としてはじまったが、技術の進化とともに直接最終製品をつくりだすための手段に変わりつつある。

技術の進化とは造形された製品のクオリティの向上や、造形スピードの向上などがあるが、より産業分野における直接製造の幅を広げている要素は素材の多角化である。

当初は試作品製造として石膏をけずって造形するものが主流であったが、現在では樹脂によるプラスチック製品の製造、金属製造など徐々に素材の幅が広がっている。

一般的に使用頻度が多いものは、樹脂、金属、石膏が大半だが最近では多種多様な素材の研究が行われており、ゴムや木材、砂糖、次世代素材といわれるグラフェンなどあらゆる分野で3Dプリントできないかどうか研究が行われている。特に、金属3Dプリンターは、設計データからダイレクトに最終品レベルが作れるということで、注目を集める分野でもある。

こうした素材の多角化が3Dプリント材料の市場規模を拡大する要因の一つであるが、同時に3Dプリンターの普及を加速させる要因ともなっている。素材の多角化が進めば3Dプリンターの使用フィールドも進みさらに材料市場が拡大するという仕組みだ。

PLA樹脂

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世界各国の3Dプリンターの導入比率 産業に占める割合

2013年度は3Dプリンターの導入が飛躍的に進んだ年といえる。

個人向けにも使用することができる安価なデスクトップタイプの3Dプリンターも登場し、日本でもヤマダ電機やamazonでの販売が開始されているが、主な使用用途は製造業などの産業界での使用が主流となっている。それでは世界の主要国の3Dプリンターの導入状況はどのような割合なのであろうか。下記はウォーラーズ・レポートが発表している3Dプリンターの主要国の導入比率である。

全ての産業に占める添加剤製造の導入率

  • 1位 アメリカ:38%
  • 2位 日本:9.7%
  • 3位 ドイツ:9.4%
  • 4位 中国:8.7%

出所:ウォーラーズ レポート

新たにヨーロッパで16社、中国で7社、アメリカで5社、日本で2社が3Dプリンターによる添加剤製造システムを導入したという。導入数は今後もますます拡大すると予測されており、3Dプリンターを製造工程に導入することによってコスト削減と品質向上により企業が競争力を持つことが可能となる。

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3Dプリンターの個人使用の拡大

材料市場が拡大するもう一つの要因として挙げられるのが個人使用の拡大である。例えば今では3Dプリンターは最も安くて約10万円程度で購入することができる。

ちなみに2007年から2011年度の個人向け3Dプリンターの販売台数は200%から400%の成長を誇っており、産業用で使用される高スペックなものに比べ出荷台数の伸び率が高く2016年度には50万台近くが出荷されると予測されている。

主な使用用途としてコンシュマー向けはおもちゃ、アクセサリ、じゅえり、靴、セラミック、アパレルの分野での使用が顕著になるといわれている。

二次元プリンターのように、まだまだ自宅に1台おいて製品データからモノを作るというところまではいかないが、地元の出力サービスなどで出力してもらい製品として使用するという形はそれほど遠い未来ではない。

現にキンコーズが3Dプリントサービスを開始したり、アメリカではUPSが試験的に3Dプリントサービスを開始した。

こうしたビジネス出力サービス会社が提供する3Dプリントは製造業向けであるが、キンコーズなどはエンドユーザー向けに写真から立体のフォトフレームを作るサービスを開始しており、早晩個人向けのサービスも対応することになると思われる。

また同時に3Dデータから個人向けにカスタマイズした製品を3Dプリントして販売するサービスも盛んになっている。

最も有力なのがshapewaysで、2012年度は世界中に100万個以上出荷したという。日本でも同様のサービスが続々と立ち上がっており3Dプリントデータで製造販売できるマーケットプレイスのrinkakなどはその最たるものだ。

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まとめ

3Dプリンターは製造業の現場での導入や個人サービス向けの導入が加速しており、当然のことながら3Dプリント素材の需要もますます高まってくる。また3Dプリント技術は素材の研究開発の分野にも大きな影響を与えていると考えられる。

これからの時代は素材自体の開発を行うのではなく同時に3Dプリンターで使用することができるかどうかの研究もおこなわれるようになりつつあるのではないだろうか。

現に次世代素材として注目されるグラフェンはタッチパネルやLEDなどに使用できる新素材として注目を集めているが研究開発分野には3Dプリンターでの使用も含まれている。

3Dプリンターにおける素材の研究は世界各国の研究機関で行われている。代表的なのがNASAで、食品用の3Dプリンターの研究などを行っている。また、3Dプリンターの研究で世界的に有名なアメリカの国立アディティブマニュファクチャリング·イノベーション研究所(NAMII)やシンガポールで2014年度に開設される国立の南洋工科大学(NTU)研究所なども素材の研究は含まれている。

素材はモノを作る源流をなすもので素材一つで世界のモノづくりを革新してしまう力を秘めているため、素材開発とオンデマンドで製造することができる3Dプリント技術に今後注目していきたい。

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