3Dプリント技術でカヤックを自分の体型にカスタマイズ
3Dプリンターの利用がいろいろな分野で使用され始めている。とりわけ2014年度は最終製品への製造に使用されることが期待されているが、3Dプリンターでカヤックを作ってしまったエンジニアが登場した。このカヤックだが、接合部分のネジなど以外はほぼ100%3Dプリンターで作られている。
もともとカヤックを構成する材料はポリエチレン系樹脂のものや、樹脂を複合した繊維強化プラスチック、ABS樹脂などで作られているものが多く、3Dプリントで使用される材料としての適合性はあったといえる。ちなみにこの3Dプリントカヤックには一般的なABS樹脂が使用されている。
その構造はシンプルで28個の3Dプリントされたプラスチックパーツをネジなどで接合して組み立てている。面白いのが、カヤックのサイズや形状が搭乗者である作者自身の身長と体重に基づいてパフォーマンスを最適化するために設計されている点だ。3Dプリンターの最大の特長であるカスタマイズ性をこのカヤックの製造にも生かされているのだ。
3Dプリントされたカヤック
3Dプリントカヤックの動画
3Dプリントカヤックのスペック
- 全長:5.08メートル
- 幅:0.52メートル
- 総重量:29.29kg
- 3DプリントABS部品の重量:26.48kg
- ネジ:2.068kg
- インサート剤:0.86kg
- 合計プリント時間:1012.65時間(約42日)
3Dsystemsのエンジニアが自作3Dプリンターで製造
このカヤックは基本的には28個ものパーツをネジと真鍮で組み立て、防水目的でシリコーン系のコーキングで接着しているシンプルな構造だ。この製造を行ったのはジム・スミス氏という3Dプリント技術のエンジニアで、2008年から開発した自作の巨大3Dプリンターを使用している。
ちなみに現在は3Dプリンターメーカーのリーディングカンパニー3Dsystemsのエンジニアでもあるという。このカヤックをプリントした3Dプリンターは2010年に完成したABS樹脂材料の3Dプリンターで、403㎜×403㎜×322.7㎜のサイズまで物体が作れる巨大なものだ。この巨大3Dプリンターを使って28個のパーツをプリントしたとのことだが、それに要する時間はおよそ42日間だ。およそ1カ月半で製造ができてしまうことになる。
自作の巨大3Dプリンター、403㎜×403㎜×322.7㎜のサイズまで物体が作れる
カヤックパーツの一つ
まとめ
今回つくられた3Dプリントカヤックにかかった総費用は500ドル(約5万円)だ。現在市販されているカヤックの値段は、最も安いものでは2万3千円程度から購入することも可能。単純にコストだけを考えた場合には、購入する方が無難で、安く早く手に入れることができる。
しかしカヤックの分野でもオーダーメードという分野が存在し、自分の身長、体重などにあったカヤックを手に入れることが一つのステータスになっている。オーダーメード製造だと安くて10万程度から30万円前後であるため、3Dプリント技術の質が向上すれば、十分成り立つように思われる。
また3Dプリントに使用される材料も今回は1色のABS樹脂を使って作られているが、素材の幅が拡大することで、製品の機能性もより拡大することになるだろう。しかし、欧米ではカヤックは一家に1台程度のメジャースポーツだが、日本では、そこまでメジャーなスポーツとは言えないため、一つの例として見るのがいいかもしれない。
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