2018年にグローバル市場で10兆円の損害予測
3Dプリント市場は今後10年間で成長の一途をたどる。昨年以降、各調査会社や金融機関が市場の見通しを発表しているが、3Dプリンターは世界規模でますます拡大していく。その一方で3Dプリンターの普及が進めば進むほど課題となるのが著作権の問題だ。
3Dデータから直接物体生成できるという特性上、極端な言い方をすれば、一つのデータで何度でも同じ物体を製造することが可能だ。
不正にコピーされた商品のデータを使って大量に生産し、販売するということも当然起こりうるとされている。そのような懸念があるなか、大手IT系調査会社のガートナーは3Dプリンターが拡大することの被害総額を予測している。
著作権侵害によるその被害総額はグローバル規模で見た場合、2018年度には1000億ドル、約10兆円に達すると予測している。
3Dプリンターとそれに伴う関連市場は確実に成長を遂げていくが、一方で、こうした著作権侵害の課題を解決することなくして、新の成長は生まれないだろう。
3Dデータの著作権保護は最優先課題
3Dデータのストリーミング化で知的財産保護
今新たに、3Dデータによる著作権侵害の課題を解決する動きが着実に浸透しつつある。その代表的な取り組みが3Dプリントする際の3Dデータのストリーミング化だ。こうした不正コピー防止で期待されているのがストリーミングソフトの「Authentise」。
「Authentise」は以前にもご紹介させていただいたが、フォーチュン100社に記載される大手企業たちも注目を寄せており、目下3Dデータのストリーミング機能を開発している。
こうした3Dデータの安全な取扱と、制作者の知的財産権が保護される仕組みが整ってこそ、本当の3Dプリンターの浸透が始まると言っても過言ではない。
特に大手小売りチェーンやメーカー各社が3Dプリント市場に参入するには、データのストリーミング化と知的財産の保護はマストになる。
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「Authentise」、サイバー攻撃対策のプロ「Guardtime」と提携
「Authentise」は目下、3Dデータのストリーミング化に取り組むと同時に、サイバー攻撃に対する対策も行っているところだ。その対策の一つが、サイバー攻撃対策のプロ集団「Guardtime」との提携だ。
「Guardtime」はネットワークにおけるサイバー攻撃から企業を守るためのセキュリティシステムのプロ集団で、電子データの真正性を証明するキーレス署名の技術の発明を行った企業。
3Dデータのストリーミング化にあたり、3Dプリント保証サービスと保証ツールを開発し、3Dデータの商業利用を保護する役割を担うとのこと。
今回の提携にあたって、「Guardtime」が提供する3Dデータの防衛監査システムは、流通から消費にいたる全てのサプライチェーンのフェーズにおいて適用されるという画期的なものだ。
流通から消費に至る一連の工程がセキュリティシステムで保護され常時監視されることになれば多くの企業が安心して3Dプリンターを使用することができるようになるだろう。
まとめ -流通から消費まで3Dデータを監視・保護する動き-
今回発表された「Authentise」と「Guardtime」の提携によって、3Dデータの知的財産権が保護され、安心した3Dデータの利用が行われるようになれば、3Dプリンターの使用は一気に拡大することになるだろう。
特に大手小売りチェーンや大手メーカーが、このシステムの完成によって3Dプリント市場に続々と参入することが予測される。
また、一方でこうした制作者の知的財産保護をしっかりと行うことは、新しい商品が生まれる環境をつくるためには絶対に必要だ。
もし知的財産が保護されなかったとしたら、仮に優れた商品を作ることができる人がいたとしても、いずれその情熱が奪われてしまうだろう。
新しいものを生み、企業が成長し、国が発展していくという健全な競争力を構成するという真の目的を考えた場合、知的財産保護は、3Dプリンターの普及によって得られる効率化以上に重要だ。
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