GEの3Dプリンター投資計画!ジェットエンジンの燃料ノズルを作る計画とは

ジェットエンジンの燃料ノズルを3Dプリントする計画

GEは世界的なエレクトロニクス産業のコングロマリットだ。また同時に3Dプリンターを利用した添加剤製造では20年の歴史を持っている。

3Dプリンターは本来は試作品の製造をするために使われているものだが、最近では造形精度が向上していることからパーツ類を製造する用途で使用されてはじめている。

GEは3Dプリンターをパーツ製造に取り入れている代表的な企業で、自社でつくるパーツの10%は既に3Dプリンターで製造しており、今後も研究と投資を重ねこの比率を拡大していく方向だ。

今回GEが発表したところによるとジェットエンジンに使われる燃料ノズルを3Dプリンターで製造することを発表した。現在ジェットエンジンの燃料ノズルは従来は20種類の部品を組み合わせて作っていたが、3Dプリンターを使用することで1個のユニットで済んでしまうというメリットがある。

また従来の20個の部品を機械加工で作り組み立てた燃料ノズルに比べ3Dプリンターで製造した燃料ノズルは軽くて丈夫になると言われている。ちなみにGEが生産する燃料ノズルの数は85,000ユニットに上るが、全てのユニットを3Dプリンターで製造するには体制が整っていない状況だ。

今後GEは生産体制を整えるために航空宇宙事業で70名の3Dプリントスタッフと60台から70台の高額な3Dプリンターを用意し、工場の面積も現在の4倍に拡大する見通し。この設備投資に数千万ドルを費やすことを計画している。

こうした設備投資以外に人材の育成も必要になってくるだろう。

労働者を訓練し、エンジニアが新しいアプリケーションをテストできるようにするには、GEはシンシナティでの航空本部の近くに”マイクロファクトリ”と呼ばれる複合研究·製造施設を作成している。またケンタッキー州にも3Dプリント技術の研究施設、さらにはニューヨーク、デラウェア州に最先端セラミック複合材料の研究設備を備えている。

こうした複合研究・製造設備において、3次元印刷を用いたラピッドプロトタイピングに関する研究とエンジニアの育成を行っている。

GEのジェットエンジン

燃料ノズルを3Dプリンターで作ると何が変わるのか

GEの計画は高性能な3Dプリンターが多数必要になる。従来の機械加工品に代わる製品を3Dプリンターで作り出すためには、従来品よりも、コスト、リードタイム、性能、耐久性等すべてにおいて優れている必要がある。

そのため燃料ノズルを3Dプリンターで製造するためには金属粉末をレーザーで加熱し噴霧するといった作業を約3000回繰り返して積層していくという作業が必要になる。

このためには3Dプリンター自体にも精密で正確な精度が必要になる。この生産体制に切り替えた場合は従来の製造工程によって作られた燃料ノズルよりもはるかに計量で、耐久性に優れ、製造に関する人的資源と時間、コストの節約になると考えられている。

人的資源、時間、コストの節約は削減された分を異なる分野に振り向けることができる。

新しく従来品よりも機能性に優れたパーツの研究開発などに振り向けることができる。そうすることで、従来のパーツでは達成できなかったデザインを可能にし、より機能性を高めた製品が作られることになる。

実際にGEが見積もっている機能性の向上は、耐久性の面において、従来の製造方法よりも5年間長持ちし、軽量化を果たすことが可能だとしている。

計画として2016年までに3Dプリントによる生産ラインを稼働させることにあるが、当初はボーイング747とエアバスA320neoの燃料ノズルの製造から開始するとのことだ。

まとめ

GEの3Dプリンターでジェットエンジンの燃料ノズルをつくる計画は自社の製造体制をいろんな意味で強化することになる。

従来品よりも軽くて耐久性に優れたものになるだけではなく、従来品のときに加工していた20種類のパーツをつくるコスト、組み立てにかかる時間、その製造ラインを回す人員を削減することができる。削減するだけではなく余った資金と時間と人員をほかの部分に使うことができる。

GEが85000個もの燃料ノズルを全て3Dプリンターで作るにはまだまだ先のことであるが、数年後に現実化した場合はより大きなメリットを製造の現場にもたらすのではなかろうか。まさに今の3Dプリンターの本領はこうした使用方法にあると考えられる。

GEはあくまでも大規模な製造ラインを必要とするため、導入される3Dプリンターの数量も多く、そのコストも莫大な金額に上るとみられている。そのためGEの3Dプリンターの活用方法が全ての製造業に当てはまることはないが、一例として見ることはできないだろうか。

最近の過剰な3Dプリンターの取り上げられかたや、誰でも3Dプリンターを持てばモノづくりができるというような考えは、本来の3Dプリント技術とはかけ離れていると感じられる。

全ての製品やすべてのパーツが3Dプリンターで作られることはなく、十分な検証が必要である。

GEが燃料ノズルを3Dプリンターで製造することを計画しているのも、その方がいろいろなメリットがあるだけではなく、燃料ノズルそのものの性能がアップしているからで、その性能を担保するために3000回もの積層が必要だ。

3Dプリンターを導入するまでには部品開発や製品開発に対するたえまない研鑽と努力が行われていることに注目するべきだ。

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