メガネの3Dプリント、個人に合ったカスタマイズ製造が開始

メガネフレームのカスタマイズ製造が開始

2014年度に入り、3Dプリンターでさまざまな最終品を製造する試みが世界中で登場している。3Dプリント技術のクオリティが向上してきたことや、いろいろな素材が使えるようになっていることから、表現の幅が増えているためだ。最終品で使用する分野も、従来は試作品の製造や、医療用、工業用でのパーツ製造に使用されることが中心であったが、コンシュマー向けのプロダクトでの製造に徐々に使用が拡大してきている。

本日はオーストラリアのメガネメーカーSNEAKING DUCK社のメガネの3Dプリント製造をご紹介。このサービスではユーザーにあった完全なメガネのカスタマイズ製造が可能だ。

プロダクトデザイナーが4種類のフレームを基本設計

このSNEAKING DUCKのサービスだが、全く一からユーザーが自由にカスタマイズできるわけではない。ベースとなるメガネフレームがあり、そのベースをもとに色や長さ、微妙なフィット感をカスタマイズするという仕組みだ。ベースとなるメガネフレームは同じオーストラリアのデザイン会社VERT社がデザインしたもの。

デザインにあたってはVERT社のプロダクトデザインのクリエイティブディレクター、アンドリュー・シンプソン氏が手掛けている。アンドリュー・シンプソン氏はインテルやソニー、カンタス航空など様々なクライアントのクリエイティブな実績を持つシドニーの有名デザイナーだ。

今回のベースとなるメガネフレームのデザインには何カ月もじっくりと試行錯誤と試作を重ねて練り上げたものになる。基本的にユーザーはArcher、HB、Dame、Cooperの4種のフレームから好きなデザインのものを選択し、6色のカラー、ブラック、ホワイト、ロイヤルブルー、バイオレットパープル、コーラルレッド、ホットピンクから好きな色を選ぶ、その後、フレームの長さやフィット感を微調整する。

また、フレームにはオプションで名入れも可能だ。この一連のカスタマイズ製造の費用は360ドル(約36,000円)。

Archer

HB

Dame

Cooper

3Dプリント製造の二つのメリット

デザインのカスタマイズが終わった3DデータはSNEAKING DUCKが提携している3Dプリントサービスに転送され、そこで製造されることになる。現在はこの4種のデザインでの対応になるが、将来的にはさまざまなメガネのカスタマイズ製造を行う予定だ。こうした3Dプリント技術によるカスタマイズ製造を行うことはどんなメリットがあるのだろうか。

在庫管理が用意

第一は在庫管理が用意になるという点にある。完全受注生産であるため、オーダーが入り次第製造、納品という流れになる。そのため、売上代金の回収の心配もなく、余分な在庫を抱える必要もない。3Dプリンターと在庫管理に関する記事は以前も掲載させいただいたので、詳しくはそちらをご参照していただければと思うが、メーカーにとって在庫リスクが不要ということは、単純な製造管理の問題ではなく、経営上の節税対策にもつながる。

3Dプリント技術と在庫の記事はこちら

高付加価値が提供可能

第二のメリットとして挙げられるのが、高付加価値だろう。今の時代ありとあらゆるモノであふれかえっており、同じ機能性、同じ品質、同じデザイン、同じ価格帯の商品であふれている。こうした時代の中では、製品やサービスに高付加価値をつけることが必要で、消費者がその製品を手に取って使ってもらうことに特別な価値観を感じてもらうことが必須だ。

3Dプリントでのカスタマイズはそうしたその人だけにマッチしたオンリーワンの製品を提供することができるため、購入する人にとっては自分だけのメガネという特別感を味会うことができる。しかも、有名デザイナーがデザインしたメガネを自分の体型にあった形で調整できるという点がまさに高付加価値を生んでいるのだと考えられる。

まとめ -商品としてのアウトプットの大切さ-

将来的にメガネ製造だけではなく、さまざまなコンシュマープロダクトに3Dプリント製造が適用されるようになるだろう。その際に重要なのが、商品のクオリティを高く保ち続けることだ。一般的に今の大量生産品は少なからず人の手によって仕上げがなされているため、商品としての仕上がりや完成度が非常に高い。

特に細かいデイティールまでこだわった後処理がその商品の価値を上げていることは言うまでもない。こうした人の手がおりなす質感や雰囲気というものは機械だけの製造では決して出てこないものだ。そのため3Dプリンターは単なる製造マシーンであり、結局のところ、そうした質感や雰囲気を出すのはむずかしいだろう。

人がその商品に価値を感じる部分は、あくまでもデザインであり、質感であり、商品としてのアウトプットの完成度だと言える。このアウトプットの完成度をないがしろにしてはせっかくの3Dプリント技術のメリットも生かされないで終わってしまう。

今回ご紹介したNEAKING DUCKもメガネ自体のベースとなるデザインは、有名なプロダクトデザイナーが行い、仕上げもしっかりとした後加工がなされて販売される仕組みだ。今後の更なる3Dプリント技術の応用には昔と変わらずデザインの力があって初めて成り立つものだと感じられる。

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