3Dプリンターで進化する自転車デザイン
自転車は3Dプリント技術をいち早く製造に取り入れ最も普及している分野だ。度々自転車製造の3Dプリント技術をご紹介してきたが、3Dプリンターを使用したとてもユニークな自転車フレームを作る取り組みが公開されている。
これまでの自転車での3Dプリント技術は、ユーザーの体型にあったカスタマイズの目的で使用されてきたが、今回発表するのは、新たなデザインの可能性を追求するものだ。
3Dプリント製造の最大の特長は、これまで全く表現することができなかったデザインを再現することにあるが、今回のオーストラリア生まれの3Dプリント自転車もそのうちの一つ。
フレーム構造を3Dプリンターで製造することでこれまでにないデザインと、超軽量化という自転車には必須の性能を出すことに成功している。本日は、オーストラリアのユニークなデザインと超軽量化という二つの面を再現した3Dプリント自転車をご紹介。
従来では再現できないデザインと軽量化
このユニークで軽量化を実現した自転車デザインの将来を感じさせてくれる3Dプリント自転車はオーストラリアのデザイナージェームズ·ノヴァク氏が手がけたものだ。ジェームズ氏は建築とプロダクトデザインの修士号を取得したプロダクトデザイナーで、3Dプリント製造の博士課程にも進む予定だという。この3Dプリント自転車はそんなジェームズ氏の能力と思いが再現された作品だ。
軽量化と斬新なデザインの3Dプリントフレームの自転車
フレームにジェームズ氏の名前も組み込まれている
この3DプリントフレームはSolidWorksという3Dソフトで作られているが、デザインとデータ化に要する時間は約150時間だという。日数にすれば大体1週間程度。その後この自転車フレームは3Dプリントサービスを手がけるi.materialiseでプリントされ丁寧に仕上げられ完成した。ちなみに素材は塗装可能な樹脂素材で、従来のチタンフレームやアルミフレームなどよりも軽量化を実現している。もちろん耐久性も担保されているという。
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オーストラリアのセミナーで展示された3Dプリントフレームの自転車
ジェームズ氏はこの3Dプリントフレームの自転車製造について、下記のように語っている。
私が本当に実現したかったことは、3Dプリンターのメリットを最大限活用し、何か複雑な格子構造を使用することによって、従来の既存のフレームよりも軽量化と、より強い耐久性を実現できることだ。また、3Dプリンターはワンオフのカスタマイズ可能な製品を作成するために最大の能力があるということを示したかった。
ちなみにジェームズ氏は博士課程を修了したあとは、自らデザインを手がける3Dプリントアイテムを販売するウェブサイトを立ち上げ独立することを計画している。また今回発表された3Dプリントフレームの自転車も改良を加え、エンドユーザーが安全に使用できる状態に仕上げ販売を開始するとのことだ。
まとめ
この3Dプリントフレームの自転車は制作者であるジェームズ氏個人にカスタムフィットするように作られている。既に多くの自転車メーカーがフレームやサドルなどの製造に3Dプリンターを利用し、その最大の特長であるカスタマイズ性を発揮している。
しかし、このジェームズ氏が手がけるフレームは、自転車フレームのデザイン性と機能性の概念を発展させるものだ。従来の自転車フレームの製造は熟練工や職人による切削、溶接、研磨などの工程によって作られる場合が多い。もしくは金型を使ったカーボンファイバーのフレームだ。
こうした人の手によって作られるフレームデザインでは、従来の円筒形のフレームという枠組みを出ることはない。確かに人の手によって作り出されるものづくりは人間の感覚や感性でしか再現することができない微妙な乗り心地や質感を実現することができる。
しかし、3Dソフトにベースを置く3Dプリントフレームであれば、従来の製法では実現することができない複雑な構造体もつくることが可能だ。このように見てみると、3Dプリンターで新たな機能性を実現する構造物を作り出し、最終的な仕上げは精巧な人の手に加工を施すことで、これまでにない優れたプロダクトを作り出すことが出来るかもしれない。
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