3Dプリンターで金型では作ることができない機能とデザインを実現したアイウェア

金型による射出成型では再現できないデザイン

3Dプリンターの最大の特長の一つは、デザインや製品開発の幅を広げることだ。

これまで従来の金型による量産では表現することができなかった機能性の表現や、新たな価値を与えるデザインが可能だ。それはデータから直接成形することができるといった特質によるが、極端な言い方をすれば、紙に描いたイメージをそのまま物体として再現することができる力と言えるだろう。

もちろん、そこには人に価値を与えるための機能やインターフェースが、デザインに表現されていなければならないが、デザイナーの力を大きく向上させることには違いない。本日はそんな3Dプリンターの最大のメリットの一つ、デザイン性の向上に関する具体的事例をご紹介します。

 3Dプリンターで機能性と審美性を実現したアイウェア

3Dプリンターの表現力を、実際の製品開発に活かした事例は徐々に登場してきているが、まだまだ具体的事例に乏しいのが現状だ。

そんな中、アイウェアの製品開発に3Dプリンターの力を利用することで、従来の金型では不可能であった、デザインと機能性を両立させた取組が行われている。この新たな商品開発に挑むのは、アイウェアデザインのパイオニア的存在、フートデザインスタジオと、3Dプリントの専門企業マテリアライズだ。

フートデザインスタジオは、カブリオのサングラスを設計する会社で、マテリアライズは、3Dプリント技術に関しては、この道20年以上の経験を持つとスペシャリスト集団だ。

今回3Dプリント技術によって、新たなデザインと機能性が両立された部分は「スナップフィットグリップシステム」と呼ばれる部分。

これは、サングラスのレンズ部分とアーム部分を直接つなぎ合わせる箇所のことを指しているが、このクリップシステムをつけることで、サングラスに様々なパーツをとりつけすることができる。そのためクリップ部分には小さいながらも、クリップとしての機能性を持たせる必要性があり、なおかつデザイン性を保つ必要性があった。

デザインと機能性が両立された部分は「スナップフィットグリップシステム」

サングラスに様々なパーツを取り付けることができる

以前はこのクリップシステムの製造には金型による射出成型を使用していたが、3Dプリントに切り替えることで、従来よりもはるかに機能性が高く、デザイン性が再現できる精密なモノが製造できるようになっている。この「スナップフィットグリップシステム」の成功に対して、フードデザインスタジオのデザイナーDiekeフートは以下のように語っている。

「3Dプリント技術は珍しい複雑な形状を作成するために幅広く対応しています。そのため、私たちは紙の上に描いたものをそのまま変更することなく生産することが可能になりました。それはデザインの幅広い自由さを可能にします。」

機能性とデザイン性を両立させた新たなアイウェアサングラス

まとめ –3Dプリンターでデザイン性と機能性を向上-

今回のマテリアライズとフートデザインスタジオの3Dプリンターを使ったサングラスのデザインは、デザイン性と機能性を向上させることで、その商品を手にするユーザーに快適さや、利便性という新たな付加価値を提供することにつながっている。

これは従来の射出成型方法では再現することができなかった機能とデザインだ。まさにこれこそ3Dプリンターの期待される一番の機能だと言えるのではないだろうか。

プロダクトデザイナーは、商品開発に際し、常にユーザー目線に立ち、そこから商品の使いやすさやインターフェースといった視点を踏まえ、そしてそれをデザインにおとしこむことができる能力を持つ。

3Dプリンターはまさにそんなデザイナーの力を余すところなく引き出してくれる技術だ。モノが有り余るこの時代に、人に購買を決定付させるのは、その商品の印象と機能性だが、3Dプリント技術は、まさにそんな価値観を高めてくれる技術だろう。

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