チョコレートプレートができるまで 真空成形と木型
バレンタインデーにはまだ早いが、チョコレートづくりに3Dプリンターを利用することが可能だ。チョコレートづくりにとって共通して言えることは、手作りも、市販のものもプレートに溶かしたチョコレートを流し込み冷やして固めるという方法が取られる。
そのため、手作りで行う場合には、既に売っている既製品の型を使用するしか方法はない。一方、市販のチョコレートメーカーがつくる場合には、プレートを作ることから開始する。その場合、チョコレートのプレートはどのように作られるのだろうか。一般的には真空成形、いわゆるバキュームという方法を取るのが普通だ。
真空成形とは、熱で柔らかくしたプラスチックなどの板に、型を押し付けて凹ませる成形方法。下記は参考までに真空成形の動画だが、チョコレートのプレートも基本的にはこのように作られる。
真空成形動画
この製法をとる場合、プラスチックのプレートと同時に、凹みをつくるチョコレート本体の型が必要だ。型は一般的に木型と呼ばれるものを使用するのが通常。木型はもともとは木材を削り出して型にしていたが、最近では耐熱性のあるプラスチック素材なども使用する。
このように既存の製法でチョコレートを作った場合、チョコ本体のデザインを作り、3Dデータ化し、木型をつくる。その後木型を使用して真空成形を行うという方法だ。
しかし3Dプリンターを使用することで、データからそのままチョコを流し込むプレートをつくる取り組みが行われている。本日は、18歳の3Dプリンターでチョコレートプレートを製造販売する取り組みをご紹介。
3Dプリンターでプレートをカスタマイズ製造可能
この取り組みを行っているのはアメリカユタ州に住む18歳の若い発明家だ。彼は母親の助けを借りて、チョコレートプレートを3Dプリンターでつくることに挑戦している。もともと自分の彼女にプレゼントするチョコレートを作ることから開始したこの取り組みだが、今ではプレートを製造し販売するビジネスまで届くところまで行っているようだ。
仕組みはシンプルだが、食品として安全基準を満たすところまではかなりの思考錯誤を行っている。まずはじめはチョコレートを3Dでデザインするところから開始したが、大変であったのは、プレートにした場合のチョコとの相性と食品の安全対応だ。
はじめは固まったチョコレートをはがしやすくするために細かい穴をプレートに開けていたが、その穴から細菌が繁殖することがわかりこの方法を改善する必要があったとのことだ。最終的には食品安全適合ワックスを使用することで、穴をそのワックスで満たし食品製造にも適合したプレートを完成させることに成功している。
18歳の発明家が作ったチョコレートプレートの動画
3Dプリンターでプレートを作成
周囲に型枠を付けることで取り外しやすくしている
チョコを電子レンジで溶かす
プレートにいれて冷やせば完成
現在、彼の作ったプレートは40文字までメッセージを入れることが可能で、その範囲内であれば自由にカスタマイズできる。また、形状は円、正方形、ハートのようなものなどいくつかの種類のフレームがある。
まとめ
こうした型を3Dプリンターで作る取り組みは、別段珍しいものではないが、若い18歳のベンチャー精神と、チョコレートプレートというアイデアはとても面白い。例えば日本においてもバレンタインデーは一大イベントだし、自分でチョコレートを作るという女性も多いだろう。
こうした女性がいきなり3Dプリンターを使ってチョコレートのプレートを作るということはないかもしれないが、自由にプレートをカスタマイズできて購入できるビジネスがあれば、かなり人気になるかも知れない。
現在、このアイデアをビジネスにしようとしているグラント君は、クラウドファンディングサイトキックスターターで資金調達中だ。その金額も小さいところから始めることを目標にしているようでわずか100ドルに過ぎない。とても健全な取り組みだといえよう。
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