航空機分野で圧倒的メリットを発揮する3Dプリント技術
2014年に入り、様々な分野の業界が3Dプリンターを導入し始め、既存のビジネスを効率化したり、または新たにビジネスを展開する企業が多い。
その中でも航空機産業における利用において3Dプリンターを導入することの圧倒的なメリットが期待されている。
主に、コスト削減と品質向上、リードタイムの減少という3つのメリットをこの分野にもたらしており、GEのジェットエンジンに関する3Dプリンターの導入事例や、BAEシステムズのコスト削減の事例などがその顕著な例と言えるだろう。
もう1社航空機製造で忘れてはならないのが、エアバスだが、次世代機の製造に3Dプリンターを導入し、そのメリットに関して新たな発表を行っている。
エアバスの取組については、以前、材料消費量とCO2排出量削減に関する記事をご紹介したが、実際には以前の発表以上のメリットをもたらし始めているという。本日はエアバスの次世代機製造に関する3Dプリント技術のメリットをご紹介。
機体重量最大50%カット・材料消費量90%削減
今回新たにエアバスによって発表された内容よると、既に次世代機である旅客ジェット機A300/A310 FamilyからA350 XWBまでの製造において3Dプリント技術を導入しているという。
それによると、驚くべきことに機体に使用するパーツ重量を最小30%から最大50%まで軽量化することに成功している。
またパーツ製造に必要な原材料の消費量を90%削減することを可能にし、従来とは比べ物にならないコスト削減に成功しているのだ。
これにより結果として1機体を製造するときに使用する総エネルギー消費量は、従来の方法と比べて90%も減少させることにつながったとのことだ。
ちなみに導入されている3DプリンターはEOS社のもので、3Dプリント製造しているパーツは主にブラケットになる。
例えば次世代型A350 XWBの製造では、プラスチックや金属性など様々な3Dプリントブラケットが製造され、既に機体に組み込まれているようだ。
3Dプリントされたエアバスのブラケット
A350 XWB
在庫管理とスペアパーツ製造にもメリット
またエアバスは機体本体の製造にかかるコスト削減だけではなく、スペアパーツの製造と在庫管理にも多くのメリットをもたらしているという。
確かに従来の量産製造の場合では、予備のスペアパーツも見越して量産する必要があり、すぐに製造に使用されないスペアパーツは在庫として管理しなければならなくなる。
しかし3Dプリンターでパーツを製造すれば、わざわざすぐに使わないスペアパーツを作る必要はなく、必要に応じてデータから製造すれば事足りるのだ。
現に、エアバスが発表しているところでは、既存の設計のまま使用できるスペアパーツの製造はたった1日、再設計する場合でも2週間のリードタイムで済むとのこと。
こうした不要な在庫をなくすことが、製造プロセスにも余計な材料消費とエネルギー消費を削減することにつながっている。
3Dプリント技術と在庫に関する記事はこちらをどうぞ
まとめ -3Dプリント技術は環境と人にやさしい-
エアバスは3Dプリント製造を本格的に取り入れることによって、超軽量化されたバイオニック機体を製造することが可能になるとしている。
言い方を変えれば、人にも環境にも優しい、超エコ機体ということだろうか。
製造に使用するエネルギー排出量を削減することで環境にやさしく、また、機体重量を軽量化することで、CO2排出の削減にもつながる。
また一方で、機体の軽量化は燃費向上をもたらし、燃料消費量の減少と、機体製造のコスト低下は私たち消費者にも航空運賃の低下という面でメリットをもたらすに違いない。
まさに3Dプリント技術は環境と人にやさしい技術なのだと言えるだろう。
もちろん航空機の分野だけではなく自動車製造やその他の製品の製造にも共通して言えることなのではないだろうか。
また3Dプリント技術のメリットはコストを削減するだけではなく、品質やサービスの向上ももたらすことにつながっている。
エアバスのブラケットも製造を3Dプリンターに切り替えるにあたり、耐久性、耐熱性、軽量化というあらゆる性能向上を検証したうえでのことだ。
あくまでもユーザーの安全性、ユーザーが享受できるメリットを最優先させたうえで新たな技術を導入する必要がある。
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