アメリカは10倍の大きさを200倍のスピードで作る3Dプリンター「BAAM」を開発

3Dプリンター開発で世界をリードするアメリカ

昨年以降、世界各国が3Dプリンターの研究開発に力を注ぐことを発表している。

研究開発の主な主眼は、プリント速度、物体の大きさ、材料研究などが中心だが、今年に入り続々とその成果が見えてきているようだ。

我が国日本も今年の4月に経済産業省が中心となって10倍のプリント速度を持つ高速3Dプリンターの開発に乗り出しているが、他国は一歩煎じて、その実用化に着々と結びつけている状況だ。

とりわけ、アメリカは3Dプリント技術で一歩先を行っているが、次世代型3Dプリンターの実用化が発表された。 その3Dプリンターは何と既存の10倍の大きさの物体を、200倍のスピードでプリントすることができるものだという。

本日は、アメリカのオークリッジ国立研究所が開発する次世代型3DプリンターBAAM 3D Printerをご紹介。

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10倍の物体を200倍のスピードで作る3Dプリンター

今回ご紹介する高速3Dプリンター「BAAM」は、アメリカの最先端技術研究を進めるオークリッジ国立研究所と、100年以上の歴史を持つ製造機器メーカーシンシナティ社が開発したものだ。

従来のFDM3Dプリンターの10倍の大きさの物体が作れて、なおかつ200倍のスピードで生成が可能なものだ。

そのプリント速度は驚異的で、1時間で10ポンド、約4.5kgの物体がプリントできる。

ちなみにそのFDMノズルの大きさは0.3インチ、約7.6㎜で、精密な解像度を持つものではない。 椅子やテーブルなどもこの巨大3Dプリンターで生成可能とのことで、何とたった2時間30分で作れてしまうとのことだ。

BAAM 3Dプリンター、造形スペースは、4m×2m×0.86mに及ぶ

自動車、航空宇宙、家電、ロボット業界での利用可能性

実はこのBAAM3Dプリンターは既に使用が開始され始めている。 それは以前ご紹介させていただいた、ローカル・モーターズの3Dプリント電気自動車での使用だ。

BAAM3Dプリンターの開発背景には、製造拠点をアメリカに戻したい考えがあるようだ。

既に、現在の製造方法よりもより安く、より速く、ポリマー素材のパーツ製造が可能になっているが、将来的には、自動車業界、航空宇宙産業、家電製品、ロボット工学のための高度なパーツを製造できるようにすることが狙いだという。

ローカル・モーターズで使用された自動車フレーム

BAAM3Dプリンターは、基本的な使用可能な材料は熱可塑性樹脂になる。また同時に次世代素材として多くの産業分野での使用が期待されている炭素繊維強化プラスチック材料も対応しているという。

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まとめ -製造業に対する大きな影響-

3Dプリンターの開発状況は、既に量産機器や、次世代の製造マシーンとしての様相を呈してきている。

今回のBAAM3Dプリンター以外にも、既に一企業レベルでも次世代型3Dプリンターの開発は盛んだ。3Dsystemsは大量の小型パーツを一度に生成できる3Dプリンターや、Googleと共同で進めるカスタマイズ量産を可能にする3Dプリンターの実用化に成功し始めている。

こうした3Dプリンターの概念を変える研究開発は、これからの製造業にとって非常に大きな影響を与えてくると思われる。

例えば、細かいパーツや大きいパーツなど、全てのパーツ類が3Dプリンターでより速く作ることができれば、これまでの金型を使った量産は全くなくなる可能性が高い。

また、プリント精度が飛躍的に高まりつつある中、パーツとして使用する分には、何の問題もない精度のモノが作れるようになれば、伝統的な製造方法にとって代わるのは時間の問題だろう。

後は完全に雰囲気や質感にこだわるかどうかという程度だ。今後各国や、各企業が取り組む3Dプリンターの研究開発分野は、GDPの中で20%近い比率を占める我が国の製造業にとっても注視しなければならない分野だ。

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