洗濯と部屋干しの歴史

洗濯は古代から行われてきた人類共通の習慣である。古くは川の流れや池の水などを使って行い、この手法は現在でも開発途上国では一般的な習慣として行われている。またテクノロジーが普及している先進国においては、20世紀以降、洗濯機と洗剤で行い、より家事としての負担を軽くしている。しかしその一方で、洗った“洗濯物を干す”という行為は、いつの時代も変わらないようだ。また、これは先進国も発展途上国も変わらず世界各地でほぼ変わらぬ方法で行われている。

今でも9割の人が天日干しか部屋干し

近年では、乾燥機能を搭載した洗濯機が広く普及しているが、必ずしも所有している人が日常的に使用しているわけではない。東京ガスが発表している興味深いレポートがある。「ファミリー世帯の洗濯と乾燥2013」によると、乾燥には天日干しを行う人が圧倒的に多く、およそ9割の人が天日干しを理想の乾かし方と考えているとのことだ。また、室内干しについても、ほぼ毎日室内干しを行う人は1割近くに上り、梅雨などの季節によっては6割近くに上る。つまり、何が言いたいかというと、洗濯を行うための道具は、大きく進歩したが、洗濯物を干すための主要な行為は、今も原始的な方法で行われているのである。また、そのテクノロジーはほぼ進化していない。

4000年以上昔から行われる洗濯という行為

洗濯の始まりは諸説あるが、いまから4000年以上昔、紀元前2000年ごろのエジプトであったと言われている。ナイル川東岸に位置するベニハッサン村に残る壁画では、当時の人の日常生活が壁画に描かれており、スポーツや奇術を行う絵のほか、洗濯を行う動作が描かれているのだ。当時はおそらく川の流れなどを利用する原始的な方法で行われていたであろうが、この方法は前述した通り、今でも国によって当たり前のように行われている。また古代ローマでは、発酵させた尿などの液体に洗濯物を入れ、足で踏んで洗濯したという。

洗濯板は“洗う”レベルを飛躍的に上げたテクノロジー

洗濯をするテクノロジーが大きく進化したのは18世紀に入ってからだ。1797年にヨーロッパで発明された洗濯板の登場で、これにより衛生感覚がより進むこととなった。洗濯板は、一枚の長方形の板状をしており、表面に鋸状の切り込みがあり、この切り込みに洗濯物をこすりつけ汚れを落とす。材質は木材が一般的に知られているが、20世紀には亜鉛でメッキされた金属や、ガラス、最近ではプラスチックなどで作られているものもある。この洗濯板の登場で洗濯物の汚れは飛躍的に落ちるようになり、清潔さも増したが、その一方で洗濯という重労働はあまり変わらなかった。

電気洗濯機の登場で重労働から解放される人類

人々が洗濯という重労働から本当の意味で解放されるのは、電気洗濯機の登場を待たねばならない。洗濯機自体の特許と開発は、既に17世紀にイギリスで開始されていたが、洗濯機の主要機能である回転による脱水機能が実現するのが電動機が開発されてからである。電気洗濯機が本格的に生産され始めたのは1920年代からで、以来、開発が進み「洗い」、「すすぎ」、「脱水」という機能をすべて1つの槽で行う全自動洗濯機まで進化を遂げている。

まとめ 一方で進化しないテクノロジー“物干しざお”

その一方で、洗濯物を干すための道具はほぼ進化していない。洗濯物を干す道具で最も有名なものが物干しざおだ。物干しざおは、古くは竹竿で、今ではアルミやステンレスなどで作られている。また、現在数多く存在する物干し用の道具は、ほぼ全て同じ機能と形状を踏襲していると言えるだろう。棒状もしくは糸状のものに洗濯物をひっかけて干す方法であり、折り畳み式の自立型や、吊り下げ型、取り付け型など、さまざまなタイプの道具が存在するが、その機能は“長いものにひっかける”というシンプルなテクノロジーに集約される。特に、外に干す天日干しであれば、シンプルな物干しざおが一般的だが、部屋干しには、さまざまなスタイルが存在し、その人の住宅環境や生活スタイルなどによって大きく異なる。その一方で、部屋干しに対する多くの人の“不満”や“イライラ”は根強く存在するようだ。次回は、さまざまな部屋干しの道具と共に、その道具が生み出す“不満”や“イライラ”など日常生活を快適に過ごすうえで障壁となっている問題をご紹介しよう。

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