目指すはウェアラブル端末のマスカスタマイゼーション。Wiivvの3Dプリントインソール

By | 2015年12月15日
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拡大するマスカスタマイゼーション。狙うは巨大な足病対策のインソール市場

3Dプリンターで最終品を作ることの最大のメリットは、その人、個人個人に対応した機能とデザインを提供することができるという点だ。この個人個人に対応したカスタマイズをマスカスタマイゼーションというが、このマスカスタマイゼーションが本当の真価を発揮するプロダクトは、体に身につけて使用する製品だといえる。

ちなみに余談ではあるが、表面的なデコレーションのみを3Dプリンターでカスタマイズするという取り組みが登場しているが、機能とデザインが変わるわけではないため、厳密な意味でのマスカスタマイゼーションとは言えないだろう(表面のデコレーションは個人の感性に左右されるため趣味の部類である)。

中でも最近大きく利用が拡大してきているのがシューズやインソールといった部分での利用である。例えば、シューズではアディダスとマテリアライズが3Dプリントカスタムシューズの製造を発表したり、インソールでの利用ではスマートフォンアプリでカスタムインソールを作るSOLSなどが有名である。そのような中、新たに3Dプリンターでカスタムインソールを製造するというスタートアップが登場している。

このインソールの3Dプリントサービスを提供する企業はカナダのバンクーバーに本拠をおくWiivvで、こちらも前述のSOLSと同様、スマートフォンの専用アプリケーションを使い、わずか数秒で生体データを取得、専用にカスタムされた3Dデータが取得される。更にはこのWiivv社も、SOLSと同様、ベンチャーキャピタルから350万ドルもの資金調達を行っている。3Dカスタムインソールは足病が人間の体の健康に注目され始めている現代において、おおきな役割を果たしそうだ。

ちなみに、足病対策におけるインソールの市場規模はグローバルな規模で45億ドルと推定され、米国市場では年率4%から5%も成長する見通し。そのためWiivvも拠点はカナダだが、3Dプリンターの生産工場はカリフォルニアに置かれ全米にサービスが展開される見通しだ。

3Dプリント インソール ウェアラブル端末 マスカスタマイゼーション

スマートフォンアプリで高精度3Dデータ化。アスリートレベルの品質を実現

今回ご紹介するWiivvは、SOLSと非常によく似たシステムをとっている。専用のスマートフォンアプリを起動、カメラで足の写真を撮影するだけで、わずか5分でインソールの3Dデータが生成されるというものだ。この3Dデータの精度は誤差範囲わずか±3ミリに収まるという高精度でその3Dデータをもとに専用のインソールが3Dプリントされる。

インソールに使用される素材はナイロン(ポリアミド)12で、2年間も使用することができる耐久性の高い品質になる。このナイロン(ポリアミド)12は、通常のナイロンに加えて高い耐久性と耐薬品性を持ち、シューズの機能にとって最も重要視される耐衝撃性にも優れる素材。

ナイロン(ポリアミド)12は、3Dプリンターの素材としてはパウダー状の物をレーザーで焼き固めるレーザー焼結法(SLS)か、ストラタシス社の高性能FDM プリンターのナイロン(ポリアミド)12が利用できるが、このWiivvの3Dプリントインソールではレーザー焼結(SLS)法のナイロン(ポリアミド)12が使用される。価格は1組200ドルからで、一般的な足病対策だけではなくアスリートが使用するパフォーマンスを実現するとのこと。ちなみにスマートフォンから注文して納品されるまでの期間は約2週間だ。

Wiivv 3Dプリントカスタムインソール動画

3Dプリント インソール ウェアラブル端末 マスカスタマイゼーション

ナイロン(ポリアミド)12で耐衝撃性、耐久性が大幅に向上

ウェアラブル機能搭載で、高度なスポーツ利用も目指す

Wiivvが提供するこの3Dプリントインソールは、従来登場してきたSOLSのように単なる足病対策だけに留まるものではない。前項でも述べたとおり、彼らのインソールはアスリートレベルでも使用できるということを目指している。そのアスリートレベルというのは、クッション性を高め衝撃を吸収し、正しい姿勢やフォームを可能にするインソール本来の性能と、今後のIOT時代において必須のウェアラブル機能を搭載することを目指しているのだ。

例えばウェアラブル端末ではジョギングやランニングなど、身につけてフィジカルデータを取得するプロダクトが拡大してきているが、今回新たに開発されたWiivvの3Dプリントインソールでは、インソール内部にスマートフォンアプリと連動したデータ計測機能が付与される。

これによりスポーツ選手やアスリートたちが快適にパフォーマンスを発揮できるインソールになるだけではなく、今後のトレーニングの展開方法などを取得したデータをベースに組み立てるという使い方が可能になるわけだ。既に同社は、シリコンバレーに本社をおく金融投資会社Formation8、カナダ最大の投資会社で最もアクティブな企業レアル・ベンチャーズから投資を受け、マスカスタマイゼーションを実現するウェアラブル端末市場で主体的な地位を築こうとしている。

3Dプリント インソール ウェアラブル端末 マスカスタマイゼーション

ウェアラブル機能搭載で、スポーツ市場など幅広く展開

まとめ マスカスタマイゼーションが最適なウェアラブル端末の3Dプリント

3Dプリンターの発展によってマスカスタマイゼーションという言葉が使われ始めているが、全ての製品にマスカスタマイゼーションが当てはまるわけではない。例えば、今回ご紹介したWiivvのインソールのように、個人個人で全く異なる形状、機能などが求められる製品には最適だが、機能性や価値に結びつかない表面的なデコレーションを模することは厳密にはマスカスタマイゼーションではない。

ここでいう言い方は微妙な表現になるが、機能に結びつかない表面的なデコレーション、形状変化をするために、3Dプリンターやマスカスタマイゼーションをしてもあまり明確な価値、製品としての価値を与えることはできないだろう。例えば、3Dプリンターで表面的なデコレーションができたとしても、わざわざその作業をしてまで自分だけのカスタムが欲しいという人はよほど趣味性が強い人か、他人との違いにこだわる人に違いない。

それでは、一言で3Dプリンターによるマスカスタマイゼーションが最適な製品は何かといえば、身につけて使うことができるプロダクトになるだろう。ちなみにインソール以外で3Dプリンターが製造マシーンとして使用されて始めている製品にはシューズや補聴器、といった身に付ける製品が主体的だ。

また、今後身につけて使用するコンピューター、ウェアラブル端末が拡大していく中、ウェアラブルと3Dプリントの組み合わせはマスカスタマイゼーションが最も機能的に働く分野なのかもしれない。Wiivvの3Dプリントインソールは今後の時代を牽引していく取り組みだ。

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