MakerBot タフPLAフィラメント。ABSに匹敵する強度と造形安定性を実現

By | 2016年11月29日
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ABSに匹敵する引っ張り強度、衝撃強度、曲げ強度を実現したPLA

デスクトップのFDM 3Dプリンター用の材料として開発が進むフィラメント材料。これまで一般的にはABS樹脂PLA樹脂が主流であったが、続々と新しいフィラメント材料が開発されている。

とりわけPLA樹脂の開発は目覚ましく、従来脆いとされていた弱点を克服する開発が進んでいる。もともと、PLA樹脂は、石油由来であるABS樹脂の代替品として開発された植物由来のプラスチックであるが、3Dプリンター用の材料として使用する場合には、ABS樹脂とは正反対の特性を持つ素材として認識されていることが多い。

特に耐久性があり、耐熱性があるABS樹脂に比べて、PLA樹脂は、固いが脆くて熱に弱いため、扱いにくいとの声もある。しかしその一方で、ABS樹脂は造形時における熱収縮率が大きく、安価なデスクトップ3Dプリンターでは、扱いに注意が必要といった課題も多い。

そんな現状のFDM 3Dプリンター用フィラメント材料の運用の課題を克服する開発が、本日ご紹介する、MakerBot タフPLAである。タフ PLAフィラメント材料は、ABS樹脂に匹敵する性能を持ちながら、従来のABS樹脂が持つ運用面での煩雑さを解消した新たなデスクトップ3Dプリンターの主力材料といっても過言ではない。

MakerBot タフPLA フィラメント

ABS並みの強度や耐久性と、PLAの安定したプリントを実現。タフPLAフィラメント

機能プロトタイプから治具、固定具までデスクトップの用途を拡大

今回開発されたタフPLAフィラメント材料は、ABS樹脂に匹敵する引張強度、衝撃強度、曲げ強度を実現している。ABS樹脂は、冒頭でも述べた通り、耐久性や耐熱性に優れ、治具や工具から、さまざまなプラスチック製品に使用されている素材だ。

ただしデスクトップの3Dプリンターで使用する場合には、熱収縮による“反り”などが起きやすく、プリント時の温度管理や湿度管理など、かなり注意を払わなければならない。一方、PLA樹脂のフィラメント材料は、運用時の管理はABS樹脂に比べてスムーズだが、造形物は硬くて脆く、試作品の形状確認の域を出ないケースが大半であった。

いわば今回登場したTough PLAは、熱収縮の反りを少なくするなど、プリント時における安定性を保ったまま、優れた耐久性、強度を実現しデスクトップ3Dプリンターの幅を大きく広げている。これにより、従来、形状確認のみのモックアップ製造にしか使用することができなかったPLAフィラメントの造形が、ねじ止めやスナップ式の治工具、更には機能性プロトタイプといった用途にまで広げてくれることとなった。

下記はABS、PLA、タフPLAとの物性比較表だが、曲げ強度、曲げ弾性、引張強さ、引張弾性、すべての特性において、タフ PLAは、ABS樹脂に近い性能を見せている。

MakerBot タフPLA フィラメント

ABS樹脂、PLA樹脂のフィラメントとの物性比較。強度や耐衝撃性などABSに近い性能を誇る。

タフ PLAフィラメントのスペック

  • ガラス転移温度 : 60 ~ 65 ℃
  • 融解温度 : 150 ~ 160 ℃
  • ノズル温度 : 215 ℃
  • フィラメント径 : 1.75 mm
  • スプール径 : 250 mm
  • スプール幅 : 40 mm
  • スプールハブ穴 : 50.8 mm
  • 発送時の質量:3.54 kg
  • MakerBot Replicator+、MakerBot Replicator デスクトップ 3D プリンター(第 5 世代)、および MakerBot Replicator Z18 3D プリンターに対応

MakerBot Replicator+との組み合わせでよりエンジニアリングレベルを

今回のタフPLAフィラメントは、9月に登場した新型のデスクトップ3DプリンターReplicator+と組み合わせることで、より性能を高めることができる。Replicator+については以前ご紹介した「驚異的な進化を遂げるデスクトップ3Dプリンター。MakerBot Replicator+」で詳しくご紹介しているので、そちらをご参照いただければと思うが、デスクトップのFDM 3Dプリンターを、エンジニアリングレベルにまで高めることに成功している機種だ。

特に、Tough PLAフィラメントの持つ強度、耐久性と、Replicator+の持つ優れた造形安定性の相性はよく、高品質な3Dプリントパーツを作ることが可能だ。

MakerBot タフPLA フィラメント

クラウドで一元管理でき、プリント性能が飛躍的に向上したMakerBot Replicatorプラス

専用押出機Tough PLA Smart Extruder+も簡単に装着

タフPLAフィラメントは、専用のスマートエクストルーダー(押出機)である「タフPLA Smart Extruder+」に変更して使用するが、このスマートエクストルーダー押出機は、マグネット式になっており、簡単に着脱することができる。一般的なデスクトップタイプのFDM 3Dプリンターとの違いの一つが、このSmart Extruder+で、マグネット式なだけではなく、長時間における厳格なテストの上に分析され、プリントの全工程が合理化されている。

ちなみにMakerBotは、このソフトウェアとファーブウェアの部分で、FDMの開発元でもあるストラタシスのノウハウが活かされており、3Dプリントの開始から完了までの工程が合理化され、設計データに応じた最適なプリントが提供される。

MakerBot タフPLA フィラメント

押出機もタフPLAフィラメント専用が簡単に着脱できる。

まとめ デスクトップ3Dプリンターの価値を高めるフィラメント

今回ご紹介したタフPLAフィラメントは、デスクトップ3Dプリンターに新たな価値を与えるものだ。従来のABS樹脂が持つプリント時の不安定さと、PLA樹脂が持つ脆さを克服することで、デスクトップ3Dプリンターの用途を飛躍的に広げてくれる。これによって単なる形状確認のための機械から、機能性プロトタイプから実用的な治具、固定具といった範囲までカバーされるようになった。

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