ストラタシスは10種の新型3Dプリンターと高性能樹脂素材を発表

素材と製法に精通する3Dプリンターメーカー ストラタシス

今年も世界最大の3Dプリンター見本市ユーロモールドの季節がやってきた。

11月25日から28日にかけてドイツフランクフルトで開催されるこの展示会は、世界中の3Dプリンターメーカーが一堂に会し最新モデルを発表する場でもある。

今や3Dプリンターはさまざまな業界に影響を与え始めているが、ユーロモールドほど、あらゆる業界の関係者が訪れる見本市は無い。その範囲は非常に幅広く、自動車産業から、電気·電子産業、家電製品、医療機器、航空宇宙産業、消費者向け製品、レジャー製品、スポーツ用品などほぼ全てのモノづくり業界をカバーしているといっていい。

そんな中、3Dプリンター業界を牽引するグローバルリーダー、ストラタシスがユーロモールドに先駆けて新たな新製品と新素材を発表した。

その内容は10種の新型3Dプリンターと1つの新素材で、3Dプリント製造とあらゆる素材に精通するストラタシスならではのもの。ものづくりの現場で最も大切なのは、素材の特性と製法をいかに熟知し、最適な組み合わせを選ぶかという点が重要なポイントになる。

3Dプリンターメーカーの中でストラタシスほどこのポイントを抑えたメーカーは存在しないだろう。本日はストラタシスの11の新発表をご紹介。

フルカラーと複合素材のバージョン拡大2種類×3モデルを発表

ストラタシスは今年の1月に世界初となるフルカラーとマルチ素材対応のObjet 500 Connex3を発表したが、今回の新発表はそのフルカラーとマルチ素材対応を大幅に拡大するものだ。

ストラタシスが発表したのはObjet 500よりも手頃な価格でフルカラーとマルチ素材の3Dプリンターの利用を可能にするもの。

コンパクトな造形を可能にするObjet 260シリーズと、中規模のモデルを作るObjet 350シリーズだ。それぞれ、3モデルずつそろえており、Objet 260 シリーズは、Objet 260 Connex1、Objet 260 Connex2、Objet 260 Connex3の3モデル、Objet 350シリーズもObjet 350 Connex1、Objet 350 Connex2、Objet 350 Connex3の3モデルだ。

Connex1は14種類の素材を複合することが可能で、剛性な透明樹脂やゴム状の柔軟な素材などを組み合わせられる。Connex2は120種類の素材に対応しており、様々な特性を持つABS樹脂やゴム系素材など複合モデルが可能。そして最も上位モデルであるConnex3はフルカラーとマルチ素材で1000以上もの表現が可能だ。

ストラタシスの3Dプリンター Objet260connex1
マルチマテリアル対応の機種が大幅拡大
フルカラープリントのConnex3が2モデル追加

12種類の素材に対応した高性能デスクトップモデルObjet 30 Prime

ストラタシスが新たに発表した新モデルは、超高性能デスクトップモデルともいえる3DプリンターObjet 30 Primeだ。Objet 30 Primeは剛性のある透明樹脂や、ゴム系素材、ポリプロピレン、生体適合素材など12種類の素材に対応した3Dプリンター。最小レイヤー層は16ミクロンから28ミクロンの高精細で、294mm×192mm×148.6mmの造形サイズを誇る。また高速生産モードでも36ミクロンという高解像度で造形が可能だ。

高性能デスクトップモデルのObjet 30 Prime
ゴム系樹脂など12種類の素材に対応

サポート材を除去したObjet Eden260VS

次にご紹介するのはサポート材を自動で除去できるというモデルObjet Eden 260VS。ストラタシスの高性能3DプリンターはPoly jetという独自技術で作られるが、造形物の形状によってサポート材が必要になる。

Poly jet技術は、液体樹脂を噴射して紫外線で硬化する製法だが、噴射された液体樹脂は下に支えるものが何もなければ下に落ちてしまい空間に物体を構成することができない。そのため、サポート材と言うものを使用する。このサポート材は造形が終了した後、水で洗って取り除くという仕組みだ。

しかし今回のObjet Eden 260VSは、溶解できるサポート材に対応したもの。いわば造形後の水噴射による除去が不要で、これまでのサポート材の材料費用が不要になる画期的な3Dプリンターだ。

ちなみに3Dプリンター自体の性能は16ミクロンの造形が可能で、複雑な形状と非常に薄い造形にも対応した高精細モデル。医療用途に特化したオプションも備えている。

初となる溶けるサポート材を使用したObjet eden260VS

FDMの造形スピードを20%向上、Fortus450mc とFortus380mc

これまでご紹介してきた8種類の3Dプリンターは液体樹脂を噴射して硬化するPoly jet技術によるものだが、ストラタシスはFDM(熱溶解積層法)による二つの3Dプリンターも性能アップを行った。

それがFortus450mcとFortus380mcの二つのFDM 3Dプリンター。Fortus450mcは造形スピードを前回のモデルよりも15%早く、Fortus380mcは20%早く製造することができるようになった。

両モデルとも0.127mmから0.330mmまでの高解像で積層可能で、ABS樹脂やASA樹脂、ナイロンやポリカーボネートなど、プラスチック製品で最も多用する7種類の樹脂に対応している。そのため自動車産業から、日用品、航空中産業など様々な業界の試作に適合している。

ちなみにFortus450mcは406mm×355mm×406mm、Fortus380mcは355mm×305mm×305mmの造形サイズ。

高性能のFDMパーツが製造可能
タッチパッドを搭載

耐熱性、耐薬品性に優れた食品接触認証を持つFDM用樹脂ULTEM 1010

最後にご紹介するのは3Dプリンターではなく、FDM(熱溶解積層法)の新材料だ。新たにストラタシスが開発した素材は、最も高い耐熱性、耐薬品性を持ち、引張強度に優れ、そしてFDM用材料として初となる食品接触認証を取得した新材料だ。

その優れた物性から使用用途は幅広く、医療器具や耐熱性金型、食料品備蓄用のケース、エンジン回りの自動車用パーツなど、さまざまな分野の製造に適している。ストラタシスで最高のFDM 3Dプリンターと言われるFortus900mcに対応している専用素材だ。

まとめ

ものづくりの現場にとって最も重要な要素の一つは、デザインや機能に応じて、最適な素材と加工方法を選択することである。言い換えれば、製品のクオリティは、使う素材と加工方法で決まる。そのためデザイナーや技術者などモノづくりに関わる人間は、素材の特性と加工方法に精通することが求められる。

こうした観点から見ると、素材と製造方法二つを提供する3Dプリンターメーカーは、この二つの要素に熟知していることは絶対条件だと言えよう。ストラタシスは多くの3Dプリンターメーカーが乱立する中、グローバルリーダーにふさわしい、この二つの要素に最も精通した企業だ。

ヒューレット・パッカードが新たな3Dプリンターを発表し、リコーやエプソン、キヤノンなどの二次元プリンターメーカーが続々とこの業界への参入を発表しているが、あらゆる素材の特性とその利用方法に精通したストラタシスに追いつくためにはデバイス開発以上の何かが求められるだろう。

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