世界初!本格的デスクトップのレーザー焼結3Dプリンターが登場、価格は3999ドル

世界初のデスクトップタイプのレーザー焼結3Dプリンター

レーザー焼結(SLS)法は、プラスチックや金属などの粉末にレーザーを当てて溶融し、焼き固めて積層する製法だ。1台数千万円近い金額の製造マシーンだが、特許切れによって低価格化が期待されている。

以前も「レーザー焼結(SLS)の特許切れで低価格3Dプリンターが続々と登場」という記事で各社の開発状況をご紹介したが、そこでもご紹介したSintratecがとうとう最終系に近い状態の製品を公開している。

以前は5000ドル、約50万円ほどの価格帯を想定していたが、リリースされた最終価格は3999ドルとより低価格。多くのモノづくりや製造業に携わる人が手に入れやすい価格帯になっている。

現在クラウドファンディングのIndiegogoで資金調達するための準備段階に入っているが、一足早くその概要とスペックをご紹介しよう。

小型でプロフェッショナルなクオリティを実現

Sintratecはレーザー焼結法のデスクトップタイプとしてはある意味世界初と言えるだろう。これまでご紹介してきた低価格モデルは、低価格とはいえ1台100万円から200万円近い価格帯であった。また大きさや形状の面から言っても、デスクトップとは言い難い大きな形状だ。

こうした面から言うと、Sintratecは形状、価格帯ともにレーザー焼結法で初めてデスクトップを実現した機種と言える。最終公開されたSintratecのサイズは、高さ55センチ、横幅53センチ、奥行き36センチという小型で、まさにデスクトップと呼べるほどのサイズ。

FDM3DプリンターのMakerbotレプリケーターなどと比べてもほぼ同じ程度のサイズだ。それでいて高性能な造形を可能にするレーザー焼結法を実現し、プロフェッショナルなクオリティを発揮することができる。クラウドファンディングのindiegogoでは50キットの販売を目標にするとのことで、出荷時期は11月を予定してる。

世界初となるデスクトップレーザー焼結3DプリンターSintratec

サイズは550mm×530mm×360mm(縦横奥行)

椅子に乗せられるほど小型

ナイロン12をはじめほとんどの粉末素材に対応

Sintratecはどのような素材に対応しているのだろうか。Sintratecが公開している造形物ではナイロン12の粉末材料で作られたものが公開されている。

そこにはレーザー焼結ならではの精密な造形物が見られ、可動部品の設計を含む機能的なプロトタイプや、最終製品の両方を生成することができる。複雑なデザインや稼働パーツが高解像度でサポート構造不要で作れる優れものの機種だ。まさに中小企業やデザイナーなど、本格的な製造に携わる人から、新たに製品開発をしたい起業家にとって最適なマシーンだと言えよう。

ちなみにナイロンはプラスチック素材の中でも靱性・引っ張り強度:対摩擦性に優れた素材。とりわけナイロン12はその中でも熱収縮性が少なく、耐寒衝撃性も付与された高機能素材。自動車産業や航空宇宙産業ではおなじみの素材になる。Sintratecが公開している造形物ではナイロン12によるものばかりだが、スペックには、レーザー焼結法で使用されているほとんどの粉末材料も使用できると記載がある。

Sintratec動画

Sintratecの造形物

Sintratecスペック

  • プリンターサイズ:550mm×530mm×360mm
  • 造形サイズ:130mm×130mm×130mm
  • レーザースピード:70+ mm/秒
  • レーザーパワー: 2300mW
  • レーザー波長: 445nm, blue
  • 光ヒーター:500W
  • 加熱コイル:1200W
  • 温度室:150℃
  • ハイパワーの半導体レーザー
  • ビーム補正機能
  • 対応素材:ナイロン12、その他レーザー焼結で使えるほとんどの粉末素材に対応
  • 対応OS:Windows、Mac OSX版、Linux

まとめ

FDMの3Dプリンターが特許切れとともに一気にデスクトップタイプが普及したように、レーザー焼結法の粉末造形もこれを皮切りにデスクトップタイプが続々と登場する可能性が高い。

高性能な造形を可能にするレーザー焼結が低価格で利用できるようになれば、多くの中小企業やデザイナー、起業家にメリットをもたらす。これまで作ることが不可能で合った試作や最終品が安価に作ることが可能になり、規模や資金に関係なくできることの範囲が拡大する。

同時に製品開発や技術革新のスピードは、3Dプリンターが普及すればするほど、ますます速くなってくることも予測される。こうした製造現場におけるデジタル化の普及は、より多くの人々をモノづくりに参加させるとともに、アイデアがあれば規模や資金に関係なく事業を起こす可能性を広げてくれる。

その一方で、テクノロジーの普及は技術や加工性の差別化が出しにくくなるため、より一層アイデアや、人に価値を与えるモノづくりが大切になるのだと言える。

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