Raspberry Piとオープンソースで進化するVRプロダクトPicam360

By | 2016年9月13日
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シェアとコラボレーションで進む時代

メットワーク化した社会において、“シェア”と“コラボレーション”という二つの行為は、新たな価値を生み出し、経済を押し上げる原動力になりつつある。オンライン上では、ありとあらゆるものが無料で生成され、あっという間にシェアされ拡散する。

FacebookやTwitterなどのSNSの投稿から、写真や動画、プログラムのソースコードなど、様々な形態のデジタルデータが公開され共有される。そして、それをベースに新たなものを作ろうという取組が加速する。もともとソフトウェア開発の分野で発展したこのオープンソースという概念は、基本的にはデジタルがベースだが、3DプリントやIOTの浸透により、リアルな“もの”の分野にも進出しつつある。

オープンソースハードウェアのものづくりとは

オープンソースのものづくりとは、例えば3Dデータやハードウェアの設計データをオンラインコミュニティに公開し、自由にハックし改良し独自の製品開発を行う動きである。この分野では伝統的にソフトウェア産業の盛んなアメリカを中心に巻き起こっており、GEローカル・モーターズなどオープンコミュニティによるものづくりが徐々に拡大しつつある。

残念ながら日本では中々こうしたオープンコミュニティによるものづくりは盛んではないが、徐々に登場しつつあるようだ。本日はこうしたオープンソースハードウェアの開発をVR(仮想現実)の分野で取り組む動きをご紹介しよう。

Raspberry Piを使った360度パノラマカメラPicam360は、VR(仮想現実)を生み出すガジェットのオープンソースプラットフォームとしてクラウドファンディンMakuakeで資金調達に成功している。

Picam360 Raspberry Pi VR 仮想現実

VR(仮想現実)を手軽に楽しめるパノラマカメラPicam360。ラズベリーパイベースで独自に開発できる。

手軽にVR(仮想現実)プロダクトが開発できるPicam360

Picam360は、Raspberry Piをベースにしたオープンソースの360度パノラマカメラだ。開発したのは、Picam360開発コミュニティで、株式会社近江デジタルファブリケーションズ、ジャパニーズ株式会社を中心に、立命館大学コンピュータシステム研究室との共同研究によって開発されている。

Raspberry Piは通称ラズパイと呼ばれる小型のコンピューターで、累計で1000万台が販売されている。もともとイギリスで教育用に開発されたもので、これをベースに様々なハードウェアを自作することが可能だ。Picam360は、「最もリーズナブルなパノラマカメラ」というコンセプトのもと、Raspberry Pi を使うことで、手軽にVR(仮想現実)のガジェットを作り出すことができる。

例えばPicam360を使って画像や動画を撮影し様々なヘッドマウントディスプレイでその映像を楽しむことができる。

ちなみに対応しているヘッドマウントディスプレイはOculus Riftやスマートフォンを差し込むタイプのもの。また、下記の写真のようなPicam360とゴーグルを組み合わせたPicam360-FPVといったヘッドマウントディスプレイも構築可能だ。

また、パノラマ映像のソフトウェアはソフトウェアの共有サイGitHubにてアップされており、パノラマ画像も共有できる。VR(仮想現実)元年といわれる2016年において、オープンソースで手軽に開発することができるプロダクトとして、VR(仮想現実)を楽しむガジェットや、IOTプロダクトの基本技術習得のアイテムとして大きな価値を発揮しそうである。

Picam360 Raspberry Pi VR 仮想現実

パノラマカメラの映像。画像と動画両方に対応している。

Picam360パノラマ画像

picam360動画

パイロット感覚でVRレースも楽しめるガジェットも自由に

Picam360を使うとどのようなVRプロダクトが作れるのだろうか。Picam360の最大の特長は「拡張性」の高さがあげられるだろう。上記でご紹介したRaspberry Piをベースにしていることから、ベースとなるパノラマカメラを自由に拡大する製品開発が可能になる。

例えば、ドローンやラジコンなどと融合させることで、リアルタイムな映像をヘッドマウントディスプレイで楽しむことができる。すでにアメリカなどではドローンにパノラマカメラを搭載し、ヘッドマウントディスプレイでリアルタイムにレースの映像を楽しむ取り組みが行われている。

そこでは。レース参加者が自らがドローンに乗っているような感覚を楽しめるという。また、そのレースでは参加者だけではなくレースを観戦する観客もヘッドマウントを装着すれば、さも自分がドローンに乗っているかの如く一人称視点でレースが楽しめるという(『インターネットの次にくるもの』ケヴィン・ケリー、p300)。

Picam360でも、現在試作段階ではあるが、上記のPicam360-FPVを使用すれば、約100メートルでの電波受信が可能になることから、遠隔操作によるドローンなどのリアルタイムレースも体験可能だ。すでにこのプロジェクトは動き出しており、ラジコンやドローンによるVRレースも企画されている。

Picam360 Raspberry Pi VR 仮想現実

ドローンやラジコンなどに搭載し、ヘッドマウントディスプレイでリアルタイム映像が楽しめる拡張キット。

Picam360 Raspberry Pi VR 仮想現実

こちらも拡張キットの一つ。Picam360を搭載したヘッドマウントディスプレイ。

Picam360スペック

  • サイズ:85mm×56mm×50mm (Raspberry Pi Model B)
  • 重量:200g
  • レンズ:画角 水平360度、垂直235度、イメージサークル1/4
  • カメラモジュール:Raspberry Pi Camera v2
  • イメージセンサ:Sony IMAX210PQ
  • 画素数:8メガピクセル
  • 最大解像度(静止画):3280×2464
  • フレームレート:1080p:30FPS(encode and encode),720p: 60fp
  • パノラマ:RAW映像(魚眼)1024 ×1024 30fps、正距円筒画像2k(2048×1024)
  • 対応フォーマット:JPEG、BMP、YUV(静止画)、MP4/H264、MJPEG(動画)
  • ソフトウェア(サーバーサイド):Node.JS
  • ソフトウェア(クライアントサイド):HTML5+JS+OpenGL(ブラウザアプリ)
  • 動画ストリーミング:WebRTC、RTP、RTSP
  • 対応:ジャイロセンサ、ゲームパッド、OpenPilot

まとめ

現在Picam360はサイバーエージェントが運営するクラウドファウンディングMAKUAKEで資金調達に成功している。VR(仮想現実)市場は今後、成長することが予測され、ゲームやガジェット以外の様々な分野で利用が盛んになるといわれている。それに従って、VR(仮想現実)の技術やハードウェアのものづくりに精通する人材が求められるようになるだろう。

そうした点からもPicam360は、新たな技術を習得するツールとしても有効に働くのではないだろうか。また、オープンソースによるものづくりがは、まだまだ日本では定着していないが、今後Picam360のような開発コミュニティは、進化を加速させるという意味でも新たな役割を果たすことになるだろう。

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