パーツが無料ダウンロードできる低価格な光造形3DプリンターRAR Print

By | 2014年10月14日
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2年から3年後には1台99ドル程度という予測も

デスクトップモデルの3Dプリンターの価格は、もはや10万円以下は当たり前になりつつある。3Dプリンターを一躍世に知らしめ、メイカーブームの火付け人となったクリス・アンダーソンは、「2年から3年以内に99ドル程度の量産品になる」との予測を述べている。

この一見突飛な予測は、世界中で乱立する開発競争と低価格化に目を向けてみると、不思議と現実味を帯びてくる言葉だ。これまでも低価格モデルの3Dプリンターをご紹介してきたが、基本的な共通点として、すべてのモデルがオープンソースだということだ。

オープンソースは1970年代に、アメリカの大学や研究機関などでソフトウェアのソースコードをオープンにして開示し、研究に役立てるということに端を発するが、現在はソフトウェアの世界では当たり前の概念。その流れが3Dプリンターというハードの世界まで浸透し、開発を世界中で巻き起こすとともに、低価格化を一気に加速させている。

本日はこうしたオープンソースに基盤を置き、わずか250ドルのコストで組み立て可能な光造形3Dプリンターの発表をご紹介。

DVD-Rの仕組みを利用し、高性能・低価格を実現

新たに登場した光造形3Dプリンター、RAR Printは、何と部品の大半を3Dプリンターでプリントして作るというものだ。

Makerbotが提供する無料の3DデータダウンロードサイトThingiverseでその設計データを公開している。ユーザーはこのダウンロードサイトから、RAR Printを構成するほとんどのパーツのデータを得ることができる。後はダウンロードしたパーツ類を3Dプリンターでプリントし、そのほかの追加パーツを自分で集めて組み立てるというわけだ。

それでトータルコストが大体250ドル(2万5千円)程度で済むという。このRAR Printを発表したのはロシアのトムスク工科大学出身のエンジニア、シェフチェンコ氏。

もともと大学卒業後3Dプリンターに関わる仕事に従事していたが既存の3Dプリンターの性能に不満があり、自分で開発をおこなったとのこと。

画期的なのはSLA(光造形)を完成させる技術で、何と既存のCD-RやDVD-Rのドライバーを利用している。CD-RやDVD-Rのような光ディスクは半導体レーザーの反射により、情報を読み書きする技術。CD-RやDVD-Rのような光ディスクは実は薄い中に、複数の異なる層が重なっており、その層を読み取って再生したり記録したりする。

ちなみに光造形とは、液体状のエポキシ樹脂に紫外線を照射して硬化させる技術。エポキシ樹脂は加熱すると硬化し冷却しても元に戻らない熱硬化性樹脂の代表的なプラスチック素材だ。

この仕組みがレーザーを反射させて樹脂に充てて積層するといった光造形に似ていることから、利用することを思いついたとのこと。RAR Print用には、DVD-Rなどについている半導体レーザーを取り外し、代わりに樹脂を硬化させるための400nmの波長を有する赤外線ダイオードを付け替えるという作業を行った。

実はこのCD-RやDVD-Rを利用することが、3Dプリンター自体の精度を向上させながら低価格を維持するために役立っている。

CD-RやDVD-Rを利用したオープンソースのRAR Print

rar-sla-3d-printer-1

Thingiverseで無料ダウンロード可能

rar-sla-3d-printer-2

追加で必要なパーツ類

  • PLAフィラメント2kg (パーツプリント用)
  • 300mm×400mm 有機ガラス(オレンジ)
  • CD-R/DVD-R ドライバー 5個~10個
  • UV LED紫外線ダイオード1個(400 nm光波、100 -1000 mW)
  • Arduino Mega 2560
  • CD-R/DVD-R 用シールド
  • モータードライバー(例 A4988)
  • プラスチックかガラスの水槽(液体プラスチック用)
  • UVプリントヘッド用レギュレーター
  • Customized Marlin
  • ワイヤー

RAR Printの組み立て図

rar-sla-3d-printer-3

RAR Printのスペック

  • プリンターサイズ:290mm×190mm×200mm
  • 造形サイズ:80mm×80mm×80mm
  • 最小レイヤー層:10ミクロン(0.01mm)
  • 精密さ:DVD-R/CD-Rディスクと同等
  • ボード:Arduino Mega 2560

まとめ オープンソースでもプラスアルファが必要

上記の述べたように、RAR Printは既存の光造形に変わる物として、DVD-RやCD-Rの原理を利用している。このようにオープンソースとはいえ、続々と新商品をリリースする海外企業は独自のアイデアや、特化した強みを出している。そのため、新規で参入する場合には、競合と差別化するだけのアイデアと技術力が必要だ。

こうしたハードウェアのオープンソース化は、上記の二つの流れ、「製品開発のスピードアップ」と「低価格化」以外に、もう一つの大きな流れを巻き起こしている。それは市場の「グローバル化」という動きだ。いうなれば、オープンソースが当たり前になっている製品分野で市場シェアを獲得する場合には、必然的に競合他社やマーケットスケールはグローバルワイドに組み込まれる。

極端な例でいえば、日本国内で必死になって開発を行なっていても、海外のオープンソースを利用した製品開発の方がはるかにスピードも速い。ものすごいスピードで製品開発を行ない、市場に投下し、他社よりも上回るスピードで顧客からのフィードバッグをいただく、そして更なる製品開発につなげていく。

このように見てみると、品質やクオリティという部分以外の独自性のある部分を加えることは、今後の製品開発にとって最重要なポイントだと思われる。

オープンソースの光造形3Dプリンターの記事はこちらもどうぞ

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