磁石の3Dプリントフィラメントはデジタル記録機器の試作を可能にする

磁石の3Dプリントフィラメントの登場で広がる試作開発

3Dプリンターの開発とともに注目を集めるのが新たな材料の登場だ。とりわけFDM3Dプリンターに対応したフィラメント材料は、ぞくぞくと新たな機能を持つプラスチック素材が登場してきている。

今年だけでも、ブロンズや銅、木材などのフィラメントが登場するなど、3Dプリンターの用途を拡大してくれると言える。プラスチックは分子と分子を混ぜ合わせてさまざまな機能を発揮できる素材であることから、糸状にしたフィラメント材料は比較的開発が容易なのかもしれない。

このような新たな機能を持つフィラメント材料の登場は、3Dプリンターでつくることができる試作品のバリエーションを拡大してくれる。先日もグラフェンを使った3Dプリントフィラメントの登場で、バッテリーなどの試作プリントが可能になっている。

本日ご紹介する磁石の3Dプリントフィラメントもそのうちの一つ。磁気を帯びたプラスチックのオンデマンド生産で、記録ディスクなどの試作が可能になるようだ。

マグネットパーツから、デジタルデータの記録装置まで

今回ご紹介する磁石の3Dプリントフィラメントを開発したのは、3Dプリントフィラメントの開発を手掛けるベンチャー企業ProtoParadigmだ。このProtoFluxと呼ばれる磁気を帯びた3Dプリントフィラメントは、クラウドファンディングキックスターターで資金調達に成功している。

植物由来のPLA樹脂に鉄ナノ粒子を配合して作られているものだ。このフィラメントにより、磁気を帯びたプラスチックパーツの試作が可能になる。磁気を帯びているといっても、単なるマグネットとしてプラスチックパーツを作るために使用するのではない。磁気データ、すなわちデジタルデータを記録することができる試作品を作ることができるのだ。

具体的には、ハードディスクドライブなどの記憶装置や、音声やビデオの記録などを行なうディスクなどがあげられる。ProtoParadigmの発表によると、「残留磁化と強い抗電界で、3Dプリントされた物体に、磁気データをインプリントすることができる。基本的なデジタルデータの読み書きもできる」としている。下記は、ProtoParadigmが発表しているProtoFluxを用いて3Dプリントされた磁気コンパスと、磁気記録装置の試作品だ。

磁気コンパスは地磁気を用いて方向を示す航海計器、航空計器の一つだが、鍵型の磁気記録装置は、鍵の歯の部分にデジタルコードが書き込まれている。

マグネットがつく磁石の造形物
磁気コンパスの試作
デジタルコードが書き込まれた磁気記録装置の試作

まとめ 材料の拡大は新たな製品を世に産む可能性

現在このProtoFluxはキックスターターで目標金額を上回る4000ドル近くを調達している。これにより支援者にはフィラメントが提供されることになるが、同時にProtoParadigmはこの磁気フィラメントを用いて作れるメイカーキットもリリースすることを計画している。上記でご紹介したデジタルコードが書き込まれたキーはデジタル記録装置の簡易試作を行なう初歩としては最適だと言えよう。新たな3Dプリントフィラメントの登場は、試作や製品開発の幅を広げるだけではなく、新たなメイカーを世に送り出すのにも力を発揮しそうだ。

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