ポリエチレン(PE)の特性と用途 包装材からスーパーエンプラまで

ポリエチレン(PE)とは 概要と代表的製品

ポリエチレン(PE)は、プラスチック素材の中において最も原料価格が安く、加工しやすい素材の一つだ。プラスチックはさまざまな分子と分子の配合によっていろいろな特性を出すことができる素材だが、ポリエチレン(PE)は最も単純な構造を持つ高分子素材でありさまざまな加工方法に対応している。

例えばポリエチレン(PE)は、高圧力で金型に注入する射出成形とも相性がいいし、押出成形やブロー成形といったプラスチック加工とも相性がいい素材である。こうした加工のしやすさや、原材料として安価ということから、大量生産される製品や素材に適しており、ラップやフィルム、食品容器、農業用フィルムといったシート状のものから、バケツや洗面器といったシンプルな雑貨類、冬にはお馴染みの灯油缶、土木用シートからサンダルに至るまで、あらゆるもののプラスチック素材として使用されている。

一般的に商用利用されるポリエチレン(PE)は、低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)の二種類に分類されるが、さらにこれに加えてゴム弾性に優れるEVA樹脂が加わる。それぞれによって、剛性や耐薬品性といった機械的特性は異なるが、基本的には容器類やフィルム、シートなどの原材料としての使用が多い。

またポリエチレン(PE)は最近のリサイクルの流れから、リサイクル加工され再利用されるケースも多い。そうしたリサイクルでは、回収したポリエチレン(PE)の製品をペレット状に分解し、溶かしたあと、上記で述べた加工方法により再利用するケースが多いが、最近では3Dプリント技術の登場により、FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターの材料でもあるフィラメントに含まれるケースも登場している。

こうした利用方法も、単純な分子構造を持つポリエチレン(PE)の有利な点だと言えるだろう。本日は最も加工がしやすく、安価で広く使用されるプラスチック素材、ポリエチレン(PE)をご紹介しよう。

ポリエチレン(PE)の歴史 偶然発見された素材

ポリエチレン(PE)の歴史は、プラスチック素材の中においても比較的古い。その存在が発見されたのはなんと偶然で、1898年にドイツの化学者である者ハンス・ヴォン・ペヒマンがジアゾメタンという有毒ガスの研究実験中にポリエチレン(PE)を発見したとされる。その後ポリエチレン(PE)が実際に商業利用として広まるまでには約半世紀以上の時間がかかる。

具体的なポリエチレン(PE)の合成法が開発されたのが1930年代。その後1950年代に入り、高性能ポリエチレン(PE)を安価に開発する方法が確立され、世界的にプラスチック素材が広まることとなった。

この商業利用できるポリエチレン(PE)の開発には、1951年にアメリカのフィリップス石油の研究者が開発した酸化クロムと、1953年にドイツのノーベル化学賞受賞の化学者カール・ツィーグラーが開発したチーグラー・ナッタ触媒の存在が大きい。とりわけカール・ツィーグラーが開発したチーグラー・ナッタ触媒はエチレンを重合させる触媒として大きくポリエチレン(PE)の商業化を前進させたと言えるだろう。

以来、ポリエチレン(PE)は用途や作るものに応じてさまざまな合成方法が編み出されている。

ポリエチレン(PE)の特性 長所と短所

ポリエチレン(PE)の最大の特長は安価で加工がしやすいことから、大量生産される製品に向いている。ラップやシートなどの包装類を始め、バケツやタンクなどの容器類やケースといった簡単な構造のものがほとんどだ。こうした製品から見てもわかるとおり、ポリエチレン(PE)の特性は、火や熱には弱いといった特性を持つ。

上記の製品なども火や熱で簡単に燃えてしまうものが多い。その一方でプリエチレン(PE)は寒さには強く、-20℃程度までならば耐えられるといった特性を持つ。また、そのほかのポリエチレン(PE)の特性として挙げられるのが、防水性と絶縁性、耐油性の高さだ。

ポリエチレン(PE)は吸水性がほとんど無いため防水性が高く、比重も軽いため水に浮く。バケツやタンク、容器といった製品に多用されるのも、ひとえにポリエチレン(PE)の防水性の高さによる。また絶縁性が高いため電気はほとんど通さない。その一方でポリエチレン(PE)は接着性に悪いという特性を持つことから塗装や印刷には注意が必要だ。

また、ポリエチレン(PE)は、上記で述べたとおり、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン、EVA樹脂で特性が異なる。また、これに加えて、超高分子まで分子量を高めた超高分子量ポリエチレンなる存在もあり、この超高分子量ポリエチレンとEVA樹脂の特性については後述する。以下に簡潔ながらポリエチレン(PE)の特性をまとめておこう。

ポリエチレン(PE)の長所

  • 耐寒性:-20℃程度までならば耐えうる。
  • 防水性:吸水性がほとんどないため、防水性が高い。容器などに最適。
  • 絶縁性:電気絶縁性が高く、電気を通さない。
  • 耐薬品性:耐薬品性も高い。
  • 耐油性:耐油性にも高く、石油タンクなどの素材にも使用される。

ポリエチレン(PE)の短所

  • 耐熱性:耐熱性は低いため火や熱に弱い。
  • 接着性:接着性は低く、印刷や塗装には注意が必要。

上記で述べたのはポリエチレン(PE)の共通する特性であるが、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンによって微妙にその特性と特長が異なる。

低密度ポリエチレン(LDPE, Low Density Polyethylene)の特性

低密度ポリエチレン(LDPE, Low Density Polyethylene)の最大の特性は、水よりも軽い比重にある。また耐薬品性や電気絶縁性は高く、柔軟で低温でも脆くならない。ラップやフィルムといった包装材、食品用容器に最適。その一方で耐熱性は低く簡単に燃える。低密度ポリエチレン(LDPE, Low Density Polyethylene)の比重は 0.91 – 0.92、荷重たわみ温度 100 ℃ 以下、耐熱温度70℃~90℃。

高密度ポリエチレン(HDPE, High Density Polyethylene)の特性

高密度ポリエチレン(HDPE, High Density Polyethylene)の特性は低密度ポリエチレン(LDPE, Low Density Polyethylene)よりも剛性が高い。また耐薬品性や電気絶縁性は高い。白っぽい色で、透明性が低い。この高密度ポリエチレン(HDPE, High Density Polyethylene)はバケツや洗面器といった雑貨類を始め、灯油タンク、フィルム、袋にいたるまで幅広くしようされる。高密度ポリエチレン(HDPE, High Density Polyethylene)の比重は 0.92 – 0.96、荷重たわみ温度 130 ℃ 以下、耐熱温度90℃~110℃。

ポリエチレン(PE)の製法

ポリエチレン(PE)はエチレンが重合した単純な構造の高分子で、基本的にはメチレンの繰り返しによって作られている。しかし、重合法や分子量によってさまざまな種類を作り出すことができ、その密度や機械的特性も異なる。このさまざまなポリエチレン(PE)の製法は、1976年のカミンスキーによるメタロセン触媒の開発が大きい。

ポリエチレン(PE)の歴史の部分でものべたが、ドイツのノーベル化学賞を受賞したツィーグラーが開発したチーグラー・ナッタ触媒によってポリエチレン(PE)の商業利用が広まったが、このカミンスキーの開発によりポリエチレン(PE)の分子量などがコントロールできるようになっている。

ポリエチレン(PE)の種類

先にポリエチレン(PE)の特性の部分でポリエチレン(PE)にはいくつかの種類があることをご紹介した。ここではポリエチレン(PE)の種類であるEVA樹脂と超高分子量ポリエチレンについてご紹介しよう。EVA樹脂は通常のポリエチレン(PE)とは違う特性を持ち、ポリエチレン(PE)の中においても汎用性が高く幅広い分野のプロダクトに使用されている素材。一方で、超高分子量ポリエチレンは、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるほどの素材。

その耐衝撃性はエンジニアリングプラスチックの代表とも言えるポリカーボネートを上回る機械的特性を持つ。ある意味超高分子量ポリエチレンはもはや別物と言っても過言ではないだろう。それぞれ特性や用途は全く異なるが、ポリエチレン(PE)の種類として重要な素材だといえる。

EVA樹脂:汎用性の高いポリエチレン(PE)

EVA樹脂(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)は、エチレン ビニールアセタート コポリマーの略称。その名前のとおり、エチレンに酸酸ビニル共重合させた樹脂だ。一般的なポリエチレン(PR)に比べて柔軟性、ゴム弾性に優れた性能を発揮し比重が軽い。このEVA樹脂(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)は、ポリエチレン(PE)の中においても非常に幅広い分野の製品に使用されている。

前述の農業用フィルムや、包装用フィルムに始まり、サンダルや三輪車のタイヤ、雑貨類、シート、パイプ、ケースといった各産業分野で多用されるポリエチレン(PE)だ。EVA樹脂(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)の特性をまとめると、上記の柔軟性、引張強度、に優れるだけではなく、耐衝撃性、低温特性に優れている。

また透明性が高く光沢があり耐候性にも優れ外での使用にも十分耐えうる機能を発揮する。ポリエチレン(PE)と異なる点としては接着性に優れ着色や塗装がしやすい素材とも言えるだろう。その一方で、耐酸性やアルカリ性には弱いという特性がある。

幅広く使用される

超高分子量ポリエチレン:ポリカーボネートよりも強い

もう一つ、超高分子量ポリエチレンとは、冒頭でも軽く触れたが、通常のポリエチレン(PE)とは違い、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類される高性能な素材だ。ちなみにエンジニアリングプラスチックとは、強度や耐熱性、耐衝撃性といった特定の機械的特性を強化されてあるプラスチック素材のこと。

通称エンプラと呼ばれるこの分野のプラスチック素材は、特殊な環境下でも使用できたり、金属の変わりとして使用されるほど高いレベルを持つ。スーパーエンジニアリングプラスチックはその中においても、より強化された種類のもので、「耐熱温度は150℃以上で長期間使用できる性質」を持ち、溶剤などにも高い耐久力を持つもの。超高分子量ポリエチレンは、このスーパーエンジニアリングプラスチックの一つとみなされている。

一般的なポリエチレン(PE)との違いは、まずその構成する分子量が違う。通常のポリエチレン(PE)は分子量が2万から多くても30万程度だが、超高分子量ポリエチレンは、その名のとおり分子量が100万から700万まで高めたもの。この超高分子量によって、低温から高温といった環境下においても長期間使用することが可能で、尚且つポリカーボネートを上回る非常に高い耐衝撃性を持っているとされる。またこの素材が優れている特性としては、これほど強靭な特性を持っているにも関わらず非常に軽く比重が0.92-0.94というレベルだ。

これは通常のポリエチレン(PE)とほぼ変わらないレベルである。さらには耐磨耗性にも優れた性能を発揮し、砂を用いた磨耗試験においても高い機能を発揮する。こうした強靭な機械的特性から使用される製品もさまざまで、耐磨耗性の機能から歯車やギアなどに。

また軽くて丈夫で尚且つ生体安全性の機能から人工骨や義肢の材料などにも使用される。糸状にすることでピアノ線の8倍の強度を持つことから、登山や船舶のロープとしての使用が盛んだ。下記は超高分子量ポリエチレンの特性をまとめたものだ。

超高分子量ポリエチレンはその機械的特性の高さから、人工関節などにも使用される

超高分子量ポリエチレンの特性

  • 耐衝撃性:ポリカーボネートを上回る非常に高い機能を持つ。
  • 耐熱性:高温でも機械的特性が変わらない。
  • 耐磨耗性:砂による研磨試験にも耐える。自己潤滑性を持つ。
  • 比重:0.92-0.94と非常に軽い。
  • 防水性:吸水率が低く水を通さない。
  • 耐薬品性:耐薬品性に優れる
  • 食品安全性と生体安全性に対応

ポリエチレン(PE)の加工と用途

ポリエチレン(PE)の用途についてはフィルムや容器などを主流に多くのプロダクトが作り出されていることをご紹介したが、その代表的な加工方法も具体的な製品とともにご紹介しよう。プリエチレン(PE)はプラスチック素材の中で最も加工しやすい素材として知られているが、一般的なポリエチレン(PE)は射出成形やブロー成形、押出成形、真空成形、さらには発泡成形やカレンダー成形などにも対応している。ここでは代表的なポリエチレン(PE)の製品を元にその加工方法をご紹介しよう。

射出成形で作られるバケツや洗面器、容器など

ポリエチレン(PE)で代表的な身の回りのプロダクトといえば、バケツや洗面器、容器などの雑貨類が挙げられるだろう。こうした容器状のプロダクトは金型によるプラスチック加工の代表とも言える射出成形によって作り出される。射出成形はプラスチックの大量生産を代表する加工方法で、約200℃近い高温でプラスチックを溶かして、高圧力で金型の中に押し込んで冷却し固めて固形化するといった成形方法。

その特長は生産性の良さと、高品質なクオリティのプラスチックパーツを作ることができる点にある。生産性は製品によっても異なるが、早いものでは数秒間で1個の割合で生産することが可能で、バケツや洗面器、容器などの日常的に頻繁に使用するプロダクトには最適だといえよう。製品の形状を形作った金型さえ完成してしまえば、あとは一度に大量に生産することができる。

また、射出成形の特長として、高温でドロドロに溶かしたプラスチックを分子レベルで高圧力で金型に注入することができるため、製品の仕上がりにムラがなく美しい外観の完成度が期待できる。一方でその反面、金型に押し込まれる圧力は1平方センチメートルあたり、200kgから500kgレベルの高圧力に達するため、金型はこの高圧力に耐えうる設計がされていなければならず、金型自体の設計と製造にも高額な費用がかかる。

この射出成形はポリエチレン(PE)以外のプラスチック素材にも対応しており、最も幅広く使用されているといっても過言ではない。ちなみにバケツや洗面器、容器などの底部を見てみると、小さな丸い凹みがあり、この突起部が射出成形機のポンプから金型に押し込まれる部分を表している。

ポリバケツなどは射出成形で作られる典型例
射出成形の仕組み

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ブロー成形で作られるポリタンクとガソリンタンク

もう一つ、ポリエチレン(PE)で作られる代表的な製品で、別のプラスチック加工をとる製品をご紹介しよう。それが水や灯油を入れるポリタンクだ。このポリタンクを成形するのはブロー成形という加工方法で作られる。この頭にポリという言葉が付いているが、これはポリエチレン(PE)製ということを示している。

ブロー成形とはプリフォームと言われる筒状の容器を高温で熱し、金型で固定したのちに、空気を高圧力で吹き込み、金型に達するまで膨らませて形を固定、冷却して製品にする製法になる。簡単に説明すると吹きガラスのようなイメージで、高温で溶けたプラスチックの筒を金型に張り付くまで拭いて膨らませるという製法だ。ポリタンクはこのブロー成形によって作られるが、実はこのブロー成形ではかなり大きな容器も作ることが可能で、自動車のガソリンタンクなどもこの方法で作られる。

ちなみにガソリンタンクの製造に使用されるブロー成形は樹脂を多層化した多層ブロー成形という成形方法が取られる。また使用されるポリエチレン(PE)も高密度ポリエチレンが使用されることとなる。

ブロー成形の金型
ガソリンタンクやポリタンクはこのブロー成形で作られる

インフレーション成形で作られるポリ袋

もう一つ、ブロー成形の一種だがインフレーション成形という方法で作られるポリエチレン(PE)の製品がある。それが我々がスーパーやコンビニなどで日常的に使用するポリ袋だ。このポリもポリエチレン(PE)製ということを示している。このインフレーション成形という加工方法だが、同じブロー成形でもポリタンクなどとは若干異なり、ポリエチレン(PE)を押出機で薄く抽出し、それに空気の圧力を吹き込み膨張させて風船のようにしてローラーで巻き取る方法になる。

ちなみにインフレーションとは膨張という意味で、インフレーション成形で引き伸ばされたポリ袋は薄くて丈夫という特性を持つ。その薄さは20ミクロンから30ミクロンにもなるほど。また、このインフレーション成形で作られるポリエチレン(PE)の製品でサランラップがある。サランラップはアメリカでは環境の配慮から低密度ポリエチレンが使用される。

インフレーション成形で作られるサランラップ
ポリ袋も同様

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このようにポリエチレン(PE)は分子と分子の構成がシンプルであるということから、極めて加工性が高く、さまざまなプラスチック加工方法で使用される素材と言ってもいいだろう。さらにはこうした加工性から大量に消費されるものの製造に向いていると言える。ポリ袋や容器、バケツといった雑貨類なども消費が多いプロダクトで見た目としてもポリカーボネートなどのような高機能は求められない。素材は機械的特性もそうだが、使用用途や消費量といった面からも最適なものを選ぶ必要がある。

3Dプリンターとポリエチレン(PE)、再利用でフィラメント化

これからのプラスチック加工技術の一つとして期待されるのが3Dプリンターだ。プラスチック素材の3Dプリント製法は、一般的に熱可塑性樹脂を使用するFDM 3Dプリンターが主流。ストラタシスが20年以上も前に開発したFDM 技術とは、フィラメントと呼ばれる糸状にしたプラスチックを熱で溶かして積層しながら加工する技術。最近ではFDM技術の特許切れによって、デスクトップタイプの廉価版のFDM 3Dプリンターが続々と登場している。

こうしたFDM 3Dプリンターの普及に伴って、その材料でもあるフィラメント素材も開発が進んでいる状況だ。ポリカーボネートフィラメントABSフィラメントナイロンフィラメント、などさまざまな3Dプリントフィラメントが登場する中、ポリエチレン(PE)の3Dプリントフィラメントの開発も行われている。

これまで述べてきたとおり、ポリエチレン(PE)は大量に生産され、大量に消費される製品に適している。また同時にリサイクル素材としても活用が盛んで、大量に消費されたあとは、再利用される素材でもある。こうした消費の多さとリサイクル性の高さから、廃棄されたポリエチレン(PE)の容器などから再利用し、3Dプリントフィラメントとして再生させる開発が登場している。

プラスチックは再利用する際、ベレットと言われる状態まで細かく砕き、その後熱で溶融して分子レベルで混ぜ合わせ押出機でフィラメント状にする。例えば2014年に設立されたイタリアのフィラメントメーカー、EUMAKERSはポリエチレン(PE)のゴミ袋などを再利用し、PLA樹脂などと混ぜ合わせることでフィラメント化している。

また、ミシガン工科大学のピアース研究所は、高密度ポリエチレン(HDP)の牛乳容器を再利用し、3Dプリントフィラメントの生成する取り組みを行っている。この研究開発では世界中の途上国にあるプラスチック廃棄物をなくすことにつなげ、環境問題にも貢献するものとして期待されている。一般的にポリエチレン(PE)は容器類や、フィルム、シート、ポリ袋などが主流だが、再利用され3Dプリントフィラメントとして他の素材と混ぜ合わさることで、プロトタイプ製造の可能性を拡大している。

イタリアのフィラメントメーカーが開発したポリエチレン(PE)とPLA樹脂の混合フィラメント
ミシガン工科大学はポリエチレン(PE)の牛乳容器を3Dプリントフィラメントに再利用

まとめ 最も加工しやすく汎用性が高い素材

ポリエチレン(PE)は、加工しやすいという特性と安価であるということから大量に消費が見込まれる素材として最適だ。また消費されたあとは再利用し、さまざまなモノや3Dプリンターの材料としても利用することができる。こうした使われ方がされる一方で、高度なスーパーエンジニアリングプラスチックとしての顔も持つ素材だ。超高分子量で配合することで、ポリカーボネートよりも耐衝撃性が強く、尚且つそれ以外の機械的特性も高い。

こうしたことから過酷な環境下でも耐えうる道具や、人工股関節の関節部の素材としても利用される。このようにポリエチレン(PE)はプラスチック素材の中において最もシンプルな構造ながら、最も汎用性が高く、用途に応じた柔軟な使い方を提供してくれる。

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