最終品レベルでも使用可能。マット仕上げの新型PLAフィラメントProMatte

By | 2016年3月8日
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さまざまな形で進化するPLAフィラメント

特許切れによって安価なデスクトップ3Dプリンターが続々登場している。新たに登場するマシーンは光造形とFDM(熱溶解積層法)の二つの製法によるものが大半を占めているが、どちらが今後のものづくりや製品開発の現場で利用可能性が高いのだろうか。

光造形とFDM(熱溶解積層法)それぞれは単純比較することは難しく、一長一短あるが、材料のバリエーションという観点からはFDM(熱溶解積層法)の方が幅広く、今後も拡大していく可能性が高い。というのも、基本的に現在我々の身の回りで利用されているプラスチック製品の大半は、熱可塑性樹脂で作られているからだ。

ちなみに熱可塑性樹脂とは、加熱すると柔らかくなり、冷却すると固まるという性質を持つプラスチックのこと。現在市場で流通しているプラスチック製品のほとんどは、高温で溶かしたあと、金型内に注入して冷却して成形するという使われ方がほとんど。FDM(熱溶解積層法)とは、言い換えてしまえば、金型を使わない代わりに、フィラメント状にしたプラスチックを加熱して積層し、形にする仕組み。熱可塑性樹脂の特性を利用するという点では同じである。

つまり現在市場で流通するさまざまな熱可塑性樹脂を、FDM(熱可塑性樹脂)用のフィラメントに適応しやすいと言い換えることができる。既に、金型加工で利用されるほとんどの熱可塑性樹脂がFDM(熱溶解積層法)のフィラメントで利用されつつある。

ABSPLAポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエチレン(PE)ポリスチレン(スチロール樹脂)ポリカーボネートポリプロピレン(PP)ナイロン(ポリアミド)熱可塑性ポリウレタン(TPU)などだ。こうした熱可塑性樹脂のプラスチックフィラメントの中において、一際、進化が著しいのがPLAフィラメントだ。

PLAはもともと石油由来のABS樹脂の代替品として開発された植物由来のプラスチック素材で、比較的新しいプラスチック素材。実はその利用拡大はフィラメント開発の分野で続々と進んでおり、ベースとなるPLA樹脂にさまざまな素材を配合する形で進化を遂げている。本日はまた新たに登場したPLAフィラメントProMatteをご紹介しよう。

PLAフィラメント マット仕上げ 耐久性 ProMatte

PLAフィラメントの弱点を克服。最終品レベルで成形できる

一昔前までは、といっても数年前までは3DプリンターのフィラメントはABS樹脂かPLA樹脂だけであった。とりわけPLA樹脂は積層時における不具合やミスプリントが多く、また成形品も硬くて破損しやすく、形状確認のプロトタイプを作るのにも一苦労といったフィラメントであった。

また高温に弱いという特性をもち、加工するにもその後の扱いにもデリケートな配慮が必要なフィラメント素材として捉えられている。しかし、近年このPLAフィラメントの開発が進み、FDM(熱溶解積層法)の積層時における安定性を担保したものや、耐久性を高めたフィラメントが登場している。

本日ご紹介するProMatteもそんなPLAフィラメントの弱点を克服したものだ。従来のPLAフィラメントから30パーセント軽量化し、同時にPLAフィラメントの弱点でもある亀裂や破損性の耐久性を高めることに成功している。また同時に積層後の滑らかな表面仕上げも実現した。開発したのは3DプリントフィラメントメーカーのPolymakerと、カリフォルニアベースの3DプリンタメーカーType A Machines

ちなみにPolymakerは、ポリカーボネートのフィラメントのPC-PLUSや、Graphene 3D Labと共同開発した導電性のグラフェン配合フィラメントなど、高性能な造形が可能なフィラメントを開発している。またPLAフィラメントも多数揃えており、FDM(熱溶解積層法)で利用できるフィラメントを続々と拡大している。

今回登場したProMatteの革新的な点は、基本的にはプロトタイプ製造のためのフィラメントだが、FDM(熱溶解積層法)のマシーンによっては最終的な生産用部品として使用可能なオブジェクトを生成することができる。

PLAフィラメント マット仕上げ 耐久性 ProMatte

高性能なプロトタイプが作れる新型PLAフィラメント

滑らかな表面仕上げと加工性の高さが売り。高い耐久性も実現

ProMatteの最大の売りは上記で述べたように、最終品レベルにも匹敵する仕上がりだが、そのレベルは既存のPLAフィラメントを超えるクオリティを誇っている。プリントされた部分は基本後処理をする必要がなく、マットな質感を実現することができる。また、後処理加工にも柔軟に対応しており、サンドペーパーを使用すれば滑らかで美しいテクスチャを生成することが可能だ。

さらにはクラフトナイフなどでエッジングにも対応しており、生成するオブジェクトに応じて加工性の汎用性が高い。その一方で、従来のPLAフィラメントよりも高い耐久性を誇っている。PLAフィラメントは先にも述べたが、破損に弱く割れやすいのが弱点の一つでもある。このProMatteはこの点が大幅に向上されており、衝撃や圧力に強く、曲げたりすることができるのだ。

また軽量化も実現しており、既存のPLAフィラメントから30パーセント重量を軽量化。高い耐久性と軽量化により、軽くて丈夫な機能を求められるプロトタイプに最適というわけだ。例えば、下記の写真のように小型ドローンやクワッドローターなどのフレームには軽くて丈夫という機能は最適な効果を発揮するだろう。

PLAフィラメント マット仕上げ 耐久性 ProMatte

マット仕上げの美しい仕上がり。FDMの精度によっては最終品レベルもつくれる

PLAフィラメント マット仕上げ 耐久性 ProMatte

軽量、耐久性の高さはドローンなどにお最適

新型PLAフィラメントProMatte動画

PLAフィラメントProMatteスペック

  • ガラス転移温度:60℃
  • 融点:150-160℃
  • 密度:0.8グラム/ 平方センチ
  • 直径:1.75mm
  • 直径公差:±120μm
  • 印刷温度範囲:210〜240˚C
  • 温水ベッド:50 Cがお勧め、必須ではない
  • スプールサイズ:230mm/ 500g

まとめ 異なる素材との融合で進化するPLAフィラメント

PLAフィラメントはFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターの材料として主力になるかもしれない。今回ご紹介したProMatteのように、独自の改良を行うことによって、プロトタイプ以上の使用を可能にする新素材に成長する可能性を秘めている。例えば別のフィラメントメーカー、オランダのColorFabbでもPLA樹脂にさまざまな素材を配合した新型フィラメントや、3DOM社では、コンポジット材料として知られるガラス繊維を配合したエンジニアリングレベルの強化PLAフィラメントを開発した。またMakerBotは独自に4種類の新型PLAフィラメントを販売している。

このようにPLAフィラメントは、単体では脆く、プリントの安定性も低いが、そのほかの素材と合わさることによって従来の熱可塑性樹脂にはない新素材に生まれ変わることができる。FDM(熱溶解積層法)の3Dプリンターは、これから続々と登場するPLA樹脂の新型フィラメントによってより実用的な製造マシーンに生まれ変わる可能性が高い。

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