3Dプリント技術で製品改良のスピードが大幅向上
ナイキがアメリカンフットボール用のシューズVapor Carbon Eliteをリリースしたのが2014年の1月12日であったが、新たな改良版をもうリリースした。
今回新たに発表されたアメリカンフットボール用のスパイクVapor HyperAgility cleatは、前回発表されたVapor Carbon Eliteに比べて、新たに横方向の俊敏な動きを加味した設計になっている。
ナイキは昨年度から、オリンピックの有名スプリンターマイケル・ジョンソンと、40ヤードダッシュプロジェクトという、アメフト選手の動きを研究するプロジェクトに取り組んでいるが、今回の製品改良も、このプロジェクトで新たな課題がわかったためだ。
従来までの製品Vapor Carbon Eliteでは選手の縦方向のダッシュの動きに重点を置いた製品設計になっている。
しかし、40フィートダッシュプロジェクトを継続している過程で、横方向の俊敏性も必要であることが分かったためだ。
試合中、アメフトの選手は高速でダッシュするだけではなく、相手チームの動きに応じてすぐさま横方向に方向を変える動きが必要だ。
そのためには、芝上で瞬時に減速停止し、その後すぐさま最高速度が出せる機能性がシューズに施されていなければならない。ナイキはこの課題を克服するため、すぐにシューズの再設計に取りかかった。
わずか1カ月で改良版をリリース
驚異的なのは製品改良のスピードだ。従来であれば、製品改良と再設計、そして試作品製造から製品化までつなげる時間は優に数か月、長ければ半年以上かかってしまうところだ。
しかし、ナイキは前回のVapor Carbon Eliteをリリースしてからわずか1カ月程度で新たな機能性が加えられたVapor HyperAgility cleatを発表している。
まさに3Dプリント技術のメリットを活かしきった製品改良と言えるだろう。また、特筆すべき点は、今回の改良では機能性を検討し、それをデザインにおとしこむのにたった数時間で更新を行っている点だ。
ナイキはVapor HyperAgility cleatの製造にレーザー焼結方法による3Dプリンターを使用している。プリントしている部分はクリート部分で、これによりアメフト選手の大幅なパフォーマンスを向上させることに成功している。
新たに改良されたVapor HyperAgility cleat
まとめ
ナイキは今回のVapor HyperAgility cleatのリリースにおいて製品改良における3Dプリンターのメリットを最大限生かしている。
スポーツメーカーに限らず、メーカーが持つ課題の一つが、製品開発にかかるリードタイムの長さだ。
以前プーマの取組でご紹介したが、プーマの持つ課題もいかにして製品開発のリードタイムを短縮するかということがあげられている。
また、業種は違うがフォードは自動車パーツの試作品の製造に3Dプリント技術を使用することでリードタイムを4ヶ月を4日間に短縮している。
いずれも3Dプリント技術を利用することで圧倒的なコスト削減とリードタイムの短縮をもたらしている状況だ。
製品開発にかかる期間を短縮することは、消費者やユーザーのもつ様々な課題を克服し、より迅速な要望に応えることが可能になる。
顧客の細かい要望や課題を迅速に解決することは企業自体の品質向上にもつながり、信頼にもつながっていくのではないだろうか。
3Dプリンターのメリットはメーカーにとっての直接的な影響だけではなく、製品やサービスが提供されるユーザーにとってもメリットをもたらすという効果がある。ナイキの導入事例はそんなことを感じさせる発表だ。
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