超ニッチ市場で1位を走るグローバル中小企業たち!市場の定義とは

By | 2013年10月17日
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スーパーニッチ市場で戦う世界チャンピオン企業

特定の非常に限定された分野において、世界市場シェアの大半を占める隠れた中小企業がある。ハーマン・サイモン著の「隠れたチャンピオン企業」は事業を拡大していこうと考えている創業者や特定分野で事業を展開する中小企業にとって非常に参考になる経営書だ。経営書やビジネス雑誌等で取り上げられる企業の成功モデルは基本的には大企業のモデルや事例が大半であり、総合的な市場で戦う大企業のビジネスモデルや戦略などが直接、中小企業のビジネスモデルや戦略に役に立つとは考えられないのではないだろうか?

総合的な市場でトップをとるためのビジネスモデルと、特定の限定された製品を販売する中小企業のビジネスモデルは戦略の立て方も、事業の展開方法も、企業経営において優先される事項も全てが異なってくるのは当たり前だ。なによりもまず、市場の定義自体が異なってくると考えられる。

「隠れたチャンピオン」によると何よりもまずグローバル市場で圧倒的なシェアをもつ中小企業は市場の定義が非常にニッチな市場で戦っているとしている。下記は「隠れたチャンピオン」に掲載されている世界市場リーダーとターゲットとしている市場だ。

  • アエロクソン                  ハエ取り器                               世界シェア:50%
  • ドクター・ズベラック              コラーゲン                               世界シェア:100%
  • スカイセイルズ                凧で船をけん引する風力推進システム                 世界シェア:100%
  • ゲレッツ                    舞台用幕、舞台装置                         世界シェア:100%
  • アルバック                    LCDパネル・コーティング                      世界シェア:96%
  • G.W.バース                   ココア処理システム                           世界シェア:90%
  • GKD-Gearクフェラート           メタル・ファブリック                                                      世界シェア:90%
  • ケーニッヒ&バウアー             紙幣印刷機                              世界シェア:90%
  • キーロヴ・ライプチヒ              鉄道用クレーン                          世界シェア:85%
  • アルキ・テヒニーク               特別スクリュー・システム                       世界シェア:80%
  • オートジャイロ                   ジャイロコプター(航空機)                     世界シェア:80%
  • デロ                                                         スマートカードのチップモジュール用接着剤       世界シェア:80%
  • 日本写真印刷             小型タッチパネル                   世界シェア:80%
  • シェーボ・バイオテック             インビトロ診断法に関するバイオ技術       世界シェア:80%
  • ケルン・リーバース                シートベルト用スプリング               世界シェア:80%
  • ヴェッケル                      口紅製造機                                                                     世界シェア:80%
  • TEXPA                    ホームテキスタイル加工装置            世界シェア:75%
  • アッヘンバッハ・ブシュヒュッテン  アルミニウム圧延装置 圧延機用ろ過システム   世界シェア:70%
  • カールマイヤー            縦編機                         世界シェア:70%
  • オミクロン                                                 走査トンネル顕微鏡、プローブ顕微鏡                    世界シェア:70%
  • テンテ・ローレン            病院ベッド用キャスター               世界シェア:70%
  • ヴィルトゲン               道路修復用機器                                                            世界シェア:70%
  • コルブス                 製本機械                                                                           世界シェア:50%
  • ロべ&バーキング            銀食器                                                                                世界シェア;40%
  • ユーロフィン              食品・環境分析検査事業
  • ポーラー・モーラー          製糸業向け高速裁断システム
  • ポリクリップ               ソーセージの皮用クリップと専用機械
  • クーグラー・ヴォマコ          パスポート生産ライン
  • カール・マールバッハ         包装材用の穿孔金型
  • ミテック・グループ             内燃機関のノイズ除去用補正システム 
  • オーギュスト・フリートベルグ       風力発電分野で使用される連結技術・ネジ
  • ポック                  スキー用保護ヘルメット
  • コビル・システムズ           銀行取引向けハードウェア部品
  • ルップ&フブラック・オプティック    スポーツ用メガネ
  • プステフィックス             シャボン玉

※「隠れたチャンピオン企業」から抜粋

紹介されている世界市場リーダー企業をなるべく多く記載してみたが、全ての企業が非常に限定されたニッチな分野をターゲット市場としている。一つの国では非常に狭いニッチ市場を多数の国でカバーすることによって世界市場を制するという方法だ。

ニッチ分野を深く掘り下げる製品・サービスを提供する戦略

こうしてみてみると全ての企業が非常に限定された分野であったり、その業界やその分野に関連する人にしか必要とされないマニアックな分野だったりする。もう一つの特徴として市場をスーパーニッチに定義した上で、製品の品質、クオリティ、サービスを深く掘り下げていることが特徴のようだ。具体的にはどのように事業展開を行うのだろうか。本書で記されている食洗機システムのメーカーウィンターハルター・ガストロノームの例が非常にわかりやすいので紹介する。

ウィンターハルター・ガストロノームは業務用食洗機の分野で事業を行う企業だが、全世界市場を分析した結果、業務用食洗機市場ではわずか5%以下の市場シェアしか持っていないことがわかった。その後、自社の製品とサービス展開をホテルとレストランにターゲット市場を限定し、事業を『ホテルとレストランに、きれいなガラス製品と磁器を提供するサービス』として事業を定義しその分野で世界市場シェアを15%~20%に増加させたという。下記の図は市場の定義と製品・サービスを特化した図だ。

市場の定義

 

※「隠れたチャンピオン企業」から抜粋および改変

まとめ

このように見てみると特定分野でトップを走る企業は自ら市場を非常に小さいものに限定することと、その分野における製品とサービスを徹底させること、この二つを行い圧倒的な強みを築いていると考えられる。そして、一つの国では非常に小さいマーケットでも、それが世界中で事業展開が行われれば、必然的にグローバルリーダーになるという非常に合理的で優れた事業展開だと考えられる。

もちろんどんなに小さくても一分野で事業展開し、誰にも負けないように成長させていくことは、口で言うほど簡単なものではなく、多くの困難と小さいことの積み重ねがあるが、事業を遂行する方針としては大いに参考になるのではないだろうか。

非常に限定された小さいニッチ市場に特化することによって、その分野のターゲットとなる顧客とよりクロースリーな関係を築くことが可能で、市場を作り出す主役である顧客の要望や関心を常に吸い上げ、製品とサービスに反映できる環境に置かれることは間違いない。

また、一国ではなく何か国にもわたって事業展開すれば、国ごとの差異やニーズ、その国の経済や政治状況などからさらなる潜在ニーズをくみ取る視点も持つことができる。ある国での事業展開が別の国に生かされるなど、製品・サービスを構築する要素が豊富になり、より自社の強みを増すことができる。そんな合理的であり環境適応能力に富んだ戦略だと思われる。

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