6種類の金属を超音速で3Dプリント、5軸マシニングセンタMPA40

3Dプリント機能搭載のマシニングセンタ

金属加工には欠かすことができない工作機マシニングセンタ。1台でフライス削りや、中ぐり、穴あけ、ねじ立てといった金属加工が出来る。コンピューター数値で制御することで自動で加工出来るマシーンだ。もともとマシニングセンタが誕生したのは、さかのぼること50年以上前のアメリカ。

米国Kerny & Trecker社が開発したもので、金型職人に変わり、今では世界各国で使用されている製造マシーンになった。マシニングセンタは、基本的にフライス加工や切削加工などの金属を工具で削り取って加工する機械になるが、最近ではレーザー加工が出来る機種なども登場しつつある。

金属加工といえば最近注目されているのがレーザー焼結法の3Dプリンターだが、こうしたマシニングとの融合するマシーンは、1台で金属を自由な形状に形作ることが出来る性能から注目が集まっている。本日ご紹介するMPA技術もそんなマシニングセンタと3Dプリント技術を融合する新たなマシーンだ。

しかしそこにはレーザー焼結とは異なる、新たな別の技術が使用されている。本日は、6種類の金属をコーティングするマイクロ鍛造機能を備えたマシニングセンタMPA40をご紹介。

音速の3倍の速度で6種類の金属をコーティング

MPA40を開発したのは創業から80年近く経とうというドイツの製造機器メーカーHERMLE(ハームレ社)だ。1938年に創業以来、ボルトやビス、さらには金属加工を行うためのマシニングセンタを開発してきた。そんな金属加工のプロ企業があらたに開発したのが、従来のマシニングセンタに新たな3Dプリント技術を融合するというハイブリッドマシーンだ。

ちなみにHERMLE社が今回発表したMPA40は5軸のマシニングセンタになる。5軸とは、X軸、Y軸、Z軸に加え、回転する2軸の旋回軸を加えたもの。これにより単純な縦横高からの加工だけではなく、さまざまな形状に金属を加工することが可能に成る。

そして、このマシーンの画期的な技術は、この5軸マシニング加工機能に加え、マイクロ鍛造と呼ばれる金属粉末の積層技術を搭載していることになる。このMPA40はなんと7年間にわたって同社のR&Dセンターで開発されたもので、フライス主軸と回転用軸に金属粉末を塗布するノズルを搭載しており、金属による切削加工を行った後に、表面上に別の金属でコーティングすることが可能というわけだ。

そのコーティングの積層技術も驚くべきもので、過熱蒸気の高エネルギージェット技術を使い、なんと音速の3倍の速度で金属粉末を吹付けすることが出来る。ちなみにこの時の圧力は10GPaで、1000℃もの高音になる。これにより部品の表面上に粉末状の超微細な粒子が吹きつけられ鍛造による変化を起こせるというのだ。

このハイパワージェット噴霧により使用出来る金属素材は最大6種類。1.2344スチール、1.2367スチール、1.4404スチールの3種類と、純銅、ブロンズ、チタン、アルミニウムが可能だ。また、この金属加工を可能にするために、冷却用の水溶性充填材が搭載されいる。

MPA40動画

MPA40
5軸マシニングと超音速金属噴射技術の融合

まとめ 異なる金属を融合させる新技術

このMPA40の最大の特長は、あらゆる機能を持つ金属パーツを作り出すことが可能だということだ。5軸による切削加工は、どのような形状にも金属を削り取ることが出来る。また、最大のポイントである金属コーティング技術は、音速の3倍という速度と高圧力により、異なる金属と金属を鍛造のように接合し、新たな機能を付与出来るという驚くべき機能を持っている。

金属と金属を「くっつける」技術は溶接や鍛造、はんだづけなども含まれるが、それ以外の製法では、この音速ジェット噴霧が初ではないだろうか。初ではなかったとしても、このMPA401台とCADデータがあれば、高性能な機能性金属パーツをダイレクト製造することが出来る点は、驚くべき事実である。

ドイツは世界一の工業国と言われるが、現状に満足することなくつねに新しい挑戦をし続けているのだと感じさせる製品発表だといえよう。

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