MOMAがコレクションに加えた最先端の電子工作キットたち

MOMAが注目する5つの電子工作キット

MOMAの通称で知られているニューヨーク近代美術館。The Museum of Modern Artの頭文字をとってMOMAと呼ばれているが、モダンアートや近代美術に関する膨大なコレクションを集めている。

その貯蔵点数は10万点以上にもおよび、さまざまな分野の製品が収集されている。美術館というと、一般的には絵画や置物など、美術品に関するイメージが強いが、MOMAはそのモダンアートという観点から、現代的なさまざまな製品を収集している。

またMOMAの最大の特長の一つは、キュレーターが収集した製品を販売していることも挙げられるだろう。

その範囲は非常に幅広く、リビング用品や照明器具、ダイニング用品、ファッションやアクセサリー類から子供向けのおもちゃ、文房具やギフトなど多岐にわたっている。

とりわけ面白いのが、家電製品や、電子機器も販売しており、近年のデジタル技術を使った面白いアイテムも取り扱っている。そこでは最先端のテクノロジーとアートが融合されたいろいろなプロダクトが集められており、MOMAが収集するアイテムを見ることで最先端のモノや技術を知ることができるといってもいいだろう。

本日はそんな常に現代の最先端を行くMOMAが収集し永久保存した5つの電子工作製品をご紹介。

ハードとソフトを融合させるArduino

まずはじめにご紹介するのが、Arduino(アルドゥイーノ)だ。Arduinoは、ソフトウェアでデバイスをコントロールするためのマイコンの基板になる。オープンソースのハードウェアで、自由に組み立てすることが可能だ。

もともと2005年にイタリアで始まった学生向けのロボット組立用のハードウェアだったが、今ではスマートフォンやアプリの普及とともに急速に広まっている。

非常に簡単に言ってしまうと、スマートフォンのアプリで機械を操作することできるようにするためのボードだ。Bluetoothなどの無線で機械をコントロールするいわばモノのIT化は今後ますます拡大するとみられ、このArduinoを使ったモノづくりが世界中で広まりつつある。こうした未来のモノづくりの一躍を担う創造性が評価されたのかもしれない。

これから紹介する4つの製品はどれもこのArduinoを使った電子工作キットだ。

ハードとソフトをつなぐArduino

なんでもコントローラーになる電子工作Makey makey

Makey makeyは日本でも販売されている全米で大ヒットの電子工作キットだ。MITメディアラボ初のこのキットは、「もしもバナナがコントローラーになったら」というようなクリエイティブな発想から生まれた電子工作キット。しかしただの半田づけして、電池を装着すれば動くといった電子工作キットではない。

付属のミノムシクリップをいろいろなものにつなげるだけで、つなげたものをパソコンのキーボードや、ゲームのコントローラーとして使うことができる。このMakey makeyの最大の特長はユーザーが自分オリジナルの使い方ができるという点にある。

例えばバナナにつないでピアノの鍵盤代わりに使ったり、粘土につなげてスーパーマリオのコントローラーに使ったり、自由な発想でさまざまな遊び方ができる電子工作だ。

Makey makey動画

makey makey

なんでも電子楽器にするシンセサイザーOtoto

このOtotoはつなげるものは何でも電子楽器にしてしまう電子工作キットだ。ナスなどの野菜やアルミホイルで作った円盤など、端子でつなげたものは何でも楽器にしてしまう。12個のタッチキーボードセンサーを搭載し、USB充電や単三乾電池で動かすことができるシンセサイザーだ。

開発したのはロンドンに拠点を置くDENTAKUで、自らもアーティストとして活動しているYURI SUZUKI氏。鈴木氏は、ロンドン在住のデザイナーでサウンドアーティスト。イギリスのロイヤルカレッジオブアートに留学し、音楽や電子工作に関する様々なプロダクトを作っている。

Ototo動画

なんでも電子楽器にしてしまうOtoto

インクを読み取って音に変える電車Colour Chaser

次にご紹介するColour Chaserも上記のOtotoを開発したYURI SUZUKI氏が手掛けるもの。黒いインクを検出し、ミニチュアの電車が走るというもの。しかもインクのRGBを音に変換しながら走ることができるというものだ。ユーザーは自由に紙の上に黒いマーカーで引くだけ。その上をミニチュアの電車が線路のように走りながら、ランダムに引いたカラーマーカーをよみとって音を奏でている。

Colour Chaser動画

マーカーのRGBを音に変換するColour chaser

アルドゥイーノの電子工作DIY gamer Kit

最後にご紹介するのは、Arduinoとソフトウェアを使って、オリジナルのゲームを作れる電子工作キットDIY gamer Kitだ。この電子工作キットは、はんだ付けから行うことができる本格電子工作キットで、様々な電子部品を配置してはんだ付けし、専用ソフトウェアで独自のゲームをコーティングすることが学べるというものだ。また半田づけに不慣れな人向けに、既にボード上に電子部品が配置されたバージョンも選ぶことができる。

はんだづけからできるDIY gamer Kit

まとめ

MOMAが商品として完成していない物を選び出すというのは極めて珍しい事例だ。この5つの電子工作キットはユーザーそれぞれが独自に作ると言ったもので、商品としてそれ自体を使用するものではない。ましてやArduinoはそれ自体は電子部品の一部ともいえる。

しかし、この新たな製品開発の技術ともいえるハードとソフトの融合は、非常に多くの人々に影響を与えている。アーティストやデザイナー、子供、DIY愛好家、アクティブなメーカーなど、アマチュア、プロ問わずさまざまな立場の人たちが注目し、そしてクリエイティブな能力を発揮することを促進させている。

そうした視点から見ると、自由な発想を促進するArduinoとそれによる電子工作はこれからの製品開発とデザインに最も影響を与えるものだ。

電子機器の性能を左右する、はんだの重要性についてはこちらをどうぞ

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