すべてのスマートフォンを3Dスキャナーに。マイクロソフトのアプリMobileFusion

スマートフォンの汎用機能になりつつある3Dスキャニング機能

物体を三次元でスキャンし、手軽に3Dデータを作成できる3Dスキャナーが進化をとげている。前回iPhoneに取り付けることができる199ドルの3Dスキャナーをご紹介したが、今度はマイクロソフトが、すべてのスマートフォンを3Dスキャナーにしてしまうアプリケーションを新たに開発した。

スマートフォンを3Dスキャナーとして使用するプロジェクトは、既に各社が行っており、インテルの3Dスキャニング用カメラや、アップルがiPhone、iPad専用の3Dスキャニングカメラの開発に乗り出しているところだ。

また、つい先日、Googleのプロジェクトタンゴスマートフォンは、インテルの開発するRealSense 3Dカメラを搭載した3Dスキャニングの機能をもつスマートフォンを発表。3Dスキャニング機能が、スマートフォンの汎用装備として、手軽に使用できる環境が整いつつある。

3Dプリンターの性能向上とともに、3Dスキャニングと3Dデータの取り扱いも徐々に進化を遂げているようだ。本日はマイクロソフトが開発した、ほぼすべてのスマートフォンを3Dスキャナーとして使用することができるアプリケーションMobileFusionをご紹介。

追加のデバイスは不要。スマホでわずか20秒で3Dスキャンできる

今回のマイクロソフトの開発した3DスキャンアプリケーションMobileFusionの最大の特長は、追加でデバイスを必要とせず、スマートフォンの既存かめらとアプリケーションのみで使用することができる点にある。

上記でご紹介したグーグルのプロジェクトタンゴのスマートフォンなどはインテルの開発するRealSense 3Dカメラを搭載しているが、マイクロソフトは従来のソフトウェアメーカーらしくアプリのみで機能するという画期的な開発を行っている。

このMobileFusionと呼ばれるアプリケーションはマイクロソフトリサーチがオックスフォード大学と共同研究により開発したもので、現状のほぼすべてのスマートフォンで使用することができる。下記の動画はこのMobileFusionの開発中の動画だが、使用しているスマートフォンはiPhone6だ。

このアプリケーションでは約20秒間のスキャニング時間によって連続的な、フルカラーモデルを作成することができる。この機能を発揮させるためには、人間の目の機能と同様に、スマートフォンのカメラを使用して画像を撮影する高度なアルゴリズムを使用しているとのことで、このシステムはまだ発展途上にあるとマイクロソフトリサーチは発表している。

スマートフォンを3DスキャナーにするアプリMobileFusion動画

わずか25秒でスキャニングが完了。スナップ写真感覚で3Dスキャンができる

iPhoneやアンドロイド、Windowsフォンへ対応

このMobileFusionは、iPhoneやアンドロイド、Windowsフォンへの対応を想定しており、今年の10月末に福岡で開催予定の拡張現実国際シンポジウムで発表される見通しだ。

現在公開されているモデルは開発中のもので、最終的なスキャニング精度は不明だが、オートデスクの3Dアプリ123Dキャッチのようなモデルと同等のレベルのようにも見える。かなり手軽に遊べ、3Dスキャンと3Dプリンターへの興味喚起としては最適なアプリケーションかもしれない。

実際に使用する際には、インターネットに接続する必要は無く、このMobileFusion単体で使用することができる。またわずか20秒で3Dスキャンすることができるため、いわばスナップ写真を撮る感覚で、すぐにその場で気になった物体や建物を3Dスキャンデータとして記録することが可能だ。

例えば起業家やデザイナー、製品企画のヒントとなるモノをこのアプリケーションを使えば、3Dデータとして格納し、参考にすることができる。高性能な3Dスキャナーと比べればそのレベルは劣るかもしれないが、この発展途上の技術がますます進化することで、よりレベルも向上するに違いない。

iPhoneを使った3Dスキャン。アプリはほぼすべてのスマートフォンに対応予定

まとめ 3Dデータと3Dプリントはより手軽なものに

今回のマイクロソフトが開発する3DスキャンアプリMobileFusionのように、3Dデータを生成するソフトやデバイスはますます手軽なものになりつつある。とりわけスマートフォンやタブレット端末への汎用化は思ったよりも速い段階で搭載されそうだ。マイクロソフトのアプリやインテルの専用3Dカメラなど、物体を3Dスキャニングし手軽に複製できてしまう時代が来るかもしれない。

現段階では、3Dスキャナーも3Dプリンターもそこまでの精度は持っていないが、少なくともこの1年間を見るだけでも飛躍的な進歩を遂げている。今後数年間の開発で3Dスキャンと3Dプリントの精度はかなりのレベルまで向上するだろう。こうした場合、物の価値がどのように変化するのか、またものづくり全般にどのような影響を与えるのか、リアルな物体にアウトプットするスピードが早くなる分、それ以前のコンセプトやデザインを確立することが必須となるだろう。

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