金属用3Dプリンターの導入が加速!使用実績や活用例をご紹介

高まる金属部品の3Dプリントの需要

製造業や教育機関への導入が進み、メディア報道でも注目を集めている3Dプリンターであるが現在紹介されたり導入されたりしている種類はほとんどがプラスチック製品を出力する3Dプリンターだ。

主に製造業においてプラスチック製のパーツとして使用されたり、医療用途で使用されたりしている。最近では金属製の部品が製造できる3Dプリンターも注目されてきておりここ10年間で驚異的な進歩を遂げている。本日は金属製造の3Dプリンターの主要な使用用途や実績をご紹介。

金属用の3DプリンターメーカーはARCAM、コンセプトレーザー、EOS、ExOne、フェニックスシステム(3Dシステムズにより買収)といった企業が有名で、価格や材料、部品やサイズなど種類は様々である。

その材料としてもステンレス鋼、工具鋼、青銅合金、コバルトクロム、インコネル、アルミニウム、チタンなど様々だ。

 3万人以上の医療用インプラントを製造するARCAM

金属用の3Dプリンターを製造するARCAM社は1997年に設立されたストックホルムに本拠をもつスウェーデン企業だ。

3DCADデータから直接金属部品を成形し高密度で高品質な部品を成形が可能となっている。アメリカの製造業に対して導入を行っており、航空宇宙産業のロケット製造などに使用されている。このARCAM社の製品で、ヨーロッパの医療用インプラント市場において3万人以上のカスタム製造を行う予定だ。

インプラントは体内に埋め込む器具の総称で、歯科治療の分野で利用されるだけではなく、心臓ペースメーカーや人工内耳、豊胸用など利用分野が拡大している。インプラントは個人個人の体格や骨格などによって形状が違うため、精密なカスタマイズ製造をすることができる金属用3Dプリンターは最適な製造機だ。

 金属やガラス造形を開発するExOne 

金属用3Dプリントメーカーで最も有名な企業の一つがExOne社だ。ExOneは40年以上にわたる実績を持つ機能で2005年に設立された企業で、主に砂型や金属、ガラスの3Dプリントやレーザー微細加工のトップメーカーとなっている。

2001年にBMWの製造に導入されて以来、他社とは異なったアプローチで金属の3Dプリントに取り組んでいる。

ExOneは316ステンレス鋼、420ステンレス鋼、銅合金、ブロンズなどの素材を使用した3Dプリントの研究開発を行ったり、最近では鉄と結合したタングステンの発表を行った。

世界初のレーザーカッティングマシン リアライザ社

リアライザ社はCADデータから直接金部品を生産する世界初のレーザーカッティングマシーンのメーカーでアルミニウム、チタン、鋼、金、プラチナ、インコネル合金の部品を作成することができる。リアライザ社はヨーロッパで200のシステムを導入しており、歯のパーツインプラントや複雑な宝石のデザインなどで使用されている。

タイヤのトレッド金型を作るフェニックスシステムズ社

金属用の3Dプリンターメーカーでトップを走っている企業のうちの一つがフェニックスシステムズ社だ。フェニックスシステムズ社は3Dプリンターの2大メーカーの1社である3Dシステムズ社に買収されたが、航空宇宙産業、自動車、医療機器など様々な業界に導入を行っている。

フェニックスシステムズ社の機器で製造された部品は非常に緻密で5ミクロンの粗さまで仕上げが可能になっている。産業用では既にタイヤのトレッド金型製造に使用されており、高強度マレージング鋼で製造されている。

タイヤトレッド用金型

レーザー焼結をリアルタイムで監視できるEOS社の3Dプリンター

金属の3Dプリンターメーカーで代表的な1社がドイツミュンヘンに本拠地を置くEOS社だ。EOS社の3Dプリンターはレーザー焼結システムを利用して高性能な金属パーツを作ることが可能となっている。

また同時にインターネットを通じてリアルタイムでレーザー焼結を監視しアクセス権のあるユーザーが簡単に管理することが可能となっており、ヨーロッパでは航空宇宙産業や歯科医療分野での導入がされている。

まとめ

金属用の3Dプリンターはステンレス鋼やタングステン合金など素材として利用できる金属の種類が拡大している。こうした素材の多角化は従来のプラスチック部品だけではなく、様々な金属合金がパーツとしてカスタム・ダイレクト製造できればさらに製造業での利用が拡大されると考えられる。

プラスチックの3Dプリンターは25年、金属の3Dプリンターは10年の研究開発の実績が最近になって一気に花開いた感があり、主な使用用途としては医療用のインプラントや産業用の細かいパーツ、金型の製造にすら利用され始めている。

こうした金属用3Dプリンターの利用は造形精度の精密さの向上や、材料費の低下によって今後さらに導入がすすむと思われるが、金属部品の用途は使う部分によっては精密さや一定の品質が要求されるだろう。

特にプラスチックとは違い、動力の機関部品などに使用される場合には熱伝導率や金属種類の配合等、単一の素材では想定されない部分の精密さが要求されると思われる。素材の研究は製造に関する品目や分野を広げる可能性があるため今後も注目したい。

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