マテリアライズはパナソニック「LUMIX GM1」を3Dプリントカスタマイズ

By | 2014年10月7日
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商品志向が多様化する時代

3Dプリンターは今の時代を反映した最適なテクノロジーだ。日本をはじめ先進国における経済活動、すなわち商品開発やサービス提供は、もはや多様性を基準にして行わなければ必ず失敗すると言ってもいい。

これまでの大量生産時代を経て圧倒的な豊かさを手に入れた人々は、自分だけの価値を追求し始めている。小難しい表現を使えばマズローの欲求の5段階目「自己実現の欲求」の段階に入っており、画一的な商品やサービスでは人々はもう満足しない。

むしろそこでは他者も認めつつ同時に自分のみのオンリーワンを目指すという、複雑極まりない志向に変わってきている。このような時代のモノづくり、商品開発は従来のような大量の顧客データベースを基準にしたマーケティング手法では対応することが難しいだろう。

なぜなら上記のように人々の趣味趣向は多様化しているうえに、既存の枠組みにとらわれた企業側からの視点・事情に当て込んだアンケートからは顧客の潜在的な欲求は何も読み取ることはできないからだ。

3Dプリンターとデザインの役割

そのためこんな時代のモノづくりには、いかに人々に使いたいと思わせる価値を与えられるか、いかに多様性に対応するかということが重要になってくる。その役割を担うものは二つある。

第一は冒頭で述べた3Dプリント技術だ。3Dプリンターは単なる試作品を作る域を超え、商品をその人の好みに合わせたカスタマイズするためのツールとしてその力を発揮しつつある。しかしこの技術だけではダメで、3Dプリント技術に血を通わす役割を果たす重要なものがある。

それがデザインだ。デザインは極めて広い意味を示す言葉だが、単なる外側、外装を形作る技術ではない。いかに人々の心に印象付け、人々の心に価値を感じさせるかという大きな役割を担うものだ。

本日はそんな時代に適合した二つの技術、「3Dプリント」と「デザイン」を使いこなし、時代にあった取り組みを行なう企業マテリアライズとパナソニックのコラボレーションをご紹介。

マテリアライズとパナソニックのコラボレーション

マテリアライズはこれまでたびたびご紹介してきたが、ベルギーにヨーロッパ最大の3Dプリント工場を持ち、全世界に展開する3Dプリントサービスのリーディングカンパニーだ。多くの人々が3Dプリント技術に注目するはるか昔20年以上も前からこの技術で多くのモノづくりを支えてきた企業だ。

3Dプリンターとさまざまな素材の特性を最も理解し、作られるモノは徹底して仕上がりにこだわったものが多い。

また、多くのデザイナーとのコラボレーションも盛んで、本日ご紹介するパナソニックとのコラボレーションもドイツのデザインスタジオWertelOberfellと協力している。

今回マテリアライズが発表したのはパナソニックのレンズ交換可能な小型デジタルカメラ「LUMIX GM1」の3Dプリントカスタマイズだ。「LUMIX GM1」は、超小型であるにも関わらず、レンズとボディにとことんこだわった高品質なデジタルカメラ。

そのデザインは上質感と機能性を併せ持つ人気の高いシリーズで「高品質」を凝縮したカメラともいえる。

ちなみに、このデザインを手がけたドイツのデザインスタジオWertelOberfellのデザイナー、ヤン氏とゲルノット氏は、マテリアライズが取り組む世界のデザイナーとの3DプリントコラボレーションMGXにも参加している。

MGXの作品はレッドドットデザイン賞をはじめ、世界のデザイン賞を獲得したランプなどのアート製品が並び、現代テクノロジーである3Dプリント技術とクラフトマンシップが融合した秀逸な作品が販売されている。MGXの作品はマテリアライズの3Dプリントサービスi.materialiseから購入できる。

3Dプリンターでしか作れないデザインと細部へのこだわり

そのパナソニックの「LUMIX GM1」だが、ボディの素材にマグネシウム合金が使用され、軽量と剛性の両方を実現、操作を行なう3連ダイヤルはアルミの削り出しによって美しい仕上がりを達成している。

今回3Dプリンターでカスタマイズされたのはカメラの印象を大きく担っているボディカバーの部分だ。通常「LUMIX GM1」のボディカバーはオレンジ、ブラック、ホワイト、シルバーの4色で革のシズル感を演出したベーシックなもの。

マテリアライズは、このボディカバーの部分を3Dプリンターならではのデザインにカスタマイズすることで、デザインと商品開発の可能性を示すことに成功した。使用されたのは高解像度の光造形3Dプリンターで、通常の金型では再現することが不可能なデザインを3案作っている。

その幾何学的で複雑なデザインと限界まで挑戦した素材の薄さは3Dプリンターでしかつくることができないものだ。

このデザインを手がけたWertelOberfellのデザイナー、ヤン氏も、「この3つのデザインは、複雑なディティールと素材の薄さという二つのポイントで、3Dプリンターの限界まで挑んだ作品」と語る。まさに「LUMIX GM1」本来の持つ「高品質」を活かしながらデザインのバリエーションを拡大し、多くの人々の多様性に応えるような取組だといえる。

マテリアライズが3Dプリントカスタマイズしたパナソニックの「LUMIX GM1」

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アールヌーボー

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モダニズム

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デジタルエイジ

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ドイツのケルンで開催された展示会Photokinaで発表された

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まとめ

マテリアライズのパナソニック「LUMIX GM1」の3Dプリントカスタマイズは、まさにこれからの時代に合った商品開発だと言える。デザインのバリエーションを広げ、同時に細部のディティールまでこだわって仕上げるモノづくりの心、これこそが今後の商品開発にとって最も必要なことだろう。

唐突だが、スティーブ・ジョブズが生きていたころのiPhoneのラインや細かいパーツの接合部は、どこまで拡大してみても直線性を失わない仕上がりを保っていた(iPhone5からはその直線性が大きく拡大すると保たれていないが)。

そんな細部までこだわるモノづくりの心が人の心を打つ商品につながっていく。マテリアライズの取組は、そんな細部へのこだわりが見て取れる。デザインの可能性を示す3Dプリンターだけではなく、細部まで気を配られた美しい仕上がりが、商品にとってどれだけ大切かを感じさせてくれる、そんなプロフェッショナルな取り組みだ。

マテリアライズ本社の造形サービスで提供する3Dプリンターの種類と出力可能な素材一覧

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