3Dプリントとプログラミングの義務教育化と新たな電子工作キットの動き

By | 2014年11月8日
スポンサーリンク

高まるデジタル人材の需要と義務教育化の動き

今、世界の学校教育で急速に導入が検討されている二つの技術がある。3Dプリント技術とプログラミングだ。この二つの分野はこれからの社会に最も影響を与える技術と言えるだろう。

第一に3Dプリント技術に代表される製造現場のデジタル化は、インターネットというボーダレスなインフラを通して製品開発のスピードを急速に速め、その戦いは必然的にグローバル世界に組み込まれることになる。極端な表現を使うようだが、3Dプリント技術を使いこなし、圧倒的な効率化と多様性を実現した企業と、伝統的な製造技術のみに依存する企業では、石器時代と現代ほどの差が出るだろう。

次にこれからのものづくりにとって頻繁に使用される技術がプログラミングだ。プログラミングはソフトウェアの分野で長く使用されてきた技術だが、Arduinoと無線技術により、急速にモノの世界に浸透しつつある。現在はスマートウォッチや一部の体調管理を目的としたウェアラブル端末での使用と限定的だが、近い将来、あらゆる製品がIT化されると言われており、今後の製品開発にとっては必須の技術と言える。

こうしたことから、一部の先進諸国ではこの二つの技術を備えた人材を育成するために急速に教育カリキュラムに取り入れつつある。国の発展には経済を牽引するための活発な企業活動がなされていなければならず、企業競争力を高めるためには、優れた技術とそれを使いこなす人材が必要だ。

こうした教育現場におけるデジタル技術の必修化は、これまでの教育では大学レベルで十分であったが、今後は小学校、中学校レベルから行われる必要がある。既に一部の小学校や中学校では取り入れられつつあるが、企業側もこうした国の動きに合わせて新たな事業を立上始めている。

3d-print-education

3Dプリントとプログラミングの義務教育化に動くイギリス

こうしたデジタル教育の普及に最も熱心な国の一つがイギリスだ。イギリスは既に一部の中学校、高校に対して3Dプリンターの導入を行っているが、2016年度までには、全中学、高校4000校に3Dプリンターを導入することを計画している。更にはプログラミングの義務教育化も着実に進めている状況だ。

今年の9月からスタートしたプログラミングの教育制定は、5歳から16歳の義務教育レベルでプログラミングを正式カリキュラムとして行うというもの。今年の9月からプログラミングに精通する教師の育成を始めGoogleやMicrosoftなど先進的なIT企業とカリキュラム制定を行っている。

こうした動きを受け、新たに小中学生向けにプログラミングと3Dプリントを習得できるキットを提供する企業も登場している。「子供の創造力を伸ばすオープンソースのラジコンCarduino」という記事でご紹介したMaker Clubというスタートアップ企業だ。

Maker Clubは子供が簡単に3Dプリンターやプログラミングを学習できるオープンソースのキットを発売しており、イギリスの小中学校への導入を計画している。

Maker Club 動画

3Dプリンター Arduino キット

Maker Clubの3DプリンターとArduinoの習得を目的としたキット

3Dプリンター Arduino

スマホやタブレットで操作もできる

3Dプリント プログラミング

3Dプリントとプログラミング両方が習得できるキット

Maker Clubのキットは手頃な価格で学習することができる上、3DプリンターとArduinoを使ったプログラミングを習得することができる。組み立てたキットは、スマートフォンやタブレットのアプリを使うことで、遊びながら楽しむことができる。難しいテクノロジーをよりわかりやすく伝え、なおかつ子供たちが楽しみながら学べるという特性から一躍注目を集めている。

まとめ モノづくりにおける「人」の役割の変化

未来の製造業においては、プログラミングと3Dプリント両方を習得することが当たり前になるだろう。しかしこうした専門技術は、早晩多くの人々が使える普遍的な技術になる。かつてパソコンが普及し、ワードやエクセル、パワーポイントなどが使いやすくなったのと同じように。

そのため、この二つの技術は当たり前のスキルとして習得したうえで、プラスアルファの専門技術が必要になるだろう。さらに、この技術の普及により人が担う役割も大きく変化を遂げることになる。3Dプリントやプログラミングが汎用化されれば、ある程度のレベルまでは誰が行っても変わらない精度を出すことが可能になる。

そこでは多くの作業や仕事が自動化され、人の行なうことができる仕事の範囲も変革を遂げるだろう。そのような自動化、平均化された社会では、デザインや創造的な仕事にこそ人の真の力が発揮されると思われる。

スポンサーリンク