LUXeXceLの高性能光学レンズの3Dプリントサービスは射出成形に変わる

オランダの有名な光学レンズの3Dプリント企業

オランダは3Dプリント技術で世界的な企業が多い国の一つだ。最も代表的な企業を上げるとすれば3Dプリントサービスで有名なShapewaysがまず挙げられる。3Dプリントで作るオンラインマーケットプレイスとしては世界に先駆けてサービスを開始した企業。

また、全世界に8000以上もの小規模3Dプリントサービスのネットワークを提供する3DHubsがある。3DHubsも立上からわずかな期間でグローバルワイドのネットワークを構築、国際物流サービスUPSとも業務提携を行なうほどに成長した。

さらには3Dプリント材料で常に独自の3Dプリントフィラメントを提供し革新を続けるColorFabbがあげられるだろう。ColorFabbが提供する特殊フィラメントは、FDMタイプの低価格3Dプリンターに新たな可能性を与えつつある。

この3社はある意味3Dプリント分野に限って言うと独自の地位を確立した世界的な企業だと言える。

しかしもう1社オランダで代表的な企業がいるのをご存じだろうか。それは光学レンズメーカーであるのに独自の3Dプリント技術で新たなサービスを開始する企業LUXeXceLだ。

本サイトでもたびたびLUXeXceLをご紹介させていただいたが、今回新たに独自の3Dプリント技術を利用した、本格的なオンライン3Dプリントサービスを開始している。

また、LUXeXceLが製造する光学レンズは後加工なくそのまま使用できるほどの精度を保っているが、新たにより優れた性能を持つ3Dプリント光学レンズを発表した。光学レンズの生産で、大量生産向きの大きな費用が掛かる射出成形に変わる技術として注目を集めている。

射出成形に変わる小ロット生産に最適な光学レンズ

まずはLUXeXceLのサービスと新素材をご紹介する前に、光学レンズの製造についてご説明しよう。

光学レンズは、カメラや望遠鏡などの光学機器に使用されるレンズで、もっと単純なものでいうと白熱照明、最近ではLED照明のレンズとしても使用される。

光学レンズとは光を屈折させて発散させたり集めたりする機能を持ち、例えばカメラなどはレンズに入ってくる光を調節することで撮影をする機械だ。素材としては有機ガラス、すなわちプラスチックを使って作られるもので、金型を使った射出成形によって製造されるのが一般的だ。

射出成形はプラスチック製法の中でも最も広く使用されている加工方法で、溶かした樹脂を金型に注入し、冷却して固体にする技術。その特長は大量生産に適しており、高度で精密な設計の製品に適している。昔は光学レンズはガラスを研磨することで作られていたが、現代ではプラスチックによる射出成形が一般的。

ガラスの研磨加工では大量生産が不可能だし、コストも高いためだ。射出成形は金型の精密さを活かし、高品質な製品の量産が可能だが、プラスチックの温度による影響をコントロールしたり、熱収縮性を計算に入れたりと、金型の設計と製造にかなりのコストがかかる。つまり一定数の販売量や生産量が確保されていない限り、使用できない製造方法ということになる。

しかし、LUXeXceLの光学レンズの3Dプリント技術ではこの射出成形では不可能な小ロット生産が可能になるのだ。今回新たに開始したオンラインサービスでは、簡単にデータをアップロードし、見積もりを24時間以内に取得、その後3Dプリントされ納品されるという仕組みだ。ちなみにLUXeXceL が持つ独自技術Printopticalでは超高解像度で後加工することなく3Dプリント製造が可能。

LUXeXceLが持つ独自の光学レンズ3Dプリント技術Printopticalについてはこちらをどうぞ

LUXeXceLの3Dプリント光学レンズは後加工せず使用可能

表面加工やコーティングなしで96.9%の内部透過率を実現

続いてLUXeXceLが発表したのは、これまでの3Dプリント光学レンズを上回る性能を持つ新商品だ。それは加工することなく96.9%の内部透過率を実現したレンズになる。非常にざっくりとした説明だが、レンズには通常光が入ってくると、レンズの表面反射によって、約4%近い光が失われると言われている。

そのためレンズは光が入って、光が出ていく過程において裏表合わせて8%お光が失われることになる。

例えばカメラなどはレンズが複数入っていることもあり、レンズを通すごとに光の透過率が減っていく計算になる。こうした光の特性から、通常光学レンズにはコーティングが施されており、優れたものではこのコーティングで99.9%の透過率を達成しているメーカーもある。

このように見てみるとLUXeXceLが開発した新たな3Dプリント光学レンズがいかに優れているかがわかるだろう。

ちなみに従来からLUXeXceLが3Dプリントで達成しているレンズの透過率は92.4%で普通のレンズなみ。そうした点からすると全く表面加工を行なわないで96.9%という透過率を達成したレンズを1個単位で3Dプリント製造することがいかに画期的かがわかる。

通常の場合であれば、射出成形によって量産し、そのご表面コーティングという製造方法がとられるため、製法にかかるコストが単価に反映されるが、LUXeXceL の3Dプリント技術であればオンラインから注文ができる。

LUXeXceLの新3Dプリント光学レンズLUX-Opticlearのスペック

  • 最大サイズ:210mm×400mm
  • 最大幅:20mm
  • 最小幅:1mm
  • 最小レイヤー:500ミクロン
  • トップ:120ミクロン
  • ボトム:80ミクロン
  • 平均:100ミクロン
  • 内部透過率:96.9%
  • ヘーズ(くもり):0.1%
  • 屈折率:1,530
  • 黄色度:1.0

96.9%の透過率を誇るLUX-Opticlear

まとめ

LUXeXceLの3Dプリントサービスは、光学レンズの試作、開発、小ロット生産に最適な力を発揮するだろう。まさに新規に事業を開始する起業家や、新商品開発にとっては大きな可能性を開くものだ。例えば、新しい照明器具やカメラを開発する場合にも、パーツの一つである光学レンズ一つ作るのに、高価で、高度な金型の知識が要求される射出成形を利用するにはリスクが大きすぎるだろう。

射出成形は一定量の販売のめどが立っていないと利用することは不可能に近い。一方で、以前からのガラスの研磨加工で試作を作る場合にもコストが高く時間もかかることになる。このように見てみると、LUXeXceLの光学レンズの3Dプリントは、まさに時代にあった技術とサービスだと言える。

LUXeXceLの光学レンズを使った照明の開発記事はこちらをどうぞ

LUXeXceLの生産体制の記事はこちらをどうぞ

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